夏旅2023⑨、登別温泉を堪能した後、再び道央自動車道に乗り、白老ICに向かう。今回の旅の目玉の一つ、ウポポイを目指す。場所はJR室蘭本線白老駅からも徒歩圏内にある。
2020年に完成したアイヌ民族との共生を目指す施設で中央の国立アイヌ民族博物館を中心に数多くの施設が点在する。施設に入ってまず驚いたのがその規模の大きさ。
博物館までもかなり遠い。その前に池の前の広場でオリエンテーションが行われていたが、最後のムックリの演奏のみを聞く。
かなり以前、阿寒湖でアイヌの人から買ったことがある。リードのように竹をくり抜き、紐を付けて引っ張り音を出すのだが、これが難しい。博物館で私も買って練習したが、音がまるで違うのである。
民族博物館はアイヌ民族を理解できるような展示が多数あり、自然と共生し、全ての物に宿るカムイに話しかけ、獲物を捕らえ、火を起こし、布を作り、人が一生を過ごす。輪廻とも言える考え方を大切にし、祈りを捧げる。また、祈りと共に色々な踊りを皆で踊る。
バッタの踊り、モテる男の踊り、鯨の踊り、これらを全て実際の映像で見ることができる。他にもアイヌ民族の日本人による侵略やこれに対抗したアイヌの英雄などの歴史や地理など丁寧に見始めるといくら時間があっても終わらない。
アイヌ語の基礎知識。①主語と動詞の並び方は日本語に似ている、②しかし、否定辞や禁止辞は動詞の前に付けるなどをクイズ形式で学べるコーナーもあり、興味深い。
ただ、残念ながら学んだがすぐに忘れてしまう。唯一、『イランカラッペ』が『こんにちは』の意味だけ覚えた。
隣の工房を訪ねると木の皮から繊維を取り、これを紡いで布を織る人、木を削って彫刻を作る人が実演をしていた。
特にオヒョウやシナの表皮の内側にある柔らかい部分を洗い、干して糸にするのだが、その手間のかかるのには驚いた。
アイヌの住居が並んだパビリオンに向かう。
建物は3つ並んでいて、その先では弓矢を撃つイベントも開催中。私も撃っては見たがどおしても右に曲がってしまい、的には当たらなかった。
別の家屋ではアイヌの衣装を着て写真を撮ってくれるイベント、これにはもちろん参加した。お隣の1番大きな家屋では囲炉裏の周りに座り、アイヌの話を聞くイベントにも参加。天井の高さが高いことには驚かされる。よく見ると囲炉裏では炭が起こされ、真夏の室内ということもあり、結構熱い。話は面白かったが汗が背中を伝うのは辛かった。
ここで一旦外に出てランチ、行者ニンニクで味付けしたザンギいりのカレーを食べる。相方は行者ニンニクそば、いずれも味はニンニクと変わらず、かなりパンチが効いている。
午後は体験ホールでアイヌの短編アニメを2つ鑑賞、弱い男の子が強く育っていく過程の話と太陽をきつねが盗もうとする話、大人が見ても面白かった。本当はまだまだゆっくりしたかったが、朝0930から午後0130まで4時間にわたり展示をじっくりみてウポポイを後にした。(以下、次回)