ビタミンおっちゃんの歴史さくらブログ

STU48 音楽、歴史 などいろいろ

◎「脳科学は人格を変えられるか?」(エレーヌ・フォックス)を読んで(5)

2016-02-18 21:51:23 | 脳科学
「脳科学は人格を変えられるか?」(エレーヌ・フォックス)を読んで(5)

ポスト・トラウマティック・グロース(心的外傷後成長)

 つらい出来事を乗り越えて、前よりもむしろ、人間的に向上し、成長する

 逆境体験のあとに訪れる、ポジティブな成長

 トラウマになるような経験をしたことで、人間としてより豊かになる

○恐怖の解除方法のひとつ
・恐怖の対象に何度も向き合うことによって、「近づいてもひどいことにはならない」と理解する

○感情をうまく調節できる人ほど、幸福感は高い
 「成功の秘訣は、とんでもないことが起きても、それがなんでもないことのようにプレイできることだ」

○「人生の舵は自分が握っている

 運命をコントロールするのは自分だという強い気持ちをもっている人は、立ち直るのも早いし、人生を最大限楽しむことができる
 自分で状況をコントロールしているという感覚が、健康や幸福につながる

●幸福になるためには

・ポジティブな感情や笑いを数多く経験すること
・仕事であれ、趣味であれ、自分にとって意味のある何かに積極的にとりくむこと
・長期的な視野で人生に意義を見出すこと

●楽観主義者とは、大きな目的に向かって没頭したり、意義ある目標に到達するために努力を重ねたりできる人である

◎「脳科学は人格を変えられるか?」(エレーヌ・フォックス)を読んで(4)

2016-02-16 22:05:40 | 脳科学
「脳科学は人格を変えられるか?」(エレーヌ・フォックス)を読んで(4)

人間の脳は高い柔軟性があり、物理的な構造において変化が起こる
○行動や思考は、ニューロン、ニューロン同士の結びつきに影響を与え、脳の回路の働き方が変わる


「世界をどう見るか」を変えれば、脳に変化をもたらせる


脳は、生まれた瞬間から死ぬ瞬間まで、絶えず何かを学び、変化する

 ニューロンのネットワークは、新しい経験によって再配列する
 練習量に応じて、脳は変化する

・新しい経験で脳を刺激してやらなければ、ものごとの対処の方法や信念は固定化し、簡単には変化しなくなる


人間は、老いてもなお、脳細胞が新たに作られる

 ニューロンは、新しく生まれる

◎「脳科学は人格を変えられるか?」(エレーヌ・フォックス)を読んで(3)

2016-02-15 22:04:08 | 脳科学
「脳科学は人格を変えられるか?」(エレーヌ・フォックス)を読んで(3)

○危険が迫っていることを感知する脳の領域、「恐怖の回路」の中心にあるのは、扁桃体である

 扁桃体は身を守るための恐怖反応をひきおこす
 扁桃体のはたらきは、危険を探知し、人間がそれに反応するのを助けることである

○視覚的には見えていない危険を、無意識が「見る」ことが可能になる

「恐怖の回路」は、危機から身を守るために脳に備わったシステムで、自動的に危機に対処する
 しかし、「恐怖の回路」は楽観的思考の妨げにもなる


●扁桃体の有用性

○扁桃体を損傷した人は、
 恐怖を感じることがなくなり、他者の恐怖の表情を認識することができない
 相手が信用できる顔かどうかを判断できない
 警戒機能がなくなり、危険やリスクを認識したり回避することができない



「性格とは、先天的なものか、後天的なものか」という問いは、時代遅れで意味がない

◎「遺伝子は何世代もかけてゆっくり変化する」のではなく、遺伝子の作用はその人がどんな体験をしたかによって、生きているあいだじゅう変化する
 こうした変化は、DNA配列そのものに影響せずとも、次の世代に受け継がれる
 親の喫煙など環境的な要因は遺伝子に刻印を残し、次の世代にまで影響する
 親の代で起きた脳内プロセスの変化はそのまま次代に受け継がれる

遺伝子発現

・遺伝子は一連のDNAの先にプロモーターと呼ばれる部分がついた構造をしている

 遺伝情報の転写によって遺伝子は発現する
 遺伝子の転写が起きるためには、メッセンジャーRNAがプロモーター部分に接続しなければならない

 メッセンジャーRNAが遺伝子のプロモーターを読み取ることができれば、遺伝情報の転写が起こり、遺伝子が発現し、活動を開始する
 ところが、プロモーターがブロックされたら、メッセンジャーRNAは遺伝子情報を読むことができず、遺伝子は発現しない

 プロモーターの近くに潜むメチル系化学物質は、プロモーターをブロックする
 メチル系化学物質がプロモーターをブロックすれば、遺伝子は発現しない(DNAのメチル化

 遺伝子は発現したときに初めて、何かの作用をもたらすが、発現しなければ何の作用も果たさない

○遺伝子情報が解読されるかどうかに影響を与えるのは、その人をとりまく環境である
 どんな遺伝子をもって生まれたか、というよりも、それらの遺伝子の中でどれが発現し、どれが沈黙したままで終わるかということである


●母親の子どもへの接し方で、子どもの遺伝子の発現に大きな差が生じる

 母親の愛情は、子どものストレスへの耐性にかかわる遺伝子の発現に影響する

 海馬に「グルココルチコイド受容体」という物質があり、この受容体の量が多いとストレスに容易に対処できる
 母親からの愛情が薄かった子どもは、グルココルチコイド遺伝子のプロモーターにDNAのメチル化が高い数値で認められることが発見された

 母親が子どもに愛情深く接するほど、ストレスに強い子どもに育つ

 また、妊娠の後期3か月のあいだ、母親が抑うつや不安に悩まされていると、赤ん坊のDNAのメチル化が大きく進み、ストレスに弱い子どもに育つことになる

母親が楽観か悲観かは、子どもにまで影響を与えると言える
 
 

◎「脳科学は人格を変えられるか?」(エレーヌ・フォックス)を読んで(2)

2016-02-13 23:39:57 | 脳科学
「脳科学は人格を変えられるか?」(エレーヌ・フォックス)を読んで(2)

○快楽の追及において中心的な役割を果たすのは、大脳皮質の下にある「側坐核」と呼ばれる組織である
 「側坐核」は「快楽中枢」である

○脳を上中下の3つの部分に分けると、いちばん下の部分は、呼吸や血圧や体温を適正に保つなど、生命維持にかかわる仕事を行う
 中の部分は、感情や記憶をつかさどる部分で、偏桃体、側坐核、海馬などの組織がある
 上の部分は、大脳皮質である
 人間の大脳皮質に複雑なしわがあるのは、進化の過程で大きく成長し、頭蓋のなかにおさまるために細かく折りたたまれるしかなかったからである

○脳の各領域は、ネットワークで結ばれている
 メッセージを送ったり、受け取ったりするのが、ニューロンという神経細胞である
 人間の脳内には、個数は諸説あるが、1千億を超えるニューロンがあり、それぞれのニューロンは1万におよぶ他のニューロンとコミュニケーションできる

○ニューロン間の「会話」、情報伝達には化学物質が関わっている
 ニューロンの軸索の末端にはシナプス小胞と呼ばれる小さな袋がついており、その中にドーパミンなどの神経伝達物質が入っている

○「側坐核」を構成する細胞には、ドーパミンオピオイド(モルヒネのような働きをする)のどちらかの神経伝達物質が含まれている

○快感によって刺激を受けると、側坐核はドーパミンとオピオイドを分泌する

ドーパミンが担うのは、何かを「欲する」ことであり、「気持ちよく感じる」ことにはかならずしも関係しない
 「気持ちよく感じる」のはオピオイドの働きで、ドーパミンは、「欲して」反復させる作用をもつ


●「快楽中枢」側坐核は人間を快楽へとかりたて、大脳皮質にある「制御中枢」前頭前野はそうした衝動を抑えるブレーキの働きをする


9.11のあと、ニューヨーク市民は以前より親切になり、人とのつながりを大事にするようになった
 今、ニューヨークの街には、より人間的で親切な空気が漂っている
 人々は、街角で他人とおしゃべりをするようになった

人間の脳は、未来に常に希望を抱くように配線されている

 楽観は人間が生き延びるためのメカニズムであり、どん底の暗いときにいても、未来に対して前向きなポジティブな見方をすることができる
 これを「オプティミズム・バイアス(楽観的偏向)」と呼ぶ
 人間の脳は、楽観的な方向にかたむいている

・すべての人が平均より高い収入を得ることはありえないのに、ほとんどすべての人は「自分の収入は平均より高い」と思い込んでいる


現実とは、「ポジティブな思考をすれば、よい出来事が勝手に起こりはじめる(ポジティブ・シンキング)」というものではない

 楽観的に考えるだけで解決するなどという魔法のようなことはない

 「ポジティブな思考」というよりも「ポジティブな行動」が幸福につながる

○明るい楽観主義的な自叙伝を書いていた修道女たちは、暗い自叙伝を書いていた修道女と比べ、平均10年も長生きした、という調査がある
 楽観的であればあるほど、健康度が高い


●ポジティブな感情は、思考の幅を広げ、創造性が向上する


●「成功とは、失敗に次ぐ失敗を重ねてもけっして熱意を失わない能力のことだ」(チャーチル)

●エジソンの災いに出会っても折れない心と前に進み続ける力

試作が1万回を超えたとき、「失敗したのではない。うまくいかない方法を1万通り見つけただけのことだ」(エジソン)
「1つの素材がだめだったということは、その素材に可能性がないことが分かったのであって、別の可能性に行き当たるチャンスが増えたということだ」(エジソン)
 失敗は、ゴールに1歩近づくことである


●アマゾン・ドットコムの創設者ジェフ・ベゾス

・ジェフ・ベゾスは「オンライン上で本屋を開けば、ぜったいに当たる」というアイデアを得た
 ふつうの本屋や倉庫は収容できる数に物理的制限があるが、オンライン上の本屋にはその制限がない。本の写真と抜粋情報を掲載するだけで、オンライン上で何百万冊もの本が即座に購入可能になる
 こうして1995年7月16日、アマゾン・ドットコムは正式サービスを開始した


・私も、今は普通の書店で本を見ることはあるが、本を買うのは、ほぼすべてアマゾン・ドットコムを利用している
 メリット
1 いつでも、どんな遅い時間でも早い時間でも買える(たいていは送料無料で)
2 本屋へ行く時間も、交通費もかからない
3 書店ではほしい本が置いていないことがあるが、アマゾンでは、ほしい本はたいてい検索、入手可能
4 新刊でなくても古本でも検索、入手可能
5 新刊の場合など、在庫がある場合は、ほとんど当日、1、2日で届く

 メリットが圧倒的に大きいですが、デメリットとしては
 基本的に検索することによって本をさがすので、検索しない、自分が気になっていない本は、目につかないか、ひっかかりにくいこと
 普通の本屋のメリットは、自分が気付かなかった、思いかけず興味を引く本を発見することがある点である
 そんなときでも、私はその本屋では買わず、覚えておいて、アマゾンで買います

 アマゾンも検索の方法のほかに、現実の本屋の中を見て回るように、本を見て回れる、日々更新されるバーチャル書店のシステムをつくってくれないでしょうか

◎「脳科学は人格を変えられるか?」(エレーヌ・フォックス、文藝春秋)を読んで(1)

2016-02-11 23:55:12 | 脳科学
「脳科学は人格を変えられるか?」(エレーヌ・フォックス、文藝春秋)を読んで(1)

・「楽観主義者はすべての困難の中に好機を見つける」(チャーチル)

ものごとをどう見るか、世界をどのように解釈するか、によって実際に起きることが変化する

世界にどう向き合うかによって環境は変化する

楽観的な人は、悲観的な人よりも、ポジティブな出来事をより多く経験する
 気質は、起きる出来事に影響を与える


・人間の脳は変化する可能性があり、ものの見方が変化すれば、脳の構造は再形成される


・楽観的な気質とは、未来に真の希望を抱くことである
 「ものごとはかならず打開できる」という信念であり、
 「どんなことがあってもかならず対処できる」という思いである
 「ものごとは最後にはうまくいく」と強く信じることである

・楽観主義的な人は、自分の身に悪いことが起こらないと思っているのではない
 悪いことは起こるかも知れないが、何が起きても対処できる、かならず乗り越えられるという自信をもっている
・本来の楽観主義は、世界を善悪こみであるがままに受け入れ、なおかつ、ネガティブなものに屈しないことである


・同じ状況でも、「どう解釈するか」が、「どう感じるか」に影響する

・脳は、無数の情報の中から、重要なもの、特定の事実や経験だけを選んで認識し、記憶し、重要でないと判断したものは無視する
「何に注目するか」によって世界観が変わる
・人間は自分にいちばん関心のあるものごとに目を向け、決して見逃さないようにしている

・自叙伝的な記憶は絶対に正確だとは言い切れない
 記憶は過去に起きた出来事を、正確に報告するものではない
 記憶は、各自の世界観や利益に合うように、起きた出来事を選択しなおしたものである

・ポジティブで幸せな記憶は楽観的な見方をはぐくむ

・その人の信念に合致しないものごとは、目の前にあっても認識されない
 人は確認的な証拠ばかり探そうとする

何を信じるかによって、肉体には物理的な変化が生じる
 具合が悪くなると思いこめば、どこも悪くないのに、本当に病気になる
 何を信じるかによって、健康は良くも悪くもなる