河童アオミドロの断捨離世界図鑑

河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

闇への扉 3

2014年05月11日 | 八田二郎クロニクル
その正体不明のペットボトルに入った飲み物には
「drink me!」という手書きのラベルが貼ってあった
昔、サルスベリーのウサギの穴に落ちた時も同じボトルを
見たことがあった

「確か、これを飲むと体が小さくなって、闇への扉をくぐり抜けられるはずだ」

それは芋焼酎の味がした
飲んだとたん、俺の意識は薄れていった

卵のように小さくなった俺は
闇の坂道をどこまでも転がっていった

俺の周りには原子爆弾の熱と放射能で
バラバラになった分子や原子が光りながら踊っていた
それは夜中に見かける猫のダンスに似ていた

石炭ストーブの匂い、昭和30年代のモータウンサウンド
笠置シズ子の買い物ブギ、自転車で売ってるアイスクリン
それらをBGMにして俺も猫のダンスを踊った

「これは世界の始まりと終わりだ、世界はいつも踊っているのだ」

俺たちはDNAの踊りにまかせて闇の坂道を転がる
夢遊病者みたいなものだ

踊り続けて穴の底まで落ちた俺の耳の上に
稲佐山からの風が涼しく吹いてきた

「ここは【世界の終わり】だ、同名の音楽バンドとは無関係だ」

大浦天主堂からの神の声はそう言っていた