細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『トリプル9*裏切りのコード』を裏切った奴はどいつなんだ?

2016年05月17日 | Weblog

5月13日(金)13-00 九段下<角川映画試写室>

M-060『トリプル9*裏切りのコード』" Triple Nine " (2016) Sierra Pictures / Worldview Entertainment / Mud Driver Pictures

製作・監督・ジョン・ヒルコート 主演・ケイシー・アフレック、ウディ・ハレルソン <115分・シネマスコープ> 配給・プレシディオ

まるでアメリカの南部都市アトランタで、いま正に戦争が勃発したような壮絶な銃撃戦が展開するというアクション映画だが、これがあの「風と共に去りぬ」の町の現在。

タイトルの「トリプル・ナイン」というのは、「ナイン・ワン・ワン」のような、非常事態通報の略称ナンバー・コードで、ここでは政府機関や警察官の非常時のサイン。

この<999>のトリプル・ナインが発令すると、警察機関の非常時なので、通常の市民生活警備での行動は中止して、まさに<非常事態招集>の発令となるのだ、という。

監督のヒルコートは先般「欲望のバージニア」でも、アメリカ南部地方都市独特の風景と、そこに済む人間たちの生活感を色濃くスケッチして、熱い個性が光った。

この作品でも、またしてアメリカ南部地方での凶悪犯罪の実態を描いたが、とかく血気の激しいサザーン・ブラッドの現在の組織犯罪の裏側を直視して見せる。

とくにメキシコとの国境に近いという土地側から、麻薬取引を背景にした犯罪が多発しているが、ここでは5人組の旧ロシアン・マフィアによる銀行強盗事件が発端となる。

実行犯グループには、元特殊部隊の精鋭もいて、マフィア犯罪組織との軋轢からの脱出を計る為のミッションだったが、裏でリーダーの息子誘拐の代償もあって、背景は複雑。

しかも冷酷な女傑ボスのケイト・ウィンスレットは、アカデミー女優賞ノミネートの実力もあって凄みのメイクで、彼らに国土安全保障省の重要機密ファイルの奪取を命じたものだから大事件。

あまりにもダークな夜間や建物内部でのアクションが続き、しかも犯行実行グループが覆面しているので、ボーっとして見ている当方は、後半は何が何だかワカラナイ銃撃戦となる。

要するに、そのギャング対策グループの新人だった主演ケイシー・アフレックの決断と行動が、この二重三重構造の襲撃事件の鍵になるのだが、重装備をしたメンバーが多いものだから、人物の判別がやっかいなのだ。

そこにまた怪人物のクセものウディ・ハレルソンが、異様なメタボ体型で乱入してくるので、よけいに人間関係が複雑になってきて、敵味方が入り乱れての銃撃戦には、もうお手上げ。

ご苦労様な銃器を乱発しての集団乱射シーンは、あの「ワイルド・バンチ」を思わせるド迫力なのだが、いったい誰が撃たれたのか、みながマスクしているので判らなくなってしまう。

兄貴のベン・アフレックが監督した「ゴーン・ベビー・ゴーン」では、実にいい味を出していた弟のケイシーだが、覆面していてはせっかくの演技が・・・・不発。

ま、集団戦争アクションのお好きなガン・マニアの方には凄まじい迫力の炸裂音で耳が遠くなる様だが、これも敵味方乱戦シーンの見分け方脳トレには絶好の素材かもしれない。

 

■痛烈なサード強襲ライナーで野手がファンブルの間にセカンドを狙い憤死。 ★★★

●6月18日より、ヒューマントラストシネマ渋谷などでロードショー 


コメントを投稿