細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『冬の猿』で列車の到着を待つ、孤高の名優ギャバンのラスト・シーン。

2021年02月11日 | Weblog
●2月11日(木)17-30 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-37-28『冬の猿』"Un Singe en Hiver " (1962) French Film. Produced Under The Copyright Eathan Co.Ltd.
監督・アンリ・ヴェルヌイユ 主演・ジャン・ギャバン、ジャン=ポール・ベルモンド <102分・モノクローム・ビスタサイズ>配給・IVC
このところ、なぜかジャン・ギャバンの作品にハマっているが、晩年はアラン・ドロンとの共演が続いたが、これはベルモンド共演で、多分、彼の最期のフィルムだろうか。
ギャバンほど名作の多かった俳優はフランスにはいないだろうが、あのトラック・ドライヴァーを演じた「ヘッドライト」の、ベルヌイユ監督とのコラヴォである。
第二次大戦の末期、フランスのノルマンディ海岸には、まだナチスの兵隊が駐屯していて、連合軍の総攻撃が迫っていた時期だが、ギャバンは萎びたプチホテルのオーナー。
戦雲が迫っている小さな海岸のホテルには客もないが、離婚したベルモンドが女子学校の寄宿舎にいる10歳くらいの娘を引き取りに、この町に来た。
他にホテルの客もいない夜、音楽も、爆音もなく静かなホテルで、ひとりで食事している彼を、オーナーのギャバンは奥の食卓に呼び、いっしょにワインを交わす。
つい、老父と中年の息子のように気分の合ったふたりは杯を重ねるうちに意気投合して、ワインを飲み過ぎて、冬の海岸に出て、祭りの残りの花火を打ち上げたのだ。
ついに連合軍の上陸作戦かと、ドイツ軍や住民たちは緊張したのだが、海岸で大騒ぎして花火を打ち上げているのは、酔っぱらった二人の男。
若い時に、中国を旅したギャバンは、そのときに聞いた<冬のサル>の話しが好きで、ベルモンドに語って聞かせているうちに、ふたりは意気投合したのだ。
次の朝、ベルモンドはひとり娘と南仏に去り、ひとり老いたギャバンは、父の墓参りのために、駅のベンチで列車の到着を待っている後ろ姿をカメラはパン。
このシーンは、恐らくは名優ジャン・ギャバンの最期の姿だろうが、だれも居ないプラットフォームで佇む彼の姿は、あまりにも孤高で印象に残るのだ。

■ライトフライを野手が後逸して転々・・のスリーベース。(1996年日本公開) ★★★★☆
●アイ・ヴィー・シー、レーザーディスク。

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