「いろいろと 形を変えてくるのさ、想い出ってやつは。・・想像力、これがまた、不思議な代物だ、 ・・ おのれの内にありながら 得体は知れぬ・・ 」 「若者には 分からぬだろうさ。・・え、なに?... エロテイスムといったって、40になるまでは思い違いがあるものだ 。 だから 恋愛と云うやつからは 抜け出せぬ・・」
まだ 26歳のクロードは衣服についた埃や羊毛の匂いを嗅ぐと 僅かに引き上げられた入り口の麻のカーテンを思い浮かべた。 カーテンのうしろでは腕があらわれたと思うや 、 黒人の娘を指していた。・・・ ***
*アンドレ・マルローの『王道』は、彼の若き日の冒険と哲学的探求を描いた作品で、かつて栄えたクメール王国の遺跡を背景に、人間の存在と行動の矛盾を追求する不朽の冒険小説である。マルロー自身が1920年代にインドシナで遺跡の盗掘に関与し逮捕された経験を基にその後の彼の人生と作品に大きな影響を与えた。
『王道』は、冒険小説の体裁をとりながら、その核心には人間の内面と死への意識が深く刻まれ、主人公たちは密林の奥深くにある古寺院を探し求めるが、彼らの旅は単なる財宝探しではなく、自己の存在と向き合う旅でもあり、この作品を通じて人間がいかに生き、いかに死ぬべきかという哲学的な問いを投げかけているのである。。。
この小説は、難解な作品だが、それは文体が装飾的であり、登場人物の心理描写が深いため。しかし、その複雑さが、マルローの文学的才能と彼の思索の深さを示し、魅了してやまないのである。。。
マルローは、この作品を含む文学的業績により、後にフランスの文化相としても活躍。彼の作品は、文学だけでなく、政治や歴史にも影響を与え、マルローの豊かな人生経験と文学的探求が結晶した作品で、文学のまさに王道を行く。。。>>> */-87*--*93- / * + *
・『王道』は、文学的才能と深い思索が融合した作品で、物語の中心には冒険と自己発見の旅に出る主人公たちがおり、彼らは遺跡盗掘という外面的な冒険を通じ、内面的な探求を深めていく。
登場人物の一人であるペルケンは、少数民族の世界へと他のキャラクターを誘う役割を持ち、物語に多文化的な要素をもたらしている。。
また、物語は仏領インドシナの密林にあるクメール遺跡を背景に展開し、盗掘を試みる男たちの心理を深く掘り下げ、マルロー自身の実体験に基づいて文学的な表現は強い印象を与える。。
『王道』には、単なる冒険譚を超えた、人間の存在とその複雑さを探るキャラクターが登場、マルローの哲学的な問いかけを体現する存在として、マルローの豊かな人生経験と文学的探求が結晶したものとなっている。。
・『王道』には、冒険家、詩人、革命家、そして少数民族の人々など、さまざまな背景を持つ人物が登場し、彼らはそれぞれに独自の動機と目的を持ち、人間の内面と死への意識を探求するのである。。
その中の一人であるペルケンは、未帰順部族との接触を通じて、主人公たちを少数民族の世界へと導く役割を果たし、シャム政府から未帰順部族に対する工作活動の任務を任され、ジャライ族という少数民族との接触経験を持っている。
このジャライ族は、物語の中で西欧人の探検家を殺害した民族として登場し、ペルケンの遺跡盗掘計画に関わる具体的な脅威として描かれている。。。
また、クロードはペルケンと行動を共にし、クメール遺跡の盗掘計画を立て、クロードは「俺のモイ達」と呼ぶ未帰順部族と連合し、自らの王国を築こうと目論み、彼の計画は、シャム政府による追跡を逃れながら進められ、物語に緊張感をもたらしている。。>>>
『王道』は、これらのキャラクターの心理と行動を深く掘り下げることで、人間の存在の複雑さを描き出し、マルローは彼らの冒険を通じて、人間の生と死、そしてその意味を探求しているのである。。