あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

季節ごとの仕事

2016-05-12 | 日記
忙しい夏が終わった。
僕の仕事は季節によって波がある。
季節の移り変わりを体で感じる仕事とも言える。
忙しい時はめちゃめちゃ忙しいがヒマな時はとことんヒマだ。
一年中忙しかったらストレスやらなんやらで体調を崩すだろうし、また一年中ヒマならそれはそれで困ってしまう。
やはりバランスというものが大切なのだろう。
今年の夏は忙しく、自分の山歩きが全くできなかった。
いつもなら年に一回ぐらいプライベートで泊まりがけで山に行けるのだが、今年はその機会もなかった。
去年はガートルートサドルへ行った。
今シーズンも何回かミルフォードサウンドまで行き、このサドルを見上げて去年のこの時を思い起こした。
瞬間の感動というものは消えてなくなってしまうものではなく、永遠に持続する。
それには決断そしてその後の行動。
それら全てをひっくるめたものを経験と呼ぶ。
経験とは財産であり、それは個々の人間を成長させる。



なにはともあれ夏シーズンが終わった。
たくさんのチップをいただき、不本意ながらクレームもいただいた。
思い出に残るお客さんとの出会いもあったし、二度と会いたくない人もいた。
出会うのは人だけではない。
今年は珍しい鳥にもあった。
ブルーダックと呼ばれる鴨はマオリ語でフィーオと言い、10ドル札の裏に印刷されている鳥である。
鴨というとどこにでもいるイメージだが、この鴨はニュージーランドで4000羽ぐらいしかいない絶滅危惧種である。
ブルーダックと言っても真っ青ではなく灰色がかった青という感じの色だ。
人が来ると流れに沿ってすーっと逃げてしまうそうでルートバーンにいるとは聞いていたが見たことはなく、僕は動物園でしか見たことがない。
ある日お客さんと歩いて休憩をしようと川原へ出てみたら一羽の鴨がすーっと動いて川の真ん中の流木に止まった。
こんな所に鴨なんて珍しいなと思ったが、よくよく見てみると噂のブルーダックだった。
僕らは鴨を驚かさないように大声を出さず距離を取って存分に眺めた。
鴨は逃げることもなく流れの中にある倒木の上にたたずむ。
人間が流れの中に入って来ないと感じたのか警戒心を持ちつつもその場でじっとしていた。
その距離わずか3m、10年以上ガイドをしているがこんな経験は初めてだった。
再び歩き始めて5分後に反対方向から来たガイド友達のサダオに出会い、その事を伝えると彼はカメラを出して一目散に走っていった。
僕のお客さんもそれを見てどれぐらいその鳥が珍しいのか気づいたようだった。



いつもならば4月の頭には仕事が薄くなりそのまま終わってしまうのだが、今年は忙しくゴールデンウィークまで働いた。
そういえば去年の今頃は日本をあちこち飛び回っていたのだなあ。
東京で寄席、屋形船、そして高層マンションのペントハウスと案内してくれた友達がクィーンズタウンに遊びに来て、一緒にワインを飲み、今度は僕がその彼をここの森に案内した。
日本で偶然といえば偶然だし必然といえば必然の出会いの星子がニュージーランドに来てともに濃い時間を過ごした。
ヤツとの数日間の話をブログに書こうと思っているのだがあまりに濃すぎて何をどこからどこまで書けば良いのか収拾がつかないでいる。
そんなこんなで夏は家の事がなにもできなかったのだが、この時期は集中的に家の仕事をする。
庭の土作り、秋冬物の野菜の種まき、壊れたフェンスの修理、倒れかけた木を切る。
半年に一度の石鹸作り、ニワトリも卵を産まなくなったのは絞めて若いヤツを何羽か買おうか。
そうそうビールも次のバッチを仕込む時だ。
それに加え夏の片付けと冬の支度と、やることはいくらでもある。
ガイドの仕事も家の仕事も同じくらい大切な仕事である。
この季節ごとに変化のある仕事がなかなか好きなのだ。






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2 コメント

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幸せとはまさにこのこと (U+32A8)
2016-05-12 05:10:31
お陰さまでクイーンズタウン最高に幸せな時間をすごせました。ありがとうございます!
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Unknown ()
2016-05-29 03:50:15
幸せは常にそこにあり。
返信する

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