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ドアー・キー
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秋だからではないけれど
緊張感が少し抜けているのか
うっかりミスが目立っている
そんなスタッフの一人が
怖い話をしてくれた
マンションで一人住まい
持ち帰った仕事をしていると
玄関でチャイムが鳴る
時計はpm12時
こんな遅くにだれだろう
怖々モニターを覗くと
サングラスの強面のお兄さんが立っている
返事をするかどうか迷って
何か御用ですかと聞くと
不用心ですよと いきなり言われ
パニックになりかけたが
さらに何でしょうかと・・強めに声を出す
すると
少し顔が笑ったような気がする
しばし沈黙
ドアーに部屋のキーが刺さったままですよ
えぇえ~~っ!
まさか・・おもわず
ありがとうございます
でも・・でも・・でも
もしかしてドアー開けさせる気で言ったのかも
まずドアーキーを探してみる
たしかにない
モニターを覗くと周辺にはだれもいない
そっとなるべく音がしないように
ドアーを開けた
キーが刺さったままだった
あぁあ・・心臓が止まりそう
良かった・・知らないお兄さん
ありがとう
どっと疲れが出てもう仕事やめて寝ました
朝話聞いて ・・・こわいねぇえ・・
うっかりですまないね・・
知能犯ならそのまま
キーをコピーして
そっと戻しておかれたら
気がつかない間に部屋に入られてしまうね
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今日の写真は
マンションの部屋の入り口
一寸カタログ風に