河童アオミドロの断捨離世界図鑑

河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

過ぎ去りし黄金の日々

2016年09月05日 | ZIZY STARDUST
いくつもの台風が過ぎ去りました。
低気圧は夏の熱をうばって、街はもう秋の気配です。
プールには枯れ葉やコンビニの袋やなにかがいっぱい貯まって、水は緑色になり、水底は見えなくなりました。
もう、極楽くんがどにに潜っているのかさえわからなくなりました。
毎日来てくれた緑川くんも近頃では来なくなりました。

「先生、極楽くんはどうなったのですか?」

「あ、先生もすっかり忘れてました、たしか2学期から転校したんでしたよね」

生徒の一人や二人、芸能人の十人や二十人が居なくなったとしても、
この世の中は何も変わらないのです。

すっかり水中生活に慣れてしまった極楽くんは、排水口から漂ってくるカレーの香りが気になっていました。

「このカレーの香りは本場のインドの香辛料のものだな
昔のことわざに『すべてのプールはガンジスに通じる』というのがあったけど
もしかして、この排水口をたどればガンジス川に出られるのかもしれないな
これから寒くなるからインドにカレーを食べに行くのもいいかもしれない
この排水口が、探していた『夏への扉』だったんだ」

香りには記憶を閉じ込める働きがあるといいます。
インドカレーの黄色い輝きとスパイシーな香りにはきっと
忘れかけた中学二年生の夏がいっぱい詰まっているにちがいありません。
誰もが年老いて、もう未来が見えなくなった時
ガンジス川のほとりで食べるカレーはあの黄金の夏の日を呼び覚ましてくれるのです。






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