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◎アリストテレスの宇宙論「天について」を読んで 4

2016-03-13 23:54:49 | 宇宙
アリストテレスの宇宙論「天について」を読んで 4

アリストテレスの宇宙論「天について」

●第3巻 月下の世界

○第1章
・月下の世界の元素と生成消滅についての諸説

・月下の4元素は2組に分けられる
 重くて下方へ向かうもの…水と土
 軽くて上方へ向かうもの…火と空気

「まず、生成はあるのかそれともないのか、というまさにこのことを考察すべきであろう」

○第2章
「すべての単純な物体には、自然にしたがった何らかの運動がなければならない」
「もし、諸元素が自然にしたがって動いていたのだとすると、すでに秩序ある宇宙が存在していたのでなければならない

○第3章
・元素の定義
「物体の元素とは、それにまで他の物体たちが分解されるもので、物体たちのうちに可能的にあるいは現実的に内在しているものであるが、しかし、それ自身、種的には別のものへ分割されえないものであるとしよう」

○第4章
・元素は無数ではない
「原理の数はできるだけ少ない方がよい」
「諸物体はそれらに固有の差異でもって相互に異なり、またそれらの差異は限られているとするならば、明らかに元素の数も有限でなければならない」

○第5章
・元素は複数あること

○第6章
元素は生成し、消滅するものであること
「元素は永遠的なものではありえない。なぜなら、火も水も、またそれぞれの単純な物体も分解するのをわれわれは見ているからである」

・元素の生成は相互からの生成であること
「元素は非物体的なものから生じることも、元素以外の物体から生じることもできないので、残るのはお互いから生じ合うことである」

○第7章
・元素の相互からの生成

○第8章
・元素に形を与えることに対する批判
「元素の形はきまったものではないのである」
「元素たちを区別している諸性質が元素たちから分離されることによって、元素たちは相互に転化可能なのである」
「元素は形によって異なるのではない」


●第4巻 月下の世界(つづき)

○第1章
・絶対的な重さと軽さ、相対的な重さと軽さ
「あるものは常に中心から離れる本性をもっており、また、あるものは常に中心へ向かう本性をもっている。これらのうち、中心から離れるものを上へ動くと言い、中心へ向かうものを下へ動くと私は言う」
「われわれは宇宙の最外部を上と言う」
「上へ、つまり宇宙の最外部の方へ向かって動くものを絶対的に軽いと言い、下へ、つまり中心へ向かって動くものを絶対的に重いと言う」

「しかし、重さをもち、大きさ(体積)の等しい2つの物体のうち、一方が他方よりも自然的に速く下へ向かって動く場合、われわれは後者を相対的に軽い、つまり、より軽いと言う」

○第2章
・重さと軽さについて、先人の諸説の検討

○第3章
・アリストテレスの説
「運動には3種あるが、大きさにおける運動と形相における運動(質的変化をさす)、および場所的運動である」
「それぞれのものが自らの場所へ動いて行くということは、自らの形相へ向かって動くことである」

○第4章
・重いものと軽いものの相違

○第5章
・4つの元素の質料はどのように区別されるか
「あるものは軽さに適した質料をもつから軽く、常に上へ動くが、あるものはそれと反対の質料をもつから重く、常に下へ動く」
「空気と水はそれぞれ軽さと重さをもち、水は土以外のすべての下に沈み、空気は火以外のすべての上に浮く。しかし、すべてのものの上に浮くものが1つあり、またすべてのものの下に沈むものが1つあるので、あるものに対してはその下に沈み、あるものに対してはその上に浮くものが他に2つなければならない。したがって、質料もまた、それらの物体と同じ数だけ、つまり4つなければならない」

○第6章
・物体の運動における形の役割
「物体の形は、上あるいは下へ絶対的に動いて行くということの原因ではなくて、速く、あるいはゆっくり動くということの原因である」


●まとめ
アリストテレスは、自然的世界を2つの部分「月より上の世界(天界)」と「月下の世界」に分けた

「天界」は不生不滅の第5元素アイテール(エーテル)から成っている
「月下の世界」は生成消滅する4元素(土、水、火、空気)から成っている

宇宙は有限であり、ただ1つで、不生不滅の永遠的な存在である
天界は円運動する複数の天球から成っている
宇宙は球形であり、均一な速度で円運動する
星は球形で、自身は動かず、天球に付着して運ばれている

大地は球形で、宇宙の中心に静止している

◎アリストテレスの宇宙論「天について」を読んで 3

2016-03-05 23:07:39 | 宇宙
アリストテレスの宇宙論「天について」を読んで 3

アリストテレスの宇宙論「天について」

第2巻 月より上の世界(つづき)

○第1章
全宇宙はある人々の主張するように、かつて生成したのでもなければ、今後消滅しうるものでもなくて、全アイオーン(存在する期間、生涯)のはじめも終わりももたず、自らの内に無限の時間を包みもっているがゆえに、1にして永遠的なものである」

○第2章
・天の上下、左右について

「成長は上からであり、場所的運動は右から、感覚による動きは前からである」
「上と下、右と左、前と後とはどんな物体にもあるというわけではなくて、生きていて、運動の原理を自らの内にもっているものにのみある」

「天は生きものであり、運動のはじめ(原理)をもつことが、以前、われわれによって明らかにされたので、天には上と下、右と左のあることも明らかである」

「宇宙の丈(長さ)と私が言うのは両極間の隔たりのことであり、両極のうち、一方は上、他方は下である」
「両極のうち、われわれの上方に現われているのは、宇宙の下方の部分であり、見えない方が上方の部分なのである」
「天の場合、星の昇る方向が回転の始まる所であり、したがって右である」

・天球は東から西へ1日1周するように見える(地球は地軸を中心として、西から東へ1日1回自転する)(北極を上にして地球を見た場合、反時計回りをしている))

○第3章
・宇宙における物体と運動の多様性

○第4章
天は球形でなければならない。なぜなら、これは天の本質に最もふさわしい形で、本性上、第1の形だからである」
「球は立体のうち第1のものである」

○第5章
・恒星天が東から西へ回転する理由
「自然は可能なことのうち、いつも最善のことをなし、…」
「単純で止むことのない運動を行うこと、しかもその運動がより貴い方向へなされること、これが最善だからである」

○第6章
・恒星天の運動の均一性について
「天の運動も不均一ではありえない。
 なぜなら、もし不均一になるとすれば、天全体の運動がある時には速くある時には逆に遅くなるか、あるいは天のある部分の運動がそうなるかだからである。ところで、天のある部分の運動が不均一でありえないことは明らかである。なぜなら、天のある部分は速く、ある部分は遅く動くとなると、無限の時間においては、星たちの間に隔たりの変化がすでに生じていただろうから。しかし、それらの隔たりには何の変化も生じたようには見えない」
「天の運動はどこまでも加速し続けるということはないであろう。そして、もし加速の場合がそうだとすれば、どこまでも減速し続けるということもない」

宇宙は1つだけで、しかも生成せず永遠であること、また均一に運動することは以上で述べられた」

○第7章~第12章
・星たちについて
「次に、いわゆる星について、それらは何から成るのか、どういう形をしているのか、またそれらの運動はどういうものかということについて述べるべきだろう」

それぞれの星は、そこで運動している当の場(星が付着している天球)を構成している物体から成るとするのが、たしかに最も合理的であり、またこれまでに語られたこととも一致する」
「熱や光が星から出るのは、星の運動によって空気が摩擦されるからだ」
「星は火から成るのではなく、火の中を動くのでもないこと」

円たちは動くが星たちは静止していて、それらに付着したまま運ばれる
星は球形である
「星は転がって進むのではない。…いわゆる月の顔はいつも見えているからである」

「星たちが動くと、その発する音は協和するので、そこに音階が成立するという主張は、その提唱者たち(ピタゴラスの徒)によって巧妙に、しかも見事に語られている。しかし、実はそうではない」
「音など何も発していないのだから」

「星たちは球形であり、また自ら動くのではない」


○第13章 大地について 先人の諸説の検討

「残るのは、大地について、現にどこに位置しているか、また静止しているものか、動いているものか、その形は何かということについて述べることである」

「宇宙全体は限られていると主張する大多数の人々は、大地は宇宙の中心にあると主張するのに対して、ピュタゴラスの徒と言われるイタリア派の人々の主張はそれと反対である。なぜなら、中心には火があり、大地は星の1つなので中心のまわりを円運動しながら、夜と昼を造っていると主張するからである。その上、彼らはわれわれの大地に対立した別の大地を用意して、それを対地星と呼んでいる(対地星も中心のまわりを円運動している)」
「ピュタゴラスの徒は、そういう中心の場所を占める火をゼウスの番所と呼ぶ」

「またある人々の主張では、大地は中心に位置し、全天を貫いて延びている軸のまわりを回転し、動いている」

「大地の形について、ある人々は球形だと考えているが、また、平たくてドラムのような形だと考える人々もいる」
「ある人々は、大地は水の上にあると言う」

○第14章 大地について アリストテレスの説

大地は動いていないし、中心以外の所にもない

大地は球形でなければならない」
「大地の塊は球形であるのみならず、他の星たちに較べて、あまり大きくないのでなければならない」

◎アリストテレスの宇宙論「天について」を読んで 2

2016-03-02 23:22:42 | 宇宙
アリストテレスの宇宙論「天について」を読んで 2

アリストテレスの宇宙論「天について」

第1巻 月より上の世界

○第2章
・単純な運動には円運動と直線運動の2つがあること
「移動と呼ばれるところの、場所による運動は、すべて直線的か、円的か、あるいはこれら両者の混合したものである。なぜなら、前の2つだけが単純な運動だからである。その理由は、大きさにしても、直線と円だけが単純なものだからである。
 そこで、円運動とは中心(宇宙の中心)をめぐるそれであり、直線運動とは上と下へのそれである。そして上への運動と私が言うのは、中心から離れるそれであり、下への運動とは、中心へ向かうそれである。したがって、単純な移動はすべて、中心から離れるそれか、中心へ向かうそれか、中心をめぐるそれでなければならない」

「この地上の、われわれのまわりにある物体とは別に、それらとは異なるところの分離された物体があり、それは、このわれわれの世界の物体からはるかに遠く隔たっている分だけ、より貴い本性をもっていると、誰しも信ずることができるであろう」

○第3章
第5元素アイテール(エーテル)
・アイテールは月下界の4元素(土、水、火、空気)とは別の第5元素で、自然的に円運動を行い、永遠にして不生不滅な物体であり、重さも軽さももたない
 そして、天球や星を構成する物体である

「中心へ向かって動くものが重く、中心から離れるものが軽い」

「中心へ向かって、あるいは、中心から離れる仕方で動くことはありえないから」
「円運動する物体は、重さも軽さももちえない」

円運動する物体については、生成も消滅もしないし、増大も質的変化もしない

「最も高い領域を、永遠にわたって常に(アエイ)走っている(テイン)ということに因んで、アイテールと呼んだのである」

○第5章~第7章
無限な物体は存在しない

「無限なものは動きえない」
「無限な物体の存在することも不可能である」
「無限な重さは存在しえない。軽さもまた同様である。それゆえ、無限な重さや軽さをもった物体もまた存在しえない」

「無限に多くとは言わないまでも、1つより多くの宇宙が存在してもよいではないかということが、おそらく問題とされるだろうからである」

「天の外には無限な物体は何も存在しない。しかしまた、天の外には有限な物体も存在しない。それゆえ、天の外にはいかなる物体も全く存在しない。というのは、もし、天の外にあるものが思惟されうるものであるとすれば、それは場所の内にあることになろうからである」

「宇宙の物体は無限ではない」

○第8章~第9章
宇宙は1つしかない

●「宇宙は1つであるばかりでなく、多くの宇宙は存在しえないこと、さらに、宇宙は消滅しないもの、生じないものであるから、永遠的なものであるということについて語ることにしよう」

「宇宙はすべての質料を取り込んでいるがゆえに、別の宇宙は存在しないだろうし、また、多くの宇宙が生じることもありえないだろう」
「この宇宙は自然的で感覚されうる物体のすべてから成り立っている」
「この宇宙は1つ、ただ1つであって、完全なものである」

天の外には場所も空虚も時間も存在しないことは明らかである」

○第10章~第12章
宇宙は生成も消滅もしない、永遠的なものである(すなわち宇宙は常に存在する)

「宇宙は生成したのであるが、それにもかかわらず永遠である、と主張することは不可能である。というのは、生成するものはすべてまた、明らかに消滅するからである」

「宇宙の交互の生成と解体を主張する人々の場合、…、生成したり消滅したりするのは宇宙ではなくて、宇宙の状態である

「常に存在するものは生成するものでも消滅するものでもない」
生成しないもの、また消滅しないものは永遠的なものである」

◎アリストテレスの宇宙論「天について」を読んで 1

2016-03-01 23:10:52 | 宇宙
アリストテレスの宇宙論「天について」を読んで 1

アリストテレスの宇宙論「天について」

おもに「天について」(池田康男 訳、京都大学学術出版会)によります

・「天について」はアリストテレス(紀元前384年-紀元前322年)の自然学部門に属する作品であり、アリストテレスがアカデメイア(プラトンが紀元前385年ごろに開いた学園)の一員であった頃のものと考えられている

 アリストテレスは17歳のとき、アカデメイアに入門し20年間学びかつ教えた
 プラトンの死後、小アジアのアッソス、レスボス島のミティレネで研究と教授の生活を送り、マケドニア王フィリッポス2世に招かれて、王子アレクサンドロス(後のアレクサンドロス大王)の教育にあたった
 紀元前335年、リュケイオンに自分の学園を開いた

・私の想像ですが、アリストテレスはもしかしたら、アカデメイアかリュケイオンで「天について」の宇宙論講義を行ったかも知れません
 今でいう、アリストテレス教授の「宇宙論白熱教室」みたいなものがあったら当時の学生は興奮したでしょう

○「天について」の「天」の意味は、

1 恒星天を指す
2 恒星天から月に至るまでの領域を指す
3 恒星天から大地を含めたすべて、すなわち宇宙の意味

 「天」は「宇宙」を意味していると思われます

○「天について」の内容

第1巻 月より上の世界
第2巻 月より上の世界(つづき)
第3巻 月下の世界
第4巻 月下の世界(つづき)

◎タイムマシンは実現しそうにない

2015-03-11 19:43:24 | 宇宙
タイムマシンは実現しそうにない

★タイムマシンは物理学の法則を破らないかぎり実現しない
 すなわち、タイムトラベルはエネルギー保存則(熱力学の第1法則)に反する

エネルギー保存則

・閉じられた系(システム)ではエネルギーは保存される
 エネルギーは自然に発生するものでもなく、消滅してしまうものでもない
 エネルギー保存則は自然界の基本的な法則とされている

◎過去へのタイムトラベル
・パラドックスが生じる(「親殺しのタイムパラドックス」が有名)

◎未来へのタイムトラベル
・過去、未来どちらへのタイムトラベルもエネルギー保存則に反する

例 A時からB時(A時から100年後)へのタイムトラベルができると仮定する

・A時でタイムマシンが消えた瞬間に、A時での宇宙の全エネルギーから、タイムトラベラーを含むタイムマシンのエネルギー分が消滅する
・B時でタイムマシンが出現した瞬間に、B時での宇宙の全エネルギーに、タイムトラベラーを含むタイムマシンのエネルギー分が増える
 以上のことはエネルギー保存則に反するので、このようなことは起こりえない

○間違っているかも知れませんが、もうひとつ考えられることは(予想ですが)
・A時でタイムマシンが消えた瞬間に、タイムマシンが占めていた空間が消滅する(空間に穴が開く?)ので、大爆縮(爆発の反対)が起こるかも知れない
・B時でタイムマシンが出現した瞬間に、タイムマシンが占める空間を作りださなければならないため、大爆発が起こる(まわりの空間を無理やり押しのけなければならない)かも知れない
空間の構造が破壊されるかも知れない

★私は気持ち的には、タイムトラベルには夢があるし、実現してほしいと思いますが、自然界の法則は破れない以上、絶対できないとは断言できませんが、過去や未来の時代へ人間が行くというタイムマシンは何万年たっても実現しないでしょう