WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

福乃友酒造の「冬樹」(純米吟醸)

2006年12月29日 | 

Cimg1756  ここ数年、この時期には、福乃友酒造の「冬樹」を飲むことが恒例になっている。最近では、「冬樹」もずいぶんと有名になってしまったが、手づくりできちんとした酒をつくるという福乃友酒造のスタンスは変わっていないようだ。福乃友酒造は、秋田県大仙市神宮寺にある蔵元で、手作りにこだわり、「個性派」を自認しており、それは社長の「無理をして事業を展開してダメになるよりは、地道でもいいから、ずっと継続することだけを考えて酒作りをしよう」という言葉によくあらわれている。

 特に「無調整純米吟醸 冬樹」は、本来酒作りには適さないといわれる飯米のキヨニシキを使ったいわば異色の逸品で、全国的にも稀なほど鉄分が少ないといわれる雄物川の伏流水の井戸水を使用しているのも特徴だ。

 本当の手作りなので毎年毎年微妙に味が違う。というと、通ぶっているように聞こえるかもしれないが、誰でもわかるほどに味が違うのだ。しかも、味が違っても基本的にうまいということはかわらないのがうれしい。昨年の冬樹は酸味が強かったが、今年のはとてもフルーティーな風味だった。一口飲んだ瞬間、しばらくぶりにうまいと口走ってしまった。この思いを誰かに伝えたいと思い、家事をしていた妻に「今年の冬樹はうまいよ」といったら、あきれられてしまった(いつものことではあるが……)。

 ともあれ、今宵の酒はうまい。年末に飲む酒がうまいのは、心にゆとりがあるからだろうか。


「華心」(純米吟醸)

2006年12月28日 | 

Cimg1748  今年の仕事もとりあえず今日でおしまいだ。大掃除やらなにやらのことを考えると、そんなにゆっくりもできそうにないが、今宵は本当にしばらくぶりにゆったりした気分だ。

 懐かしの大貫妙子を聴きながら、地酒を飲んでいる。伏見男山の「華心」(純米吟醸)だ。すごく感動的な味とはいえないかも知れないが、日々飲む酒としては結構いい。一応、米作りの段階からこだわった酒らしい。

 気分がいい。そろそろジャズを聴こうか。


鼎心(かなえ)

2006年06月04日 | 

携帯電話で撮影した画像をメールでパソコンに送ることができると聞いて実験してみました。

写真は、私の家の近くの酒屋「大越酒店」が特別につくっている「鼎心(かなえ)」という酒です。生なのでやや甘ですが、手ごろな値段でなかなかの味です。

 




クレメンタインを飲みたいな

2006年05月01日 | 

Clementine8y

若い頃、よく通っていたバーがあった。当時の田舎の飲み屋としてはめずらしく、カラオケを一切かけず、ジャズだけを静かにかける店だった。

媽媽」という名の店だ。とてもいい店だった。話題の豊富なママとの会話を楽しみに多くの客が通った。映画や音楽や思想やそして大杉栄の話……。私も若かった。20代後半か、30代はじめ……。

その店は、ある日突然消えた。いろいろなことがあったらしい。

その店には、やはり田舎の飲み屋にはめずらしく、数多くのバーボンが置いてあった。そこのママが一番好きだといって紹介してくれたのがこの「クレメンタイン」。以来、私もクレメンタインのファンになった。

1849年、ゴールドラッシュで沸くアメリカのある町に、美しくもはかなく消えていった娘がいたそうだが、これは、悲しい逸話を残したその娘「クレメンタイン」にちなんで名付けられた酒だそうだ。

眠れぬ夜に、クレメンタインをロックで飲みながら、ときどきあの頃を思いだす。