WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

がんばれ、楽天イーグルス!

2013年10月25日 | 今日の一枚(E-F)

◎今日の一枚 353◎

Eagles

Hotel California

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 天気が心配だが、明日からいよいよ日本シリーズだ。楽天イーグルスが日本シリーズを戦うなんて夢のようだ。やはり、地元に球団があるのはいいものだ。以前は私も何度か球場に足を運んだものだが、渡辺直人がトレードされたあたりからちょっと熱が冷めてしまって、球場には行っていない。

 けれど、やはり嬉しいことに変わりはない。パリーグ制覇の時も、日本シリーズ進出決定の試合も、テレビの前でだが大きな声をあげ、応援グッズを使って応援した。渡辺も鉄平も草野も山崎も、かつて球場に行ったころに活躍していた選手はもうほとんどいない。そのことがやや心にひっかかるが、基本的には素直に応援できる。金で選手を集めたジャイアンツは強敵だ。もしかしたら、楽天はボコボコにされるかもしれない。それでも気持ちで負けず戦ってもらいたい。応援グッズを使い、またテレビの前で応援したい。

 なお、ジャイアンツの阿部選手には、震災の時、胸に「JAPAN PRIDE」とプリントされた、アンダー・アーマーのウインドブレーカーを支援してもらった。金満球団、巨人軍は嫌いだが、阿部選手には頑張ってもらいたい。

     ※     ※     ※     ※

 もちろん、楽天イーグルスということで、イーグルスの『ホテル・カリフォルニア』、1976年リリース作品だ。先日購入した「Eagles The Studio Album 1972-1979」のうちの一枚である。ロックの名盤と呼んでさしつかえないだろう。アルバム全体のトーンや、曲の配置にも気が配られ、非常によくできたアルバムだと思う。

 ②New Kid In Town が好きだ。このアルバムで一番好きな曲である。いい曲だ・・・・。⑤Wasted Time(reprise)を聴いて、浜田省吾の『約束の地』の「マイ・ホームタウン」の前のやつを思い出すのは私だけだろうか。

 ①Hotel California はもちろん名曲である。メランコリックな曲想。歌詞構成のみごとさ。十二弦ギターの響き。静かなレゲエのビート。絶妙のタイミングのオブリガード。そしてなんといっても、ドン・フェルダーとジョー・ウォルシュによるツインギター。どれをとっても素晴らしい。ただ一方で、ほかの曲でなぜツインギターがフィーチャーされなかったのかという疑問と不満はある。もう少し、ツインギターを前面に出しても良かったのではないか。また、あまりに素晴らしいサウンドのためか、アルバム全体の中で、この曲だけ浮いているように感じるのは気のせいだろうか。

 しかし、それにしてもである。私のカーステレオのHDDには、この名盤『ホテル・カリフォルニア』の次に、最近の2枚組『ロング・ロード・アウト・オブ・エデン』が入っているのだが、車を運転しながら、いつも後者の方に共感をもってしまうのは一体どういうことだろう。


フリー"ライブ" 再び

2013年10月25日 | 今日の一枚(E-F)

◎今日の一枚 352◎ 

Free 

"LIVE"

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  台風27号もどうやらわが三陸海岸をそれていきそうだ。けれども、海は荒れている。あの大津波以来、松林や家々がなくなってしまったからだろうか、あるいは地盤沈下で海岸線が近くに来たからだろうか、"ゴーッ"という、海の荒れる音が本当によく聞こえる。少し、恐怖すら感じるほどだ。伊豆大島とか、台風の通り道になりそうな地域の人たちは、本当に不安だろう。痛いほど気持ちがわかる気がする。

 現在の家は海から1km以上も離れており、また家の周囲に崖などもなく、その意味では安心だ。子どもの頃に住んでいた家はそうではなかった。小屋のように粗末な家は嵐が来るときしみ、裏にあった高い崖が崩れはしないかという不安がいつもあった。嵐が来るたび、父とともに外にでて、風雨の中を裏の崖の状態を見に行ったものだ。子どもには決して楽しいことではなかったが、男は家族を守らねばならないということを学んだような気がする。父はそれを私に伝えたかったのだろうか。現在でも、私は嵐のときに家のようすを見ようと外に出るが、わが息子たちはついては来ない。

     ※     ※     ※     ※

 ずっと以前に取り上げたことのある、フリーの『ライブ』である。レコードプレーヤーが故障中ということもあり、CDを購入してみた。7曲のボーナストラック付きである。なるほど、オリジナル・トラックの方が確かに洗練された演奏だ。けれど、ボーナストラックの方も粗削りではあるが、なかなか力強い演奏である。ポール・コゾフの"泣きのギター" を堪能できる。ボーナストラックを聴くことで、当時のフリーのライブの臨場感をよりリアルに感じることができるように思う。

 ところで、しばらくぶりにフリーを聴いて感じるのは、アンディー・フレザーのベースの物凄い存在感である。ドライブするような音色でサウンド全体をけん引している。まったく独立したようなフレーズを弾きながら、曲をしっかりと支え、分厚いサウンドを作り上げている。本当にすごいベーシストだ。アンディー・フレザーは最近どうしているのだろうと思いwebを検索してみると、何と今年2013年の10月22日,24日に42年ぶりの来日公演があったらしい。近年は東日本大震災へのチャリティーや、幼児虐待防止キャンペーンなどの社会活動も行っているとのことだ。

 以前の記事でも取り上げたものだが、フリーというバンドについては、渋谷陽一氏の次の文章が核心をついていると思う(渋谷陽一『ロック ベスト・アルバム・セレクション』:新潮文庫)

フリーのサウンドの最大の特徴はやはり重く落ち込み、そして決してネバつかないあの独特のリズムといえるだろう。ローリングストーンズが黒人音楽やスワンプサウンドを真似て重いネバつく音をつくりあげたとするなら、フリーはブルースから離反していく過程で重いリズムを獲得したといっていいだろう。フリーはあくまでも白人独特の疲労感と痛みを歌うグループなのである