河童アオミドロの断捨離世界図鑑

河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

まだ雪が残ってるよ

2016年01月26日 | ZIZY STARDUST
「おかあちゃん、まだ雪が残ってるよ、僕も向かいの広場で雪合戦したいなあ」

「八郎ちゃん、何をバカなことを言ってるんですか、お向かいのマンションは、
大企業のご家族のみなさんがお住まいになってる高級マンションなのですよ。
駐車場のお車を見てごらんなさい、ベンツとアウディとBMWとロールスロイスですよ、
それにひきかえ、ここのアパートには中古の原付と錆びた自転車しか無いでしょ。
広場で遊んでる子供たちはみんなすらっとしたジャニーズ系でしょ」

「わかったよ、この日本でもまだ人種差別があるんだね」

「そのとおりよ、貧乏でチビでハゲでデブで短足でアホでブサイクは差別されるのよ」

「それって、まるで、おとうちゃんの事だね」

「おとうちゃんはちっとも悪くないのよ、悪いのは細胞内部のDNAなのよ。
貧乏なDNAを持ってしまうとその人は一生を棒に振るのよ。
だから、八郎ちゃん、あんたのDNAはおとうちゃんと似てるから、あきらめなさい。
あんたは貧乏で不幸なまま一生を終えるのよ」


自分のDNAの秘密を知ってしまった八郎は、ぐっと涙をこらえた。
冬の次には春が来るに決まっている。
僕が流すべき涙は、悲しい涙なんかじゃなくて、喜びの涙だ、嬉し泣きだ。
だから、今は泣く時じゃないんだ。

その時の八郎には、よもや、料金未納で来月から電気とガスが止まるなどと
いう事は知る由もなかった。