感染性胃腸炎の検査、診断書について

2018年05月06日 | 日記・エッセイ・コラム
 感染性胃腸炎に関する出勤や登校、検査や診断書に関するお問合せが、この連休中に多くありました。

「下痢で仕事を休んだら、職場からノロじゃないか調べて来いといわれた」
 ノロウイルスの迅速診断キットは当院にも用意がありますが、保険適用は3歳未満と65歳以上で、それ以外の年齢の方は自費診療になります。ノロウイルスに対する特別な薬があるわけではないので、診断しても治療は変わりません。(安易に検査を指示する会社があまりに多いので、ノロウイルスの迅速検査の自費料金は2万円と高めに設定しております)

「他の病院で感染性胃腸炎と診断されたが、検査をして菌がいなくなったという診断書を職場に提出しろ、といわれた」
 もともと病原性の高い菌やウイルスがいたかのどうかがわかりませんし、細菌培養検査は時間がかかります。便を培養したけれど、病原性のある菌は出ませんでした、という最終報告には2週間ぐらいかかります。それまで自宅待機されるおつもりですか?

 感染性胃腸炎は患者と一緒にいるから感染する、のではなく、患者から出た吐物や糞便から菌やウイルスが飛び散って感染します。
 飛び散った菌を吸い込んだり、直接触ったり、何かに付着した菌を触ったりして、それが口から体内に入り感染します。
 吐物や便の管理をしっかりする、トイレの換気をよくする、患者も周りの方もよくうがい手洗いをすることで、かなり防ぐことができます。また、嘔吐や下痢の症状がなくなれば、周囲に感染させる可能性も低くなります。
 従いまして、菌やウイルスの種類が何か、ということよりも下痢や嘔吐の症状が改善したかどうか、が感染性胃腸炎の治癒診断のポイントで、症状改善ということだけで「治癒診断書」も発行できます。
 もし職場から菌やウイルスの検査を求められた場合には、そのことをよくお伝えください。

 ただし、下痢や嘔吐の患者さんが同じ職場や特定の飲食店の利用者に集中している場合などは、集団食中毒の可能性がありますので、保健所にご相談ください。
 
 感染性胃腸炎の診断と治療に関しては、こちらをご参照ください。