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河童アオミドロの断捨離世界図鑑

ザスドラス博士の弟子の河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

闇への扉

2014年05月07日 | 八田二郎クロニクル
俺は長崎造船所の地下へと降りていった

俺がこの地を訪れたのは、自分自身の魂の設計図を探すためだ
アンドロイドの俺には心や魂と呼べるものが無かった
それは設計段階から無かったのか
途中で俺の中から抜け落ちたのか
それが知りたかった、とにかく知りたかった

地下室は、古い血のように錆びた鉄の匂いと
どこかなつかしい、湿ったコンクリートの匂いがした
実験室は俺が誕生した300年前のままだった
プールにはアンダマンチウム合金の液体が
熱い蒸気を出しながら溜まったまま
テーブルの上のビーカーには
泡立つ液体窒素に製造途中の目玉が入っていた

この部屋のどこかに俺の魂の設計図があるはずだ

部屋の一番奥の扉に「設計図保管室」と
わかりやすく書いてあった

「こ、ここだ。この中に俺の魂のもとがある」

300年間誰も開けなかったであろう扉は
ギーギョロギョロガギギーキキキーヒュイーン
とややこしい音をたてながら静かに開いた

中は暗黒だった
暗さに慣れてきた眼で見ても何も見えなかった
床や天井さえ無いみたいだった
部屋そのものが無いみたいだった
扉を開けたことでひゅーひゅーと外の空気を吸い込んでいるようだ

俺は闇への扉を開けてしまったようだ