細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『お茶と同情』の学生と中年妻の、追想の純愛学園ラブストーリー。

2021年04月30日 | Weblog
●4月29日(木)21-40pm <ニコタマ・サンセット傑作座>
OV-91-44『お茶と同情』" Tea and Sympathy (1956) a Metro Goldwyn -Mayer Picture、Cinemascope Size OLD・レーザーディスク
監督・ビンセント・ミネリ 主演・デボラ・カー、ジョン・カー <123分・シネマスコープ・サイズ> 
1956年当時は、まだ同性愛とか、ホモセクシュアルとか、よく映画のテーマになる異常交際はなくて「哀愁」や「ローマの休日」のようなロマンスが主流。
そのなかで、この作品は当初は舞台劇でヒット、ベストセラー小説でタイトルが知られて、MGMが映画化したものの、セックス・シーンはなくて、ただの純愛映画として静観された。
物好きなわたしは、日比谷スカラ座のロードショーに行ったのだが、あの広いシアターも、数人の客しか入っていなくて惨憺たる状況だった、という記憶がある。
しかしロバート・アンダースンの原作はヒットしてベストセラーとなったし、このタイトルも、一種のアブノーマル・セックスものの代名詞にもなった時代だった。
ま、年上の人妻と、ハイスクールの学生、という年代差の大きなカンケイは、やはり異常性もあり、このタイトルは、そのようなカンケイの存在を表面化したのだ。
おそらくはボストンの学校で、広い庭園に囲まれた教授の家は、庭には樹もあり、二階には数人の学生達も下宿している、という上流な環境。
美人のデボラは、体育の教授の妻で、狭い庭園の花などを育てていたが、下宿していた学生のジョン・カーは、その庭作業を手伝ううちに、お茶をごちそうになる。
学生たちは夜の町に出て、ガールフレンドやコールガールたちと夜な夜な遊んでいるのだが、彼はどうもそのテの夜遊びは苦手で、ついつい美人な奥さんにおつきあい。
男性的で粗暴なご主人は、クラブの学生たちとキャンプや夜遊びに出かけるのだが、ジョンは自室で音楽を聞き、美人な奥様の手造りケーキでお茶をごちそうになる。
が、その<お茶と同情>のカンケイも、次第に恋となり、近くの森のなかで、彼としては初めてのセックスもして<お茶と同情>のカンケイは、後戻りできなくなる。
映画は、その数十年あとの学園のクラス会にでた、小説家となったジョンが、かつての部屋にゆき、デボラと離婚して、ひとり老人となったオヤジと再会する。
珍しく清楚でセンチメントな回想ドラマで、当時は大ヒットした舞台劇を、ミネリ監督は非常に情感を込めたラブストーリーにしていて、実に上品な不倫ドラマだ。

■左中間をゴロでぬけるツーベース。 ★★★☆☆
●MGM・UA輸入版レーザーディスク

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