学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

カント「世界市民という視点からみた普遍史の理念」を読む 1

2007-07-18 21:41:50 | Weblog
本日は展示替休館日のため、大忙し。私の担当ではありませんが、作品の撤去、新しい展示作品の配置決め、そして壁面に作品を取り付けるための金具を打つ。近頃はあまり運動もしませんので、とても疲れました。展示替のたびに、自分の体力のなさを痛感する次第です。体は疲れてはいるものの、大分展示ははかどりましたので、明日には終了する予定です。2日間で展示終了は今までで一番早いかも。

さて、そんな体力が無い状態で、しかも左手を皮膚の病気で苦しみながらも、またカントを読みました。けれども、さすがに仕事から帰ってから哲学を勉強するのは無理があるようで、あまり頭に入りませんでした。(勉強をするなら早起きして、ですね)ですから、読みかけですし、あまり納得した感でもありませんが、そこのところはどうぞ御容赦ください。

私も含め、人間はこうして当たり前のように生きているわけですが、私たちは果たして何に従って生きているのでしょうか。カントは、その答えとしていくつかの命題を述べています。

第一命題として、素質は目的にふさわしいかたちで発達する。つまり、意味のないものなど、この世には何も無いということ。例えば、私たちの心臓は血液を体中に送る役目を果たしますし、耳がついているのも、音を聞くためですよね。もしも、それらが何の役にも立たずに、ただ存在しているだけだとしたら、自然は偶然が支配していることになる、と言っています。

第二命題として、理性の利用は一個人ではなく、人類の次元においてだ!と述べています。(なんだかわけがわからないですね)カントは、人間が到達するべきところは、自然の領域をはるかに超える能力を得ることだと述べています。人間が自然を超えることが果たして可能なのかちょっと想像ができませんが・・・。それは良いとして、その能力を得るためには実験や練習、教育などが必要である。けれども、人間の寿命は短いから、一個人が自然を超える能力を身に付けることはできない。だから次の世代に託す。人類は、それを繰り返し、自然を超える能力の獲得を目指す、それこそが人類の目的だ!と言っているようです。

第三命題は、自然の配慮に就いて述べています。これは、簡単に言うと(カントには悪いですが)自然は人間が楽に生きられるようには配慮せず、楽がしたければ、自分の行動で勝ち取るように求めた、とのこと。働かざるもの食うべからず?違うか(笑)

第四命題は、人間の社会性と非社会性について述べています。人間は社会を形成したがる一方で、孤独を好むという矛盾を抱えているのだそうです。例えば、どの会社でも何でも組織から出たがる人は必ずといっていいほどいますよね。組織に反発する!これは組織から見ると厄介な人なんだけれど、でもカントによれば、実はそういう人が居ないと、会社(人間)は発展しないのだそうです。刺激の無い生活ばかり続けていると、発展しない!なるほど。

第五命題・・・といいたいところですが、みなさんも飽きたでしょうし、なにより私自身が既に疲労で力尽きそうなので、今日はここまでに・・・。また明日にでも御紹介できればと思います。

それではおやすみなさい。