細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『がちょうのおやじ』は、「マザー・グース」のダメ親父版か。

2021年12月09日 | Weblog
●12月8日(水)19-50 <ニコタマ・サンセット傑作座>
OV-161-59『がちょうのおやじ』"Father Goose" (1964) Republic Pictures. Universal International Studios.
監督・ラルフ・ネルスン 主演・ケイリー・グラント、レスリー・キャロン <117分・スタンダード>リパブリック・ピクチャーズ、東北新社
一応は新作試写も再スタートして、ロードショウ劇場も上映に活気は出始めたもの、昨今のコロナ騒動で、どうもこちらの動きも緩慢になり、試写も映画館も、億劫。
それで古いVHSなどを引き出して来て、こうして<ランスルー>しないと、テープの状態も仮眠状態で、映像にもムラが出るので困るのだ。
あの「シャレード」や「無分別」の頃の、絶頂期に買っていたケイリー・グラントのVHSも、「芝生は緑」「ペチコート作戦」などと同様に、たまに見ないと不調になる。
という次第で、この作品も彼の出演作品としては、もっとも不人気で、記憶にないようなコメディなのだが、廃棄処分にしてしまうには、ちょっと惜しい作品。
なぜか、ヘンリー・フォンダの「ミスター・ロバーツ」に嫉妬したのか、当時の大スター、ジョン・ウェインの「ドノバン珊瑚礁」のようにケイリー・グラントも南太平洋だ。
つまり、60年代前半には、連続テレビ番組がヒットして、ハリウッドのスタジオはテレビ番組に占拠されたのか、南太平洋のロケーションが制作費雪原で多くなった時代。
ミュージカル「南太平洋」はともかく、ゲイリー・クーパーの「楽園に帰る」を筆頭に、大スターたちがロケ費用の安い、こうしたアイランド・ムービーを作ったのか。
フランク・シナトラの「勇者のみ」なども、こうした大スターたちの<アウト・オブ・ハリウッド>作品が増えていて、ペックの「渚にて」などもそうだった。
太平洋戦争の最中に、兵隊を脱退したのか、南海の孤島でひとり暮らししていたケイリー・グラントは、近くの軍港ではヤミ取引などもしていた<独身無精オヤジ>。
ヤシの樹の下の小屋で暮らすが、<頭上の敵機>の飛来を軍部のトレバー・ハワードに無線で報告しては、海軍の食材などを流してもらっていたのだ。
あの、都会派でダンディな<ケイリー・グラント>が、かくもダサい無精髭の無人島オヤジを演じるのは、ま、当時のハリウッドの苦策の涯だったのだろうか、苦笑作だ。
「巴里のアメリカ人」や「恋の手ほどき・ジジ」のダンサー、レスリー・キャロンが臨時女教師として共演しているのも、どうにも理解に苦しむ凡作コメディ。

■ボールの下を叩いた、高く上がったキャッチャーフライ。 ★★☆・?
●VZ-984 東北新社VHS

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