中には、馬に乗り走り回る騎兵も混じっていた。
ガブリーニは素早く服を着ると、ドアから外の様子を窺った。
廊下を逃げてゆく女官や召使や親族の者たち。: 誰もが小荷物を持ち貴重品を携えていた。
宮殿内には見知らぬ者が数多く屯し、警鐘は鳴りやまず、混じって叫び声が耳に入ってきた。--- 塩の値上げをする者は殺っつけろ!..
ワイン税を下げろ!.. 奴らは皆、打ち殺せ!..
コロナ家、万歳!.. 外には 一人も出してはならぬ!..
すべては民衆の所有物じゃ!..
火だ!.. 燃え上がっているぞ !..
W.Bergengruen: Das Vogel-Schalchen
ベルゲングリューン作「鳥の小皿」より ⑼
また別の民は、こんなことも言った。:--- コーラが要人を数名、処刑したのはまずかったのう。彼らは多くの民の生活を支えていたのぢゃから。処刑はすべきではなかったのぢゃ。
それにぢゃ、塩の値まで上げるのもよくないぞよ。また、戦には金がかかるといって、ワインにまで税をかけるのもよくないのう。
ガブリーニはその言葉に耳を傾けたのち云った。-- 然し、ここではワインは無料ではなかったのかね。なのに、なぜ税を怖がる。それに塩のことも・・-- ガブリーニは世の中で起こっていることも 少しは知っていると云いたかったのだ。
それから間もなくして、ガブリーニは朝早くに、騒々しい物音と叫び声で目が覚めた。宮殿内では警鐘が鳴り渡り、窓辺に駆け寄ると四方八方から、武器を抱えた兵士らが走り回っていた。
. W. Bergengruen : Das Vogel-Schalchen
ベルゲングリューン作「鳥の小皿」より ⑻







