ひのっき

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海街diaryは人の絆の残酷さと美しさを描き切った名作

2017年04月28日 | 絵日記
海街diary 8 恋と巡礼 (フラワーコミックス)
吉田秋生
小学館

吉田秋生先生の「海街diarly」を読みました。

面白かったです。ほんわか温かくも切なく胸に刺さる作品です。

鎌倉で暮らす三姉妹のもとに、離婚して家を出た父親の訃報が届きます。

葬儀で初めて出会った母親違いの妹。

複雑な環境に置かれた彼女を鎌倉に迎え、四姉妹の新しい生活が始まります。

親子のすれ違い、親族の確執、終末医療への挑戦、相続の理不尽、巻き起こる様々な問題に立ち向かい成長する四人。

周囲の人たちとのかかわりを大切にしながら、四人は静かで幸せな日々を送ります。・・・というお話。

しかしただほのぼのした作品ではありません。

四人の目を通し、様々な人々の心の傷と生き難さが淡々と描かれます。

人が生き暮らすというのは戦いなのだなあとため息。

そんなハードな話もありつつ、恋話や子供たちの成長も丁寧に描かれます。

個人的には当初モブキャラ扱いだった風太君の、もうお前が主人公でいいよクラスの成長ぶりと小さな恋のオタオタぶりにほんわり癒されます。

また随所で鎌倉の名所が美しく紹介され、ガイドブックとして読んでも秀逸。

人の絆の残酷さと素晴らしさを、キラキラと輝くような筆致で描き切った名作です。