細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『カリフォルニア・ダウン』に衝撃のカンドー・ダウン。

2015年08月19日 | Weblog

8月14日(金)13-00 内幸町<ワーナー・ブラザース映画試写室>

M-102『カリフォルニア・ダウン』" San Andreas" (2015) Warner Brothers / New Line Cinema / Village Road Pictures

監督・ブラッド・ペイトン 主演・ドゥエイン・ジョンソン <114分> 配給・ワーナー・ブラザース・ジャパン

原題の「サン・アンドレアス」というのは、アメリカ西海岸在住の人たちが一番恐れている、カリフォルニア州を縦断している巨大断層帯。

実際にも西海岸で群発する多くの地震の震源として、過去からも多くの人的な被害を誘発しているから、大いに危機感を煽るタイトルなのだ。

だって、あのグランド・キャニオンや西部劇の背景となったデスバレー周辺の峡谷地帯は、その大昔にはサン・アンドレアスの巨大断層の爪痕なのだ。

映画の冒頭に、ハリウッドからサン・フェルナンド・ヴァレーに行くフリーウェイに断層が出来ていて、走行車が転落するのは、実際にもよく起こるアクシデント。

デヴィッド・リンチ監督作品の「マルホランド・ドライブ」なども、切り立つ断崖絶壁が続いていて、実際に走ったことがあるが、まさに「ロスト・ハイウェイ」なのだ。

そこで起きた転落車両を救出していたのが、ドウェインが演じているロスの消防署のヘリコプター救助隊なのだが、そのレスキューの最中に地震が発生する。

従って空中撮影で、その地震の様子が描写されるが、あの「ハリウッドランド」の巨大な看板が倒壊していくシーンの移動撮影から、一気に街にも火災が発生していく。

これは、「大地震」や「ボルケーノ」などの一連のディザスター映画ではあるものの、その展開は<家族の救出>にのみ徹底していて、被害の甚大さというのには拘らない。

みるみる地震はロサンゼルスから、サンフランシスコにまで広がり、ヘリのパイロットのドウェインは、娘が働いているシスコまで飛んで、命がけの救出を展開するのだ。

その移動の最中にも地震は多くの高層ビルを倒して火災を広げ、そこに巨大津波が押し寄せるので、彼はヘリを捨てて、レスキューボートで廃墟のようなビル街を移動する。

ジョージ・パルが制作した「地球最後の日」を見て感動してから、多くの災害スペクタクルは見て来たが、さすがにCG処理の革新で、いままで見た事のない惨状が連続していく。

その早いテンポと多重な視覚ショックと超列なサラウンドによる音響効果は、たしかに過去の多くの映画の脅威を凌駕して圧倒的なサスペンス。これには、正直、ビビってしまったのだ。

監督は「センター・オブ・ジ・アース」の前歴があるので、こうした地殻変動には専門的な知識もあるのだろうが、細かな人間感情には感知していないテンポが好ましい。

あくまでエンターテイメント作品なので、人命救出の段取りや救助方法に問題はあったにしても、このシネマティックな威圧感には恐れ入ってしまった。

エンドクレジットに流れる、あの70年代、ママズ・アンド・パパスの「カリフォルニア・ドリーミング」のニュー・バージョンにも感動した。

 

■低いライナーでバックスクリーン直撃。 ★★★★☆

●9月12日より、新宿ピカデリーなどでロードショー 


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