河童アオミドロの断捨離世界図鑑

河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

メープルシュガーとシナモンティー(第9回)思い出の微粒子

2008年02月11日 | 試作品
銀河鉄道の客車がなぜ木造かだって?

そりゃ「思い出のメモリー」じゃよ。

木の細胞は、その隙間に、その時代の空気を溜め込むもんさ。

その時代の乗客の想いもいっしょにね。

古い図書館や博物館に行くとよくわかるじゃろ。

木の床、古い柱、高い天井。そのすべてにこれまでの記憶が眠っておる。

本のページの間にも想いは眠っておる。

カセットテープもビデオテープも同じじゃよ。

テープはそのうずまき構造の隙間にその時代の空気の微粒子を含んでおるのじゃよ。

蟲蟲蟲蟲(むしよん)(第1回)蛤のため息

2008年02月11日 | blog
メープルシュガーとシナモンティーからのスピンオフストーリー
「蟲蟲蟲蟲(むしよん)」

春の天気の良い日、遠くの海に蜃気楼が見える事がある。あれは、海の底の貝が漏らした、ため息が浮かび上がり、島や建物や船の姿が見えるのだという。貝は巻貝ならばうずまき形に、二枚貝ならば同心円に年輪を刻んでいく。

それが、ふとした春の日に貝の思い出として、今までの記憶が海上に浮かび上がるのだという。

それと同じ事は陸上にもある。雨上がりの街を歩くと、カビくさいような懐かしいような古い図書館のような匂いが立ち込めているのに気づく。それは、地中のダンゴ虫が今までに吸い込んだ思い出を一気に放出してるのだという。

その街に住んでいた人々のこれまでの夢や希望や失恋や挫折を地中のダンゴ虫たちは吸い取っている。それを、雨上がりの気持ち良さにふと、ため息とともに吐き出してしまうのだという。

夢が多かった街の上空には、その時にきれいな虹が現れるという。



メープルシュガーとシナモンティー(説明書)

2008年02月11日 | 試作品
メープルシュガーとシナモンティー(説明書)
作者もよくわからなくなってきたので覚え書き。

河内長野の美術大学の同じ同好会に所属する佐藤楓(メープル)と茶川鉄郎。
学生時代の鉄郎とその20年後のメープルの世界が同時に存在する。
そのパラレルワールドをつなぐのは銀河鉄道トリプルナイン。
世界の始まりを知る、銀河鉄道の始発駅に住む謎の老人。
人生とは何か、幸せとは何か、時間とは何かを、するどく解き明かす。

本来、イラスト付きのはずが、絵が追いつかない。


メープルシュガーとシナモンティー(第8回)

2008年02月11日 | 試作品
学校が休みの時はよく母の故郷の紋別で過ごした。

冬の流氷と夏の海風。着陸前の窓から見える、風に波打つ麦畑。

おじいちゃんは、健康の秘訣は毎朝飲む牛乳だといっていた。

私は牛乳が苦手だけど、なぜか、おじいちゃんの牛乳だけはおいしかった。

鉄郎はいつも私に手紙をくれたっけ。

あの頃の思い出は、今頃は、20光年先の宇宙に有るのかも。

銀河鉄道から大きな望遠鏡でのぞけば、あの頃の私たちが見えるのかな。

宇宙が永遠とすれば、私が生きているこの瞬間はいつも永遠までのちょうど半分の位置なのかもしれない。



磁気テープの時代終わる

2008年02月11日 | blog
そういえば、フロッピーもカセットもビデオテープも使わなくなった。

これからはメモリーカードとブルーレイとやらになってしまうのだろうか。
アナログ時代のものは、ダビングを重ねるごとに、ノイズが増えていくが、それが
かえって年月の経過を感じさせて良いのかもしれない。

アナログ時代の思い出はゆっくりフェードアウトするが、デジタル時代の思い出は突然全部消える。

誰かの文章で読んだが、人がいなくなる、というのは、生きてるか死んでるかという事よりも、その人が記憶の中から居なくなることらしい。