ひのっき

あったかくてぐっすりでごはんがおいしくてよかったねうれしいねなんて小さなしあわせ探し雑記

「凪のお暇」は空気を読むという呪いとの闘いを描いた良作

2017年09月19日 | 絵日記

 

凪のお暇 1 (A.L.C. DX)
コナリミサト
秋田書店

コナリミサト先生の「凪のお暇」を読みました。

面白かったです。ちょっと勇気をもらいました。

主人公は節約だけが生きがいの都内28才女性会社員。

人に嫌な顔をされるのが怖くて、面倒な頼みごとや断りたい誘いでも「空気を読んで」いつも笑顔で受け入れてしまいます。

そのため人に舐められやすく、職場では膨大な雑用やミスの責任を次々と押し付けられた上、ああはなりたくないよねと同僚達にもバカにされてしまいます。

心の拠り所は同じ会社に勤める恋人。早く結婚したい一心で尽くしますが、ある日恋人が同僚達に言い放つのを立ち聞きしてしまいます。「便利だからちょこっと利用してるだけで、あんな貧乏くさい女は生理的に無理。」

ショックで過呼吸になり、倒れうずくまる主人公。汚いものでも見るように見下ろす恋人。

主人公は悟ります。「空気は読むものではなく吸って吐くものだ。」

会社を辞め、郊外の家賃3万円のアパートに引っ越す主人公。

「変わりたい!」

無職というお暇を手にした主人公は、なりたい自分に変わることができるのか!・・・というお話。

なにやら主人公の心情があるあるで、チキンハートなおいらには他人とは思えません。切なすぎて読んでいるこちらも過呼吸に陥りそうです。

しかし主人公は少しずつ、本当に少しずつですが、一歩一歩前に踏み出します。

人に話しかける、振り絞ったその勇気が主人公に思わぬ世界の広がりをもたらします。

これまでは笑顔で言いなりになっていたような状況にも、いっぱいいっぱいながら自らの意志で対応する意識を持ち始める主人公。

「空気を読む」という現代の呪い、それを振り払い自分を取り戻すために精一杯闘い始めた勇者の物語を描いた良作です。