学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

絵画のみかた

2008-07-10 21:55:58 | 仕事
学芸員になって、よく尋ねられる質問の1つに「絵画ってどう見ると、面白く見られるのですか?」というものがあります。これは簡単なようで、随分難しい質問です。よく「絵は自分の好きなようにみればいいのですよ」とおっしゃる方がいますが、それも見方の1つ。けれども、質問をする人は好きなように見ても、どうも合点が行かないから学芸員に質問するわけで、それなのに学芸員までが「好きなように絵をみればいいのですよ」というと、何だか質問した方を置いていっているような気が私はするのです。

私の場合。参考になるかどうかわかりませんが、例えばある作家の作品だけを集めた展示を見る場合は、すぐさま年譜をざっと見て、成年と没年(存命の場合は無論成年のみ)を頭に叩き込みます。そうしてから作品を細かく見ていきます。主題が何なのか、色使い、表現はどうか。なぜこの作品が描かれなければならなかったのか。自分なりの考えを頭のなかで組み立ててから、キャプションを見る。キャプションを見て、作者の何歳頃の作品かを割り出すのです。これを繰り返していくうちに、しだいに年齢ごとの作品の変化がわかるようになる次第…。どんな画家にもピーク時があると思いますので、自分はこの画家の何歳頃がピークだと思うのかを考えながら進むのも面白いかもしれません。

以上、長々と私の絵画のみかたの1つを紹介しましたが、こんなみかたもあるんだとご参考いただければ幸いです。他にも色々な見方があると思います。でも、それはまたの機会にご紹介することに致しましょう。
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