◎千一夜物語 その2
★千一夜物語 その2 ガラン版以降
○「千一夜物語」(Alf Layla wa Layla アルフ・ライラ・ワ・ライラ)
●ガラン版「千一夜」全12巻は1717年に完成したが、ガラン写本の続きは見つかっていない
★ガラン版以後、さまざまな偽写本がつくられる
○18世紀なかば、シャヴィ偽写本がつくられる
シャヴィという人物が、フランス語に訳されたガラン版「千一夜」を利用して、ガラン版の続きが記されているように見せかけた、偽のアラビア語の「続ガラン写本」(631夜まで)をつくってしまった
シャヴィ偽写本にカゾットが手を加えたものが1788~1789年に「続千一夜物語」としてスイスのジュネーブで出版された
シャヴィ偽写本には「アラジン」の物語を含んでおり、「アラジン」にはオリジナルのアラビア語テキストが存在したということになってしまった(実際はガラン版のフランス語版「アラジン」をアラビア語に再訳したものである)
○18世紀後半、ワルシー偽写本(「アリババ」のアラビア語写本)がつくられる
フランス人ジャン・ワルシーがガラン版をもとにアラビア語に再訳し加筆したもの
東洋文庫(平凡社)の「アラビアン・ナイト別巻」の「アリババ」はワルシー偽写本を翻訳したものである
○1810年、サッバーグ偽写本がつくられる
ミカエル・サッバーグという人物が、バグダードで作成されたと主張する写本を筆写した
バグダード写本(1703年10月21日付)の正体は、ガラン写本、シャヴィ偽写本、マイエ写本(エジプト系写本の1つ)を寄せ集めてつくった偽写本だった
サッバーグ偽写本に入っている「アラジン」はシャヴィ偽写本に手を加えたものであることがわかった
バグダード偽写本には千一夜分の物語が記されている
バグダード偽写本は、偽ものの完全な「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」の「原典」である
★「千一夜物語」のアラビア語による印刷本
●カルカッタ第1版(1814~18年) 全200夜
東インド会社のイギリス人職員のアラビア語学習の教本として東インド会社に付設されていたフォート・ウィリアム大学の援助によって出版された2巻本である
ライデン写本(ライデンが写したラッセル写本のコピー)をもとにしているようである
ラッセル写本は医師パトリック・ラッセルによってもたらされた
ジョン・ライデンはラッセル写本のコピーを作った
カルカッタ第1版はヨーロッパへ輸送中の船が水難事故にあったため、現存するものはきわめて少ない
●ブレスラウ版(1824~43年)全1001夜
ハビヒトとフライシャーによって編集された
ガラン写本、シャヴィ偽写本、サッバーグ偽写本、チュニジア写本の物語を寄せ集めて千一夜にふくらませたものである
884夜から千一夜までが、幽霊写本であるチュニジア写本によっている
チュニジア写本については、現在では存在が否定されている
●ブーラーク版(1835年) 全1001夜
17世紀末から18世紀初期にかけて知られていたエジプト系写本を集めて、アッシャルカーウィーの編集によってエジプトのブーラーク国立印刷所で刊行された
これ以後、ブーラーク版はアラブ世界での標準テキストとなる
●カルカッタ第2版(1839~42年) 全1001夜
カルカッタ第1版、ブレスラウ版、ブーラーク版、エジプト系写本をもとにイギリスの東インド会社が刊行
カルカッタ第2版はヨーロッパにおけるアラビアンナイトの最終形態となった
ペイン版、バートン版、東洋文庫版の底本となった
カルカッタ第2版は究極の寄せ集め本であり、決定版と言えるのだろうか?
○マカン写本
・カルカッタ第2版は、マカン写本をもとに校訂されたという
しかし、マカン写本がどのようなものだったかわかっていないし、マカン写本を見たことがある人は誰もいない
★千一夜物語 その2 ガラン版以降
○「千一夜物語」(Alf Layla wa Layla アルフ・ライラ・ワ・ライラ)
●ガラン版「千一夜」全12巻は1717年に完成したが、ガラン写本の続きは見つかっていない
★ガラン版以後、さまざまな偽写本がつくられる
○18世紀なかば、シャヴィ偽写本がつくられる
シャヴィという人物が、フランス語に訳されたガラン版「千一夜」を利用して、ガラン版の続きが記されているように見せかけた、偽のアラビア語の「続ガラン写本」(631夜まで)をつくってしまった
シャヴィ偽写本にカゾットが手を加えたものが1788~1789年に「続千一夜物語」としてスイスのジュネーブで出版された
シャヴィ偽写本には「アラジン」の物語を含んでおり、「アラジン」にはオリジナルのアラビア語テキストが存在したということになってしまった(実際はガラン版のフランス語版「アラジン」をアラビア語に再訳したものである)
○18世紀後半、ワルシー偽写本(「アリババ」のアラビア語写本)がつくられる
フランス人ジャン・ワルシーがガラン版をもとにアラビア語に再訳し加筆したもの
東洋文庫(平凡社)の「アラビアン・ナイト別巻」の「アリババ」はワルシー偽写本を翻訳したものである
○1810年、サッバーグ偽写本がつくられる
ミカエル・サッバーグという人物が、バグダードで作成されたと主張する写本を筆写した
バグダード写本(1703年10月21日付)の正体は、ガラン写本、シャヴィ偽写本、マイエ写本(エジプト系写本の1つ)を寄せ集めてつくった偽写本だった
サッバーグ偽写本に入っている「アラジン」はシャヴィ偽写本に手を加えたものであることがわかった
バグダード偽写本には千一夜分の物語が記されている
バグダード偽写本は、偽ものの完全な「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」の「原典」である
★「千一夜物語」のアラビア語による印刷本
●カルカッタ第1版(1814~18年) 全200夜
東インド会社のイギリス人職員のアラビア語学習の教本として東インド会社に付設されていたフォート・ウィリアム大学の援助によって出版された2巻本である
ライデン写本(ライデンが写したラッセル写本のコピー)をもとにしているようである
ラッセル写本は医師パトリック・ラッセルによってもたらされた
ジョン・ライデンはラッセル写本のコピーを作った
カルカッタ第1版はヨーロッパへ輸送中の船が水難事故にあったため、現存するものはきわめて少ない
●ブレスラウ版(1824~43年)全1001夜
ハビヒトとフライシャーによって編集された
ガラン写本、シャヴィ偽写本、サッバーグ偽写本、チュニジア写本の物語を寄せ集めて千一夜にふくらませたものである
884夜から千一夜までが、幽霊写本であるチュニジア写本によっている
チュニジア写本については、現在では存在が否定されている
●ブーラーク版(1835年) 全1001夜
17世紀末から18世紀初期にかけて知られていたエジプト系写本を集めて、アッシャルカーウィーの編集によってエジプトのブーラーク国立印刷所で刊行された
これ以後、ブーラーク版はアラブ世界での標準テキストとなる
●カルカッタ第2版(1839~42年) 全1001夜
カルカッタ第1版、ブレスラウ版、ブーラーク版、エジプト系写本をもとにイギリスの東インド会社が刊行
カルカッタ第2版はヨーロッパにおけるアラビアンナイトの最終形態となった
ペイン版、バートン版、東洋文庫版の底本となった
カルカッタ第2版は究極の寄せ集め本であり、決定版と言えるのだろうか?
○マカン写本
・カルカッタ第2版は、マカン写本をもとに校訂されたという
しかし、マカン写本がどのようなものだったかわかっていないし、マカン写本を見たことがある人は誰もいない