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仔羊の回帰線

詩と散文のプロムナード :Promenade

*コーラ・ディ・リエンツォー: ⑼

2022年06月07日 09時22分55秒 | *現代ドイツ短篇選:夏目政廣訳:--Goo

中には、馬に乗り走り回る騎兵も混じっていた。
ガブリーニは素早く服を着ると、ドアから外の様子を窺った。
 廊下を逃げてゆく女官や召使や親族の者たち。: 誰もが小荷物を持ち貴重品を携えていた。
 宮殿内には見知らぬ者が数多く屯し、警鐘は鳴りやまず、混じって叫び声が耳に入ってきた。---    塩の値上げをする者は殺っつけろ!..
                   ワイン税を下げろ!..     奴らは皆、打ち殺せ!..
             コロナ家、万歳!..     外には 一人も出してはならぬ!..
       すべては民衆の所有物じゃ!..
 火だ!.. 燃え上がっているぞ !..     
              W.Bergengruen: Das Vogel-Schalchen
                    ベルゲングリューン作「鳥の小皿」より ⑼

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*コーラ・ディ・リエンツォー: ⑻

2022年06月02日 08時48分21秒 | *現代ドイツ短篇選:夏目政廣訳:--Goo

また別の民は、こんなことも言った。:---   コーラが要人を数名、処刑したのはまずかったのう。彼らは多くの民の生活を支えていたのぢゃから。処刑はすべきではなかったのぢゃ。
    それにぢゃ、塩の値まで上げるのもよくないぞよ。また、戦には金がかかるといって、ワインにまで税をかけるのもよくないのう。

 ガブリーニはその言葉に耳を傾けたのち云った。-- 然し、ここではワインは無料ではなかったのかね。なのに、なぜ税を怖がる。それに塩のことも・・-- ガブリーニは世の中で起こっていることも 少しは知っていると云いたかったのだ。    
    それから間もなくして、ガブリーニは朝早くに、騒々しい物音と叫び声で目が覚めた。宮殿内では警鐘が鳴り渡り、窓辺に駆け寄ると四方八方から、武器を抱えた兵士らが走り回っていた。    
.             W. Bergengruen : Das Vogel-Schalchen
                    ベルゲングリューン作「鳥の小皿」より ⑻

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