学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

シュルレアリスム展へ、その前に…

2011-02-20 20:27:03 | 仕事
現在、東京の国立新美術館では「シュルレアリスム展」を開催しています。先日、展覧会を見てきましたが、とても見ごたえのある内容でした。展示方法も面白く、まるで映画館のなかを歩いて居るよう。展覧会ではシュルレアリスムの作家のなかでもアンドレ・マッソンの作品が多く、それに続いてフランシス・ピカビア、ルネ・マグリット、マックス・エルンストらの作品があります。もちろん、ダリやミロの絵も。シュルレアリスムは、この絵に○○の意味が込められている、と考えてゆくよりも、自分が画面から受ける印象を大切にして、シンプルに見ていくと楽しめるのではないかと思います。私も初めはメモを取りながら鑑賞していたのですが、シュルレアリスムでメモを取ると、どうも肩が凝る(苦笑)

シュルレアリスム展を見る前に、入門書をご紹介します。

『シュルレアリスムとは何か』巌谷國士著 ちくま学芸文庫 2002年
『シュルレアリスム』酒井健著 中公新書 2011年

シュルレアリスムは難解なイメージがありますが、これらの2冊は入門書としてとても面白く読むことができます。巌谷氏はシュルレアリスムの考え方について、酒井氏はシュルレアリスムの背景や流れを記載しています。

逆にオススメしにくいもの。

『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』アンドレ・ブルトン著
 巌谷國士訳 岩波文庫 1992年

この本は美術史において重要な著作であることは間違いない。けれども、これが相当に難解です…。同じブルトンなら『ナジャ』(岩波文庫)のほうが話の中身がわかりやすい。まずは先に挙げた2冊を読み、シュルレアリスムについて理解した後に、チャレンジしてみると良いかもしれません。

今日はオススメのシュルレアリスムについて書かれた本をご紹介しました。明日は展覧会の感想を書きます。