仔羊の回帰線

詩と散文のプロムナード :Promenade

*サンドバーグの短詩 より

2024年04月23日 10時04分08秒 | *Carpe diem:Geniesse den Tag!

    新聞の書評欄にアメリカのライト・ヴァースという表題で書評が載っていた。ヴァースはドイツ語ではフェルゼVerseという発音になるが、言うなれば詩ということ。

    スペルが同じで読み方が異なるということからして 英語とドイツ語はゲルマン語系の姉妹語ということが分かる。                     それはさておき、ライト・ヴァースとは簡潔な詩ということ。                   この書評者が、なぜ文化人類学者なのかということは さておくとして書評欄にはサンドバーグの短詩が紹介されていたが、詩人にはこんな詩もある。

 霧が漂いくる 仔猫の足取りで                                  霧はしずかに 腰を据える そうして                                 港や街をつつむように 漂っている                             しばらくして 漂った霧は また動き出す                         :  Carl Sandburg  1878-1967.                             Fog The Treasury of  American poetry                          Nancy Sullivan  Company,  P.360.

  ライト・ヴァースとは、このように簡素簡潔に日常の些細な風景や心情を歌い上げるのだが、それは儚い日常の国への誘いinvitationでもある

 

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*スティーブン・クレインの短詩 より

2024年04月21日 08時47分20秒 | *Carpe diem:Geniesse den Tag!

  アメリカの詩人でライト・ヴァースに長けた詩人には、他にディッキンソンやスティーブンズやフロスト、ウィリアム・カーロス・ウィリアムズや スティーブン・クレイン、アーリントン・ロビンソンなどいるが、スティーブン・クレインにはこんな短詩がある。:

 朱色の魔神が 数え切れないほど こころの奥から飛び出してきて 

白いページを走り回っていた それらは ペン先で押しつぶせるほどに 

インク壺のなかで もがきあっているほどに 小さいものだ 

    けれども こころに浮かぶ色々なことを

       書き記してくれるとは 摩訶不思議なこと!...

    Many red Devils ; S. Crane 1871- 1900. ibid.  P.339.

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*鴎外と「寒山拾得」:

2024年04月06日 10時50分11秒 | *Carpe diem:Geniesse den Tag!

 鴎外は軍医であった。    漱石を意識し小説も書く。:例えば、「三四郎」を意識して書いた「青年」など。  彼はまた、博学であり和洋の伝統にも通じていた。  所謂、酒と女と病といった自己憐憫に耽っている作家とは違った。 

 鴎外には「渋江抽斎」のような人物史伝もある。  これは知的な文学である。 文体の特徴は主語の思い切った省略、現在形で書くといった簡潔さにある。                              そのよき例として、短編「寒山拾得」がある。        *-  *-  )))

     << -中国は唐の頃だから、7世紀の初めのころである。 - 閭丘胤りょ・きういん という官吏がいた。日本の県知事ぐらいの官吏である。-  閭は台州に着任して三日目、朝早く起き天台県の国清寺に出かけることにした。- これは長安にいたころから台州に着いたら行こうと決めていたのだ。

 処で、閭は科挙(官吏試験) のために経書を読み、五言絶句の詩を創ることを習ったが、仏典を読んだことはない。-  彼は僧侶には何故か、尊敬の念を持っている。-  自分の会得せぬものに対する盲目のRespectである。そこで坊主と聞いて逢おうと思ったのである。

 「さようでございます。国清寺に拾得じっとくと申す者がをります。- 実は普賢でございます。-  それから寺の西の方に寒厳という石窟があり、寒山という者がをります。-  実は文殊でございます。・・」

こういう因縁で、国清寺に出掛けるのである。)))  *

    鴎外「寒山拾得」より

 

 

 

 

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*ミレーのオフェーリア:「草枕」より

2024年03月26日 10時32分09秒 | *Carpe diem:Geniesse den Tag!

  「水に沈む」という画想に優雅さがないわけではない。 ミレーの「オフェーリア」の絵に、心穏やかならざるものを感じてはいたが、美しいと思えるから不思議だ。 何故あのようなものを画材に選んだか、 絵の題材としてみれば、かなりなものであるに違いない。: 

 水に浮かび、下に沈み、交互に沈みつ浮かびつしているところは、苦しみから逃れえた光景としては美的かもしれない。・・そこに更に、たくさんの色彩豊かな花々を両岸にあしらい、水の色や衣服の色、 女の顔の艶と調和を取れば素晴らしい絵になる。

       *- *- (((   *

       因みに、ミレーの「オフェーリア」の絵は、合掌して水に浮かび流れてゆく姿を描いたもの。 ミレーは19世紀・英国の画家。1829-96. また、オフェーリアは「ハムレット」に捨てられて発狂し、川に投身するシェイクスピアの悲劇の一つ。

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*パスカルとライプニッツ:

2024年02月08日 10時15分03秒 | *Carpe diem:Geniesse den Tag!

 「パンセ」で知られるパスカルも、「モナド」(単子論)や「弁神論」「予定調和」などで知られるライプニッツも、時代は17世紀バロック期の戦乱時代にあって、その学識は幅広く、数学者としても名高かった。

      フランスは当時、数学の発達した時代で、その分野でも大いに学識を披歴して共通点も見られた。

パスカルは3歳の時に母を亡くし、(その後は父親からeducation=Erziehung: この言葉には、元来、才能を引き出すという意味がある、教育を受けている)、ライプニッツは6歳の時にライプツィヒ大学の教授である父を亡くしているのである。   ** *  )) )  

       一方、「武士道」で知られ教育者でもある新渡戸稲造も6歳にして父を亡くすと 叔父の家で育てられている。が、そんな不幸にも拘らず、並外れて学識が発揮できたのも、稀有には違いないが、そんな幼少期の悲しい共通点もあったのである。。。

 

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*酒飲み判事 :ホフマンについて

2024年01月09日 13時05分37秒 | *Carpe diem:Geniesse den Tag!

「悪魔の霊液」や「砂男」「雄猫ムルの人生観」など、幻想怪奇文学で知られるホフマン。     -   彼はナポレオン軍侵攻によりプロイセン判事の職を失ったばかりでなく身辺の苦境にも耐えつつ、交響団の楽長となるも指揮者としては成功せず。   が、逆境のなかから文学者としてのホフマンが生まれてくる。が、また、声楽の愛弟子の少女ユーリア・マルクとの恋愛体験も作家ホフマンの誕生には見逃せない。 --**)) *

 「もしもし、お嬢さん、お疲れのよう。・・さては 乙な一夜の朝帰りですかな」  ふと見れば 娘の目には泪が浮かぶ。

「私、お馬鹿さんね」と云うや顔をこちらに向けた。頭痛を訴えてもいる。「神経性の頭痛には 泪も道連れですからな。となれば こいつに限る。この泡なる良薬は如何ですかな」というとシャンペンを注いでやる。始めは遠慮したが一口飲む。 堪えきれない泪が判ってもらえたのが よほど嬉しかったのだろう。だが、心が晴れていくとみえたその時、グラスをぶっつけるへまをやらかした。 鋭く響く音。と顔が蒼ざめた。グラスの触れ合う音が あの廃屋の狂った女の声と重なったからだ。   ホフマン短篇「廃屋」より

     *** )))  19世紀ドイツの小説家ホフマンは幻想文学の旗手。 が、痩せて蒼白く落ち着きのない小柄の男。 彼は昼間は王立大審院で判決文を書き、夜になればベルリンのカフェや居酒屋に出没する大酒飲み。そして梯子酒が好き。 -- とはつまり、精励な判事と大酒のみの両面を持ち合わせる変わった男。とはいえ、作曲もし 劇場監督もこなす並外れた才能の持ち主でもあった。

 

 

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*今、その時だ‥:⑥ 「走れメロス」

2024年01月06日 08時35分14秒 | *Carpe diem:Geniesse den Tag!

 沈みゆく陽は 紅く光を木の葉に照り、燃えるばかりだ。   すっかり日が没するまでには、まだ 時間がある。  待っている朋がいるのだ。 信じてくれているのだ。

この機に及んで自分の命は問題ではない。 必ず 信頼に報いなければならないのだ。   Lauf, Melos!     * <・! ・>  *  

 Die Blatter der Baume  schienen und verbrannten rot  bei Sonnen-Untergang.  Es gibt noch Zeit ,bis die Sonne untergeht .

Da wartet mein Freund auf mich. Er wartet ahnungslos auf mich, mit der leisesten Hoffnung.  Aber doch glaubt er mich  herzlich !!... Jetzt ist mein Leben gleichgultig. 

Fur seinem Vertrauen muss ich ihn bezahlen.  Dann muss ich mich beeilen !!.   Jetzt ist gerade  die Zeit !!.....     Lauf, Melos !!  

 

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*義務遂行の希望: 5 「走れメロス」より

2024年01月04日 08時31分07秒 | *Carpe diem:Geniesse den Tag!

 メロスは気が付くと、泉の水を両手で掬(すく)い一口飲んだ。

   歩ける。行こう。行かなければ。・・疲労回復とともに、僅(わず)かな希望が生まれた。    義務遂行の希望である。  わが身を犠牲にして、名誉を護る希望である。       ・・・(^*^)・・・

      Melos fand sich und vernahm ein Brunnchen . und trank er einen Schluck.  /  Ich kann gehen, kann ich aber doch gehen, muss ich sofort gehen !.

   Zusammen mit dem Heilen der Ermundung des Korpers , wurde es ihm etwas Hoffnung vernommen.

      Es ist eine Hoffnung der Pflicht, die ganz und gar durchgefuhrt werden soll.  /  Es ist die Hoffnung ,die man sich selbst kosten muss, um die Ehre  zu schutzen...

          Lauf, Melos  !!..

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*メロスの足は突然、止まった:⑷

2024年01月02日 16時46分06秒 | *Carpe diem:Geniesse den Tag!

  メロスの足は突然、止まった。:

昨日の豪雨で川は氾濫し、橋が流されていたのだ。

これには流石(さすが)のメロスも茫然自失し、立ちすくんでしまう。

そして彼の前途には、更なる困難も待ち受けていた。

     ・・・ *- ((^*^))・・・ * -

 Der Fuss des Melos hielt plozlich.

Siehe den Fluss  vor seinen Augen!..

Der Fluss fliest schnell so hoch  in schlammigen Strom,

    Weil es gestern schwer regnete.

Und die Brucke wurde auf einen Schlag zerstort, 

Melos war gelahmt und betaubt...

 

 

 

 

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*メロスは王に約束をする: 3⃣

2023年12月31日 09時05分07秒 | *Carpe diem:Geniesse den Tag!

    メロスは王に約束する。 婚礼を控えている娘に この衣装を渡したら、必ず戻ってくると。 こうして三日の猶予を取りつけ、なおかつ、無二の親友を人質にさしだし、決して 逃げたりはしないと固く誓い、郷里に舞い戻り、休む暇もなく 一目散に、王のもとに戻った。

 だが、その帰路、メロスには思わぬ災難が待ち構えていたのだ。           「約束は守ります」 メロスは必死に言った。                                        「三日間だけ許してください。妹がわたしの帰りを待っています。           そんなに私の帰りが信じられないなら、よろしい、この町にセリヌンティウスという石工がいます。   わたしの無二の親友だ。彼を人質として ここにおいていく。 私が逃げて、三日目の日暮れまでに ここに帰ってこなかったら、友人を殺してもいい。  頼みます。そうしてください。  ・・・))  *-

      * - ))  *-  )

Ich will versprechen !!  Melos bestand unverzagt. Bitte, verzeihen mir nur drei Tage !!     

Meine Schwester wartet auf meine Ruckkehr .      Wenn Sie mich nicht glauben, alles in Ordnung, gibt es einen Mauerer  Selinuntius in dieser Stadt.            Er ist mein Freund.  Ich will  ihn als Geisel verlassen.  Wenn ich entweichen wurde, vor Einbruch der Nacht des dritten Tages und nicht wieder hierher kame, ist es gut, Sie meinen Freund zu toten.   Bitte , also bitte ich Sie darum !!..

Als der grausamer Konig das horte, hat er sich geheimnisvoll eine Schaden-Freude..

 

 

 

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