流星、夜を切り裂いて ~FLY HIGH~ ver.2

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アニメ雑記 2017/2/20 を語る

2017-02-20 21:14:54 | ■アニメレビューとか
●劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-

http://sao-movie.net/

最初にメインビジュアルを見たときはキャラクターを一新して、
完全に別のアプローチをするのかと勘違いしてしまっていた。
キャラクター紹介の絵もモノトーン基調で華やかな色合いを捨てており、
どういう狙いからかなーとなかなか掴みきれないところがある。
そういう謎めいた劇場版作品ということで非常に気になる一作でした。

キリトとアスナだけのビジュアルも映画を見ると的を絞っていたというのは理解できるけど、
アスナの存在の大きさ振り向きの躍動感など、
ただ立ち尽くすキリトと比較して非常に対照的で、
初見アスナをアスナだと認識できないほどのインパクトが有りました。
キリトと一心同体といった気質からは遠のいていて、この対比は何なのかと悩まされましたが、
作品を見ると今までの作品とそこまで大きな差を感じなかったので、
単にインパクト重視という格好だったんでしょうかね。
売り方が新鮮なアニメ映画なんだなという気がします。
以下ネタバレ感想。


AR空間がメインということで拡張現実となる空間、
都市なんかも近未来感のあるビジュアルが魅力的でまずそこに目を引かれますね。
ARのある魅力的な現実世界を描きつつ、
VRに拘るキリト、そしてあまり魅力的に描かれないVR世界と、
絵作り的にはVR下げなイメージが先行していてそれで良いのかなーと思わされたな。

ドローンを通してAR空間を作り出すみたいな感じで、
ドローンから空撮したような真俯瞰の絵が度々挿入されていて、
どこか90年代っぽさを感じてしまったかな。
鉄人兵団やOVAヤマモトヨーコのEDの見過ぎかも。
監視社会、ドローンの生み出す恐怖など後々の展開でキーになる視点かなと思いましたが、
特にそういうわけでもなく一体どういう意図を持った絵だったのか掴みきれないところでもあったかな。
そういう深読みを誘うところが狙いだったのかもしれませんが。
メインビジュアルもそういう部分がありましたしね。

序盤は女の子ばかりと一緒にいるキリトさんマジッパネェとか、
アスナ、リズ、シリカが仲良さそうのを改めて見ると新鮮だなとか、
やっぱヒロインはアスナだなアスナかわいいなとか普通に見ていて楽しかったですね。
特にシリカとアスナのやり取りやリズの視点のあり方など、
話を重ねてきたんだなっていう部分を垣間見れるところが嬉しかったですし。

しかし映画のビジュアルの豪華さを見ると、
やっぱTVシリーズのガジェットの描き方には監督も思うところがあったのかなと思えたり。
サンライズでやっていたアクセル・ワールドにもそういう点では追いついていませんでしたし、
キャラクターでやってきた部分が強かったので、
AR空間の描き方や現実の描き方はやはり並々ならぬところを感じてしまいますね。

途中でアインクラッドでの背景を差し込む辺りは色々と懐かしかったけど、
あれはどういう流れででてきたんだっけとか結構忘れてるのでちょっと気になる。
リズと見た暁の景色とかアインクラッドでの思い出の風景とか、
なぜそこがピックアップされていたのかなと気になる感じだったというか。

オーディナルスケールのイベント戦で街がダンジョンへと変わっていくの、
ペルソナ3の影時間感あるなとか、
それをバンクで繰り返し見せるのは繰り返す度にその迫り来る影を意識させるためなのかなとか、
色々と刺激的な感じで楽しいビジュアルだったかな。
敵の登場の仕方なんかも一貫していて、
そのビジュアルがどんどん増えていくところに迫りくる念を意識させられるかなと。
システムが念を帯びてくる感じがあったかも、みたいな。

今回新キャラでシャロン・アップルよろしくな電子アイドルが出てきますが、
禁書目録につづいてまたか感がちょっとあって電撃文庫は歌姫コンプレックスなのかと思えたり。
まあ本だと歌の魅力とか伝えづらいしなぁ。

AR戦闘は現実の肉体を使うのでVRでは無敵のキリトさんが全く活躍できず、
運動不足でしょなどとアスナに言われてるのを見ると手厳しく感じちゃいしますね。
キリトの活躍見に来たけどやっぱただゲーマー現実じゃ形無しだなと思えたり。
それでもSAO時代の敵だから対応できるとかアドバンテージある辺りズルい気もしますが。
ただアスナのために頑張るキリトはやはり魅力的で、
いきなりAR戦闘に馴染んでもまあキリトだからでなんとか見れる感じだったかな。

序盤はアスナを中心に話が進むのでアスナ可愛いかっこいいで見れるのが嬉しいですね。
TVシリーズだとどうしてもリズを中心に見てしまうのでアスナに集中できるのが良いというか。

アスナのSAO時代の記憶が奪われた辺りからゲームの異常性がクローズアップされますが、
記憶を無くしていく描写というか顔にモヤがかかる描写がFF8のEDを思い出す感じで、
ゲーム繋がり的な発想でもあったのだろうかとちょっと思えたり。

今回の新キャラのヒロインがキリトの前に度々姿を表しますが、
それも死んでしまった博士の娘という点でスターオーシャン2のラスボスを思い出したりとか。
最後は博士が錯乱して消去されて鬼強いラスボスが降臨するのかと戦々恐々としていたり。
まあそもそもモチーフにもしていないとおもいますが、
現実世界から仮想現実へというアプローチってそういえばスターオーシャンもそうだったよなと。
SAOとSOって略し方も似てるし?

流星雨を見に行くとかどこのシンフォギアだアニプレかとか、
そういう繋がりを意識しすぎた鑑賞だったかなーという感じだったのでその辺は反省したいところ。

指輪の演出は2期でもやっていたよなーとか。
2期は主にアスナ方面でしたがキリトがユイを静止させるところで指輪を見せるのは、
キリトに寄った感じがしてちょっと新鮮だったな。
日記を読んじゃう辺りはどうなのと思いつつ、日記だけはアナログなんだなとその辺も気になる。

事件の発端の一翼としてSAO事件の本が度々登場するので、
アナログ本が登場する意味なんかもちょっと意識的になるところですよね。
重版がかかったときにその一文が追加される意味は果たしてこの物語にとって、
どれだけ重要なものだったかを測りかねるところでもあるので特に。
そこは電子書籍じゃないんだ、という違和感もあり。
語られるキャラクターがいる一方で語られないキャラクターがいるという、
まあ常にどこかにある話ですが、それが新ヒロインの死に直結するものだったのかとか、
復讐心としてそこへの念は果たしてどこまであったのかとか。
物語の流れとしては、そういうキャラクターがいたことを元SAOプレイヤーが思い出した、
という形なんだと思いますが、凄惨さを語るような本に残ることが果たして良いことなのかとか、
色々とその是非を考えてしまうところでもあったかな。

終盤はARでゲームできる機器だけどVRもいけるよ!みたいな話になって、
正直それで良いのだろうかとわけわかんなくなっていたので、
この本関係もわけわからん産物の延長かと捉えてしまう。

また本編でのキャラ語りで気になるのは黒い剣士の二つ名で呼ばれるけど、
二刀流のキリトがあまりクローズアップされないところ。
キリト=二刀流のイメージがあまりに強いので、
メインビジュアル含め、二刀流の姿をあまり意識させないところなんかが結構気になる感じ。

自分的にはリズの剣を使っている時点で思うところが出てくるので、
リズとキリトの関係をより切り離す意味で二刀流は封印という形なのかと思いましたが、
終盤でSAOのときの姿に戻っていたので単に溜めを作っていただけっぽくも見える。

個人的に今作で一番嬉しかったのはやはりSAOのラスボスを描いてくれたところですね。
一体いつそれが見られるのだろうかと思っていたところでもあったので。
SAOのラスボスなのに最初は5人だけで挑んでいて、
その絶望感とキリトたちのSAOプレイヤーとしての力量が見られる高揚感と合わせて、
魅力的な展開でしたし見てて楽しかったですね。
今作で一番好きなシーンかもしれません。

その後にユイの助力で応援がワ~と集まってくる辺りは、
一気に100層までくるってゲームとしてそれでいいのだろうとか、
そもそも物語的にARでの問題をVRで救うぞっていう流れの補強でしかなくて、
せっかくの燃えるシチュエーションを下らない政治に持って行かれた感があって残念だったな。
SAO時代の装備をユイが呼び出したりとかチートもいいところで、
盛り上がるけどそれでいいのか?と見てて思わずにはいられなかったな。
そんな簡単にパワーアップしちゃっていいの?みたいな。
確かにクリアするならその姿でないとと思うけども、ユイ万能すぎてうーんみたいな。
逆フィリアか、こっちがガブリエルか、キリトたちはARにとっての破壊紋章かとか、
いろいろ考えてしまったな。

全体的に設計は色々してみたけどそれが何か意味を成したかというと、
やや中途半端だったんだじゃないかなという気がしてくる。
アスナの髪型の変化とか女の子かわいい、ビジュアルがかっこいい、
色々な魅力を兼ね備えた作品で面白いんだけど、
どこか釈然としない部分を抱えているように思える。

冒頭12分が無料公開されていますが、
映画を見ていてよくできているなぁと感じたのがその冒頭部分だったので、
正直そこが普通に見れるとなると映画館でわざわざ見る意味を考えてしまいますね。
バトルもこの部分が特に魅力的でしたし。
ただ画面が小さいとそれだけで視聴意欲が削がれるし、
ラスボスとのバトルはやはり見返したいところでもあるので、
もう1回くらいは見に行きたところかな。