野菜に関する怪情報を探る

テレビや書籍、ホームページなどから、野菜に関する記載について疑問に感じたことを綴るつもりです。

電子レンジ加熱のホウレンソウは何故おいしくないか?

2010-02-20 15:31:39 | Weblog
 ホウレンソウがおいしい季節です。ホウレンソウの簡単な調理法として、ゆでるかわりに、ラップして電子レンジで加熱する方法がよく紹介されます。ネット上には、レンジ加熱したら、おいしくないなどの記載がなされています。何故、レンジ加熱の場合にはおいしくないのか考察してみます。
1.ラップして加熱した後、水にさらします。ゆでた場合と比べて、水さらしして絞った後の「かさ」が小さくなっているはずです。加熱時にホウレンソウ内部にあった水が、水蒸気となり失われたためと考えられます。
2.かさが小さくなれば、一口に入れるホウレンソウの体積は、ゆでた場合と同じとすれば、レンジ加熱の場合、より多くのホウレンソウを口にすることになります。ゆでると苦味成分もお湯に溶け出すはずですが、レンジの場合はそのまま残ります。したがって、一口あたりの苦味成分の量は、レンジ加熱の方が、より濃厚なものを多量に口にすることになり、苦味を強く感じるはずです。
3.シュウ酸についてはどうでしょうか?レンジ加熱によってパサパサした食感になり、飲み込むためには、レンジ加熱の方がより多く噛むことになります。噛む時に出るのが唾液です。唾液中のカルシウムとホウレンソウのシュウ酸が混じって独特のえぐ味になるとすれば、レンジ加熱の方が、唾液と混じりやすい分シュウ酸のえぐ味を感じるはずです。2にも書いたように、シュウ酸の溶出はゆでた場合に起こりやすいですし、1度に口にいれる量は、レンジ加熱の方が多いはずです。
4.苦味については、(成分の残存量)X(一口で食べる量) の効果で、レンジの方が苦く、シュウ酸のえぐ味については (成分の残存量)X (一口で食べる量) X (飲み込むまでに噛む回数) の関係でレンジの方がえぐく感じるのではないでしょうか?
5.電子レンジでおいしく加熱するには、ホウレンソウの量によって時間設定が難しいのですが、長時間加熱してパサパサにならないように、注意すべきかと考えます。
 以上、実践の成果をコメントいただければと存じます。
 

イチゴのサリチル酸

2010-02-14 12:43:44 | Weblog
 先に、「イチゴにメチルサリチル酸が含まれ鎮痛効果が期待できる」ようなことを紹介した本があると記載しました。気になるので、イチゴにどの程度メチルサリチル酸が含まれるのか文献をあたってみました。ネット上では、イチゴの鎮痛効果について記載されていますが、どの程度含まれるのか書かれた文献は見あたりませんでした。唯一みつけたのは1kgの果実中に1mg程度のサリチル酸が含まれるとの情報のみ。サリチル酸を服用すると胃腸障害という副作用があり、それを抑えるためにサリチル酸を修飾してアスピリンを作ったそうです。市販の解熱鎮痛薬中のアスピリン量は80mg程度ですので、仮に、アスピリンとサリチル酸の鎮痛効果が同等と仮定すれば、80mgのサリチル酸を摂取するには、自分の体重程度(80kg)のイチゴを食べればよいということになります。その程度イチゴを食べ続ければ、サリチル酸の作用はなくとも、吐き気がするか、食べ疲れて眠ってしまうことでしょう。
 わざわざイチゴの効能としてサリチル酸を記載する必要はないものと考えますが。

 

キャベツはユリ科の野菜???

2010-02-14 11:26:18 | Weblog
 平成21年に出版された本からです。このブログで何度も批判してきた「***事典」の類の本で、大学の先生方が監修に名を連ねておられます。2002年に出版した本を再編集したとのことですが、内容たるや全く修正されていないものと感じます。最近は「食育」が叫ばれており、学校などでの先生方の参考書としても、よく使われそうな本だけに、間違いは正して欲しいものと希望します。
 この本には、主な食品成分の効能の説明と、食品ごとの効能の説明からなっています。そのうち、食品成分の解説のページで、「ユリ科野菜に含まれるファイトケミカル」のページにキャベツ成分の説明が書かれています。キャベツに関する説明のページがないのなら、仕方ないのかもしれませんが、この項目の前には「アブラナ科野菜」の説明があります。ユリ科野菜には、タマネギ、ニンニク、ラッキョウ、ニラなど特有のニオイを持つ野菜が含まれます。アブラナ科野菜はキャベツ、ダイコン、チンゲンサイ、ブロッコリーなどです。こんな基本はちょっと参考書をみればわかるはずです。
 さらに、キャベツで紹介されているのはS-メチルシステインスルホキシドという成分です。確かにキャベツにこの成分は含まれます。しかしながら、書かれている内容はビタミンUとして紹介されています。ビタミンUとされるのはS-メチルメチオニンスルホニウムであり、全く異なる物質です。
 さらに悪いことに、「S-メチルシステインスルホキシド」の前に紹介されているのが「S-メチルシステインスルホキサイド」です。S-methylcysteine-sulfoxideというひとつの物質について、2通りに読んで異なる効能を当てはめるとは、全く素人レベルのミスです。
 この部分だけ読んでも三重ペケがつきます。その他、このブログでご紹介したナスやキュウリのピラジン、スイカのシトルリンの利尿効果など、バッテン満載です。
 イチゴについては酸味成分の「メチルサリチル酸」に鎮痛効果があると書かれています。ある先生はイチゴにはキシリトールが含まれるので虫歯予防になると書かれていましたが、虫歯の痛い時は、酸っぱいイチゴを口一杯につめて我慢すればよいのでしょうか?イチゴの甘味成分はショ糖です。また主たる酸味成分はクエン酸です。酸っぱいからといってメチルサリチル酸が多く含まれるわけではありません。(そもそもイチゴにメチルサリチル酸が含まれること自体、初めて目にしましたが。)イチゴを頬張って、虫歯を我慢すると、イチゴの酸と、虫歯菌のエサになるショ糖の効果で、さらに悪化するだけだと思います。
 食べ物の本については、栄養学の先生方だけでなく、食材そのものの研究者にも監修をよびかけてほしいものです。