このアニメを私は待ち望んでいたんだな、と思える1話でGOODだったなぁ。
武本さんの作品をようやく見られるな、という思いが非常に強いです。
散々このブログでも言ってますけど、
武本さんの監督作品は後継ぎしたような作品がほとんどで、
一から作品を形にしていった作品っていうのはあんまりないんですよね。
その中で各話演出で入って、
どうも作品にも溶け込めてるようには自分には見えない作品が続いたし、
フルメタで見惚れた武本さんはどこに行ったのかとずっと思っていたので、
この作品は非常に楽しみにしていました。
アバン。
主人公を中心に周囲をぼかしてみせるのが気になったけど、
薔薇色というのはこの活力にあるのだなと思わされる。
影を強調するような画面だからこそ、
綺羅びやかというかカラフルな装飾を嫌うのかなとも思える。
桜舞い散る通学路にシックな制服、
薄暗さが作り出す校舎の古めかしい感じが古典のイメージに合うのかなと。
古めかしいくらいのニュアンスだけど、
制服の色合いの作る清潔感は非常に好感がもてます。
ジャンプショットでムダを省くように描かれていく折木とか。
教室に向かっていったかと思えば授業まで丸ごとカットして放課後へ。
折木と里志のやり取りとも面白かったかな。
両手で芝居がかりながらの表現とか、ああいうのもいいな、と思ったり。
モブのメガネの子とかも可愛いし。
けいおん!的な部分ですよね。
今シリーズはあの子を追っていくことになるのかなーとか思ってみたり。
千反田える。
美少女との出会いを強調する回り込みはもはや京アニのお家芸ですね。
振り向きながら光の反射でえるの髪が光っていくのとか、相変わらず描写が細かい。
どこか出会いが素朴に感じるのは、えるの姿勢に寄るのかな。
ちょっと足開いて少し前かがみになってるのか、そんなに女の子の可愛さを強調せず。
しかしその瞳は見せつけるという。
えるの瞳に吸い込まれていくような描写と折木との距離感が気になるけど、
お互いの瞳に移りこむのを見せてるのは今後の展開を予感させるけど、
主人公の反応はどこか鈍い。
とここでOP。
このOPが個人的には凄く良かったなぁ。
氷菓のOPはいいなぁと思える情感があって良かったです。
けいおん!1期のOPが凄くかっこ良くて当時はこんなカッコイイアニメできるんだ、
って見てて思いながら本編に不満タラタラだったんで、今後に寄るかもしれませんが。
初っ端、主人公の黄昏感と隣の女子はえるじゃないのかっていう、
そういうキャラクター間の距離感をちょっと意識しちゃいます。
薔薇の文字が照らし出す世界の色合いが綺麗でグッときますね。
この違和感。
日が変わっても折木は外を見たまま。
話し合いの最中で一人黄昏る折木。
古典部の外の風景。
人の繋がりを見せていきながら、逆にその風景を覗きこむような孤独感。
風景という自分以外のもの、切り離された空間を意識させらるけど、
その中で描かける繋がりは美しささえ感じさせる。
こういうのを入れてくる辺りはけいおん!意識してるなぁと思うし、
京アニっていうスタジオの作品なんだなっていう連続感もあって、
そういう部分でもワクワクさせられますね。
監督が何を思って引用してるのかっていうのも引っかかる部分でもあり、
刺激的なシーンでした。
そうして照らし出される世界を見つめる折木。
こうした折木の見つめる描写はその美しさへの憧れのように見えてしまう。
というのも世界が美しければそれで完結できるのではないか、
と思えてしまう部分っていうのが個人的にはあるので、
自らをその世界に置いている折木の情景がどこか憧れるようなというか。
作品的に言うなら雨の波紋が作る繋がりよりは、
この青空を見つめる方がよほど省エネで、
世界の美しさを感じられるのではないのかと思えるのかな、と。
そんな折木を外に連れだして4人でその青空の中を歩いて行く、
というシーンがまた清々しくて心地よいです。
自然の中を歩いて行くのもまた上品な気がします。
自然と溶け込むように描かれる風景がやっぱグッときますね。
これが自分たちがイメージする古さなのかな、とも思えたり。
いやぁいいですねぇ。
本編。
姉からの手紙が原作だと当然ですが活字なので、
手書きの文章がどこが雑然としてて個人的にある原作のイメージとちょっと違うかなと。
キャラクター性云々っていうのも当然ある反論だとも思うんですけど、
整った字で形式もしっかりした手紙を読むイメージっていうのが当然あって、
流麗な字っていう描写もあるしもう少し綺麗な文を予想していたので、
ちょっと違うのかなっと。
調べたら流麗な字っていうと悪筆なんかも含まれているっぽいけど、
個人個人が思い浮かべる情景はこういう部分は別物だと思うので、
こういうのを指摘しない人の言う原作通りはあまり信用出来ないし、
勝手に期待して勝手に落胆してしまうのでつくづく難しいな、という気がします。
まあどうでもいい話ですが。
千反田えるの幻想。
折木がその瞳に折れていく描写をこうやって表現するかとびっくり。
伸びる髪がどこか日本の古典的なホラーっぽくもあり、
そのせいかどこか昔話っぽい雰囲気を感じたりと、
流石都があった場所にある制作会社が作るアニメだなぁと思ってみたり。
耳が特徴的というか引っかかりますね。
今作は髪を枝で分けずまとめているのがまた雰囲気ありますよね。
キャラクターのデザインがそのまま作品の雰囲気を作ってるのがGOOD。
千反田えるの瞳の描写も綺麗で魅入られちゃいますし。
やっぱ色合いがいいっていう部分もあるか。
このセーラーの上品さっていうはホント、憧れちゃうな。
奇を狙う。
こういう水彩タッチな画面が新鮮でしたね。
たくさんの腕が出てくる辺りの処理とか。
こういうのは流石ソウルテイカー経由してる人ですねー、
っていうとまた違うか。
印象的なシーンでしたね。
わくわく。
ドアをそっと開けて中確認してから開けたりとか、
えるの動きがいちいち可愛い。
しかし雨が降ってるのにそういう音をきかせなかったりとか、
色々引っかかるシーンだったかな。
えるを盗み見る折木の姿とか。
階段のシーンを中心にしてるのを見ると、
原作の表紙を意識した作り方なのかなとか少し思う。
そういえば日常なんかではあまり階段って意識されてなかったな。
Aパート終了後に種明かしで登ったり降りたりしてたのを思うと、
下りっぱなしっていうのもどこか意味深な感じ。
薔薇がバラバラ。
カラフルに置かれたポスターの壁から溢れでてくる薔薇色の文字。
折木が直視したくない薔薇色がこれなんだとも思えるし、
ひたすら目を合わせようとしない千反田えるもその1つだと言えるのかもしれない。
折木が帰り道に誘導用ブロックの上を歩いているのを見ると、
自分自身がまだ見えていないことがあることを示唆しているようでちょっと面白い。
パッと広がる傘からBGMが鳴って話が動く雰囲気が良かったな。
クラシックとか結構流してるみたいですが曲名が出てこない不甲斐なさ。
しかしクラシックも古典だし作品の雰囲気を作ってて好み。
吹奏楽部の演奏がなってるような放課後とかを夢想してたけど、
こういう雰囲気のアニメが見たかったっていうことなのかと都合よく考えてみたり。
いやはや、この雰囲気だけでもう十分ですね。
雨の当たる屋根を見つめてるところとか見ると、
山田さんが1話やったらここで切ってるんだろうなーとか思えてくる。
OPの青空のような清々しさはなく、
まだ色を感じさせない中を歩いていく折木はどこか寂しく、
今後の揺れ動きを見るのがまた楽しみな後ろ姿だなと思ったり。
いつものごとく長くなるばかりで中身なくて恐縮ですが、
見てて非常に充実感を感じられる1話でした。
今後京アニの演出陣がどう作品を組み上げていくのか考えただけでワクワクします。
次回は誰の演出作監なんだろうなぁ。
脚本:賀東招二
絵コンテ・演出:武本康弘
作画監督:西屋太志
作画監督補佐:内藤直
内藤さんは作監とかもやるようになるのかな。
やっぱえるの気になるシーンとかやってるのかな。
雨のシーンとかOPのイメージというか、
作品のイメージを形作る1話っていうのを強く意識した1話だったともうので、
1話で提示されたものがどう作品を形作っていくのか楽しみです。