野菜に関する怪情報を探る

テレビや書籍、ホームページなどから、野菜に関する記載について疑問に感じたことを綴るつもりです。

もうやめませんか、酵素信仰

2011-12-17 13:35:11 | Weblog
 ある書店の売り上げランキングの1位として「甘いものは脳に悪い」(笠井奈津子)が紹介されていました。タイトルだけみてトンデモ本かと思い、これまで手に取ることはなかったのですが、ベストセラーとのことなので購入してみました。栄養カウンセラーの方の本なので、理屈はともかくとして、それで健康になったり、仕事の能率が上がった人が多いのなら、ハウツー本として価値のあるものかと思います。
 気になるのは、「野菜や果物から酵素を摂取しよう」という考えが基本にある点です。一般向けの本には、「年齢とともに体内の酵素が減少するので、食品として補う必要がある」と書かれたものが多くあります。ところが、酵素はタンパク質を主成分としますので、胃液や胃腸で分泌されるタンパク質分泌酵素によって不活性化・分解されるので、酵素を含む食品を食べても、そのままの形で体内に吸収されることはないはずです。著者は、酵素は熱に弱いと書きながら、いっぽうで酵素を多く含む味噌汁を薦めています。生味噌は発酵食品なので、様々な酵素は含まれているかもしれません。でも、普通味噌汁というのは、温めて飲むものではないでしょうか?温かい味噌汁に酵素がいるのなら、無理に生野菜やフルーツを食べなくとも、加熱した食品でよいのではないかと反論したくなります。
 年齢とともに少なくなる酵素というのはヒトの酵素ですよね。「ヒトにはヒトの乳酸菌」というCMもありますが、ヒトの酵素と、野菜や果物の酵素と、性質は違うはずです。仮にヒトの体内に入ったとしても、まともに機能するとは思えません。なら、もう少しヒトに近い生き物を、なまで食べれば・・・。残念なニュースが報道されました。肝臓には多種類の酵素が含まれます。しかしながら、牛の肝臓から病原性大腸菌が検出されたとのことです。レバ刺しを食べると、酵素をとりこむ以前に、食中毒のリスクにさらされます。
 レバ刺しがダメで、ヒトにはヒトの・・・を実践するとすれば・・・・。ゾンビ映画の世界になってしまいます。生野菜から酵素を摂取しようという非科学的なキャンペーンを終わりにしないと、凄惨な事件を引き起こしかねないと心配しています。


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