野菜に関する怪情報を探る

テレビや書籍、ホームページなどから、野菜に関する記載について疑問に感じたことを綴るつもりです。

3月28日投稿サヤエンドウのグルタミン酸記事へのコメントについて

2009-05-24 11:21:05 | Weblog
 3月28日にサヤエンドウのグルタミン酸について投稿しました。2件ほどコメントいただきました。
1.トマトと比較する意義について
 野菜のなかで遊離のグルタミン酸をもっとも多く含むとされるものがトマトです。従って、遊離のグルタミン酸の量をトマトと比較することには意味があります。
2.アミノ酸組成表ではだめか
 成分表の5訂にもアミノ酸組成表が掲載されています。この表の目的は、トリプトファンやリジンなどの栄養上重要な必須アミノ酸をどれだけ含むのか、あるいはフェニルケトン尿症のような患者のフェニルアラニン制限のために、フェニルアラニン量を記すことに意味があります。成分分析に際しては、タンパク質を完全に分解してアミノ酸にして、その組成を機械で測ります。
 ナットウのネバネバもポリグルタミン酸なので、分解すればグルタミン酸となりうま味を示しますが、そのままではあまり「うま味」がありません。グルタミン酸もタンパク質に含まれているかぎりうま味はありません。1で「遊離の」と書きましたが、味云々言う場合は、遊離のアミノ酸の組成が必要となります。いくら噛んでも口のなかでタンパク質が分解して遊離のアミノ酸が生成しませんので。
 トマトでは遊離の状態でグルタミン酸が存在するため、あの特有の味がします。もちろん、トマトではクエン酸の酸味や遊離の糖の甘味とのバランスも重要です。

切り干しするとダイコン中の鉄分が増加する!

2009-05-24 10:44:49 | Weblog
 食品成分表のダイコンと切り干し大根を比較すると、干すことによって鉄分が増加しているように見えるが、そんなことがあるのかという問い合わせをいただきました。食品成分表のダイコンを見ると、鉄が0.3mg、切り干し大根は9.7mgとなております。一方で水分は生94.6gに対して切り干しでは15.5gです。0.3mgをダイコンの乾物5.4gで割ると0.054、9.7mgを切り干しの乾物84.5gで割ると0.114。確かに、切り干し大根の方が乾物あたりに換算しても、鉄が多いという結果になります。
 ダイコンを干すだけで鉄が増えるのか??もしそうなら、21世紀最大の発見のひとつになるでしょう。かつて多くの研究者(魔術使い?)が、他の元素から金を作ろうと取り組んできました(錬金術)が、成功しておりません。もし、ダイコンパワーがあれば、干すという非常に簡単な操作で鉄元素が合成せきるとすれば・・・。この原理を応用すれば貴金属やレアメタルなども合成できるようになり、大きな社会変革がもたらされるでしょう。
 冷静に考えてみましょう。食品成分表のダイコンの分析値は、街で売っていたダイコンを購入して分析した値の平均です。生のダイコンは大部分国産ですが、切り干し大根の場合は、中国などの外国産の場合も多いのではないでしょうか?同じ産地で生産されたダイコンについて、生と干したものを比較するのなら意味があります。しかしながら、産地が異なれば、ミネラル成分が異なるのは常識です。
 中国産ネギと国産ネギを判別したいという場合、まずミネラル組成を比較します。野菜に含まれているミネラルは、育った土壌ミネラルを反映すると考えられているからです。また、鉄分は、土壌の酸性度によっても作物への吸収の効率は変わります。ミネラルに関しては、「氏より育ち」です。
 このように考えると、「干す」という操作で鉄が増加したと考えるよりも、生で売っているダイコンと、切り干し用のダイコンとでは元々含まれていたミネラルの組成が異なっていたとすべきでしょう。

曹操を敗北に導いた茶

2009-05-04 13:58:50 | Weblog
 連休ですのでやわらかい話題です。映画レッドクリフⅡを見ました。無敵の曹操軍が赤壁で敗北したのは、曹操がお茶していたために作戦行動が遅れたからという業界の方の喜びそうなストーリーでした。
 日本の茶道のような様式でいれた茶を曹操がすすっていたようですが、DVDででも確認しないかぎり、どういう茶をどのように煎れたのかよくはわかりません。三国志の時代、日本では卑弥呼の時代にあたるのでしょうけど、当時は団茶といって、茶葉を押し固めたものを用いていたとされるのではないかと記憶します。そうなると、漢方薬の調剤に出てくるような薬研で団茶を粉にし、・・・という作法をとったのかなと想像しますが、映像の上では額に汗して団茶をひいている姿はマッチしませんので、日本の茶道風の入れ方になったのかと想像します。当時急須もなかったでしょうから、中国の茶芸風にも演じられなかったでしょうし。湯の温度が大事なのだという現代の日本茶にも通ずる講義を聴いているうちに風向きが変わり、作戦の好機を逃してしまった曹操。
 日本茶インストラクターの方、曹操が80万の兵と引き替えに味わった茶の味とはどんなものだったのか、再現できないものでしょうか?