WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

いろんなものが壊れる年だ!

2013年10月05日 | 今日の一枚(A-B)

◎今日の一枚 344◎

Stan Getz & Bill Evans

Scan

 今年は、妙にいろいろなものが壊れる年だ。とりわけ、エアコン、レコードプレーヤー、カセットデッキが「失われた三種の神器」ということになろうか。これに寝室用のONKYOのミニコンポを含めて「失われた四種の神器」というべきかもしれない。他にもいくつかあるのだが、最近の家電は、「一定の時間が来ると破損する時限爆弾」が仕込んであるのではないかと疑ってしまうほどだ。部品の在庫保有期間は10年だとかで、修理もままならない場合も多い。 

 エアコンについては、家の新築と同時に取り付けたFUJITU製ものだったのだが、今年で11年目ということになる。とりわけ暑かった今年の夏、まったくこれには困り果てた。メーカーに問い合わせても部品の在庫がすぐには確認できないといわれ、新しいものを購入しようとすると取り付けは1か月待ちとのこと。結局、暑さは扇風機と網戸で何とかしのいだのだが、結構つらかった。機能的には何ひとつ不満はなく、家の一部だと思っていたほどだったので、何か大きな喪失感だ。エアコンはまだ購入していない。昔は、エアコンなどなくても平気だったのに贅沢になったものだとも思うのだが・・・・。 

 レコードプレーヤーについては、前のプレーヤーが破損したあと、新しいものを購入せず、BOSEからもらったベルト式の「粗品」を使っていたので、まあ仕方ないだろう。新しいものを購入するためには数万円はかかるようだ。その数万円を、プレーヤーに充てるか、CDや本に充てるかは考えてみると結構迷う問題だ。妻の反応も怖いところである。ただ、LPでしか持っていない音源もあり、それが聴けないということは、やはり私にとって大きななダメージだ。  

 カセットデッキにはほとほと困っている。ある日突然、電源が入らなくなったのだ。「昔のカセットテープを聴く」というマイブームで使用頻度が増えたのは確かだったのだが、それにしてもあっけなく壊れてしまったものだ。長く使ってきたものだったのでそれなりに愛着もあり、ちょっとがっかりだ。ネットで調べても、もう売られているデッキの種類は限られており、安いものでも数万円の出費を覚悟しなければならない。所有するテープの中には、現在CD化されていないものも多数あり、また私自身の若い頃の演奏の音源などもあるので、やはりそのうち購入したいとは思う。 

     ※     ※     ※     ※ 

 今日の一枚は、1964年録音で1973年にリリースされた『Stan Getz & Bill Evans』である。カセットテープに同じタイトルのものがあったのだが、確かジャケットに日の丸みたいな赤丸がついていたと記憶している。違う作品なのだと思って購入したのだが、ジャケットが違うだけの同じ作品だったのですね。カセットデッキの破損でテープが聴けなかったので、まあいいか、と自分を慰めたりしたわけであるが、よく見れば、このジャケットもなかなかいいではないか。背後の壁に『エラ&ルイ』がさざってあるところがなかなかいい。ほほえましい感じがいいではないか。演奏も、『エラ&ルイ』同様、くつろいだ、歌心のある演奏内容だ。 

 ⑦~⑪にボーナストラックが収められており「お得感」はあるのだが、通して聴いてしまうとやや冗長な感じは否めない。だから、通常は①~⑥だけを聴くようにしている。カセットテープでこのアルバムを聴いていたのは20代の頃だったので、通して聴くのはおそらく30年ぶりぐらいになるかもしれない。 

 こんなにいい内容だっけ、と感激している。①Night and Day は、好きな曲ではないのだが、このアルバムの演奏で聴くと共感できる。お気に入りは、⑤Melinda と⑥Grandfather's Waltz だ。美しいメロディーの芯をきちんと抽出した歌心溢れる演奏と、背後に漂うほのかな静謐感がたまらない。なんだか心がドキドキする。 

 長い年月をへて、良さがわかる。これもJazzを聴くことの楽しみの一つだろう。 

 願わくば、音楽も電化製品も長く付き合いたいものである。