細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『悲しみのミルク』の異様な酸味と後味。

2011年01月28日 | Weblog
●1月27日(木)13-00 渋谷<映画美学校試写室>
M-010『悲しみのミルク』The Milk of Sorrow (2008) ペルー
監督/クラウディア・リョサ 主演/マガリ・ソリエル ★★★☆☆
ペルーであった、80年代の武力闘争の巻き添えになって家族を殺された母。
その老母がついに亡くなって、娘のマガリは精神的に大きなダメージを受ける。
不幸だった母の母乳で「恐乳病」に冒されていると思い込む彼女は極度の対人恐怖症だ。
富豪ピアニストの家にお手伝いに行き、それから極貧の家に帰るが、母の遺骸を葬る手段も金もない。
葬衣を巻いてベッドの下に隠し、集団レイプ暴行を恐れて、自分の膣にはジャガイモを入れているという異常な日々。
それでも、少しずつ、彼女なりに、上を向いた生き方を努力していく。
この異様な設定が、ごく普通にあった首都リマの貧民地区だという現実。
つまり彼女の日常が、ペルーという国の姿だという想定に、まずは恐怖させられてしまう。
しかし映画は陽気で歌を忘れない。どんな不幸も歌にしてアドリブで唄う。この強さ。
無表情のマガリの表情だが、ドラマは少しずつ好転して行くのが救いだろう。
昨年のベルリン国際映画祭で、金熊賞を受賞したのも、頷ける。

■左中間へのボテボテのゴロにヒット。
●4月、渋谷ユーロスペースなどでロードショー

コメントを投稿