細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『新しき世界』で暗示される新しい結末とは。

2013年12月21日 | Weblog

12月18日(水)10-00 六本木<シネマートB3試写室>

M-157『新しき世界』New World (2013) next entertainment world inc. / sanai pictures / 韓国

監督・パク・フンジョン 主演・イ・ジョンジェ <134分> 配給・彩プロ ★★★☆☆

いかにも韓国アンダー・ワールドを抉った大作で、久しぶりに見応えは充分だった。

お話は「インファーナル・アフェア」や、そのハリウッド・リメイクの「ディパーテッド」と大して変わりないが、面白い。

巨大な暗黒組織。それに潜入している偽装捜査官。その男を遠隔操作する警察本部。この三角関係が、よりタフに巧妙に描かれる。

しかも潜入捜査官と暴力団の組長が、かつての不良仲間だった、というのは名作「汚れた顔の天使」の構造に似せているようだ。

一見、深い友情関係のようでいて、当局との連携もあって、この危うい薄氷の友情関係がドラマのサスペンスを巧妙に支えていて飽きさせない。

それは、この三角構造を支えている主演の3人の悪どいキャラクターが、実に濃厚に描かれているのが、この長尺を飽きさせない強さになっている。

かつての「仁義なき戦い」のように、汚染された警察組織と、進攻中国パワーに操られる組織体制。捜査官の危険な私生活。

徹底的に警察側のファイルを、裏で解明する中国ハッカー。そして残虐な脱北のテロリストたち。

よく見ていた構図だが、ここではそれを一歩踏み込んで、あれれ・・・のラストにしているのが「新しい世界」というタイトルの所以だろう。

特に悪徳警察捜査課長のカン・ヒョンチョルと、旧友で組織のボスを演じるファン・ジョンミンの、この一歩も譲らない悪党ズラが圧倒的な魅力。

派手なドンパチは控えめで、このハラの読めない3人の男たちの心の動きを描いたパク監督のタフな力量は、さすがだ。

またしてもハリウッド・リメイクが決まったという辺り、さすがに現在のコリアン・ノワールの商品価値は、かなりに強靭さを証明している。

 

■豪快な左中間へのライナーがフェンスを直撃しての、文句なしのツーベース。

●2014年2月1日より、丸の内TOEIほかでロードショー 


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