うつくしき きわみの魅力に とりつかれし者は
遁のがれる術すべもなく 慄おののく者となる
されど 悲しむこともなき・・
うつくしき極みの魅力に 憑とりつかれし者は
愛のくるしみ 厭いとうことなく
美の矢で 的ま と射とめんと 突き進む・・
されど 望みし願いの叶えられることなく 生を紡ぎて ゆくばかり
嗚呼 願ひ叶わぬ侘しさよ
されば 泉のごとく涸れたくと
辺りに漂ふ花の香に 侘しき思いを知るばかり ・・
うつくしき きわみの魅力に憑とりつかれし者は
泉のごとく 涸れたくと・・ ))) *
これはペルシャのガゼール詩の形式美を駆使して、新たな地平を切り開いたプラーテンの詩で、プラーテンは晩年のゲーテと親交のあった形式美に優れた詩人。
August Graf von Platen : Tristan und Isolde : Dt. Lyrik vom Barock bis zur Gegenwart dtv. ebd. S.162.
* * * ))) *
Wer die Schonheit angeschaut mit Augen,
Ist dem Tode schon anheim gegeben,
Wird fur keinen Dienst auf Erden taugen,
Und doch wird er vor dem Tode beben,
Wer die Schonheit angeschaut mit Augen. >>
Was er will, das wird er nie gewinnen,
Was er wunscht, das ist ihm nie geworden.
Ach ,er mochte wie ein Quell versiechen,
Jedem Hauch der Luft ein Gift entsaugen,
Und den Tod aus jeder Blume riechen:
Wer die Schonheit angeschaut mit Augen,
Ach , er mochte wie ein Quell versiechen !
【脚韻】 :
Augen- Taugen, gegeben- beben,
versiechen- riechen, entsaugen- Augen,
** ))) ++
*ドイツの詩人プラーテンは ペルシャのガゼール詩形を用いて「トリスタンとイゾルデ」をかいたが、この物語の悲恋は、中世の伝説に基づく。
*ガゼールとは、ペルシア語で「歌」を意味する「ガズル」から派生した言葉で、ペルシアやアラビアのイスラム文化圏で発達した抒情詩形式である 。 一般的には 5連から15連までの長さで構成され、各連は二行からなり また、各連はそれぞれ独立した意味を持ち、主題やイメージが連想的に展開される 。 ガゼールでは恋愛や酒、自然などが主な題材として扱われ、恋人への憧れや失恋の苦しみ、神への懐かしさや神秘主義的な体験などが表現された 。