野菜に関する怪情報を探る

テレビや書籍、ホームページなどから、野菜に関する記載について疑問に感じたことを綴るつもりです。

野菜は毒?

2009-08-02 09:20:19 | Weblog
 「ゲッチュ先生の野菜探訪記(木魂社)」という本を読みました。動物のように動けない植物は、ケミカルディフェンスといって化学物質を体内にため込んで、これを武器に摂食から逃れようとしているということを、野菜にもあてはめておもしろく解説されています。ワサビをテントウムシの背中に塗ったら死ぬ、アブラナ科野菜のS-メチルシステインスルホキシドでウシが溶血性貧血を起こす、タマネギでイヌが溶血性貧血を起こすなど例示して、こういったものを平気で食べられる人間こそが「変態」とのこと。
 こうした有毒成分としてワサビの場合はイソチオシアネートが知られています。S-メチルシステインスルホキシドは、ニラのニオイのもとですし、タマネギの溶血成分は、イソアリルシステインスルホキシドでしょう。こうした成分は、このブログでよく紹介するような「***事典」の類の本では、これらの野菜の「健康成分」として大々的に宣伝されています。
 神様が今の形で野菜なり作物なりをお与えくださったのではなく、先人達が、それこそ命をかけて食べられる食材を探し、これをより食べやすく改良した姿が現在の野菜であり、コメであり、ダイズでしょう。これらの植物にとっても、動物や微生物にやられることなく、子孫を残すことが最大の目的であったはずです。野菜や他の作物にも、本来はケミカルディフェンスが備わっていたはずです。こうしたケミカルディフェンスに関わる成分は、動物にもいやがられるように、苦味や辛味を示す場合が多く、これらの成分を減らす方向で野菜が代々改良されてきました。
 ケミカルディフェンスの弱くなった植物を育てるためには、ある程度、人が管理してやらねばなりません。農薬の使用も必要な管理のひとつだと思います。
 また、ある本には「家庭菜園で無農薬栽培したトマトの葉はサラダによい」と書かれています。ケミカルディフェンスが弱くなったといっても、元々の植物の性質は引き継いでいます。トマトはジャガイモ同様、人にも有毒なアルカロイドを生産します。熟した果実にはほとんど含まれませんが、葉や未熟果実は危険です。ゲッチュ先生の本にも、キャッサバをきちんと毒抜きせずに食べる危険が書かれています。自然とのつきあいの中で、健康をできるだけ害さないような食べ方を考案してきたのが、現在の料理のはずです。フロンティアスピリットから、野菜の捨てていたような部位の料理や新しい食べ方に挑むのはご自由ですが、遺書を書いてからにした方がよさそうです。
 野菜は本来毒である。こういった考えをベースにもてば、行き過ぎた食についての見方も変わるのではないかと期待します。
 
 
 


1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
書題 (自然農)
2010-12-21 20:35:31
いつも有益な情報を教えていただき、ありがとうございます。

さて、この本はおもしろそうなので、読んでみようと検索したら、見つからなかったので、よくよく調べてみたら本のタイトルは、

ゲッチ"ョ"先生の野菜探"検"記

でした。

コメントを投稿