細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『白いリボン』の凍てつく感動。

2010年09月22日 | Weblog
●9月21日(火)12-30 京橋<テアトル試写室>
M-114『白いリボン』Das Weisse Band (2009) daylight twin 独/仏
監督/ミヒャエル・ハネケ 主演/クリスチャン・フリーデル ★★★☆☆☆
1913年ドイツの寒村。
村の医師が落馬して入院。いつものコースに針金が張られていたために馬が転倒したのだ。
男爵家の納屋の床が抜け落ちて、小作人の妻が死んだ。
不倫した妻。その知恵遅れの幼児が暴行された。
さまざまな疑惑に沈黙する子供たちの腕には、反省のための「白いリボン」が巻かれる。
こうした事件には、わざわざ警察も介入しない時代。
傍観していた学校の教師クリスチャンは、家庭や地主と小作人たちの間に深い溝があることを懸念していた。
誤解。倦怠。疑惑。偏見。羨望。憎悪。殺意。陰謀。そして重圧と不穏。
都会ならば、私立探偵や刑事の介入すべき事件が多発連鎖していく。
それもこうした寒村では日常茶飯事なのだ。
「隠された記憶」「ファニー・ゲーム」のハネケ監督は、またしても人間の密かな欲情を独特の視線で抉る。
しかも、ナチス台頭の時代の空気を、カラー撮影してからデジタルでモノクローム転換。
あの時代の記憶や資料の乾燥したトーンに近づけたという。
カンヌの映画祭で大賞を受賞したテーマは、ドイツ人の生活感性とその民度の歴史を探るようだ。
謎と憤懣が沸騰していく日常の連鎖的感情崩落。そして戦争が勃発する。

■ライトのフェンス上に直撃落下の打球は、協議の結果ツーベースヒット。
●12月、銀座テアトルで正月ロードショー

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