河童アオミドロの断捨離世界図鑑

河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

かかとを3回打ち鳴らせ

2016年03月07日 | ZIZY STARDUST
チラシの舞い散る空には、なにやら、加齢臭の混ざったいやな風が吹いていた。

「かあさん、変な風が吹いてきたね、まるで二郎おじいちゃんの臭いみたいだよ。
ひょっとしたら、この上空に二郎おじいちゃんがいるんじゃないのか」

「ばかな事を言いなさんな、二郎おじいちゃんはカメなんですよ。
ガメラ以外のカメが空を飛べるはずがありません。
でも、あなたは本当は空を飛べるのですよ。
その、テスラシューズのかかとを3回打ち鳴らして
『お家に帰りたい』と言えばいいのです
南の魔女がそう言ってました」

八田七郎はテスラシューズのかかとを3回打ち鳴らした。

「お家に帰りたい」

「あっつ、だめです、そこは『お家』じゃなくて
『小豆島に渡りたい』にしないと!」

しかし、もう遅かった、とし子と七郎を乗せたノアの方舟は
竜巻に乗って、遥かアメリカのカンザス州のドロシーの家へと運ばれて行ったのだった。


もう、話の流れは作者の意図を無視して、カオスの彼方へと向かっていった。
もう心の旅に出るしかない。
生きるという事は、結局、ゆっくりと時間をかけて自分の心の中を旅する事なのだから。
窓の外の暗闇から流れ込む、かすかな沈丁花の香りは、
生まれる前の天国の記憶を蘇らせてくれた。

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