カサンドラはトロヤの王の娘で巫女。彼女は求愛されたアポロにより預言の才能を授かった。だが、アポロの愛に報いなかったため逃亡をよぎなくされ、その警戒の叫びは絶えず風の中に漂っていた。 カサンドラはまた、ギリシアの木馬を予言するが、それも空しく、トロヤの滅亡も予言するが誰からも受け入れられない。
作者ヴォルフはカサンドラをミケーネでの死を前にして内的モノロークで生涯を振りかえらせ、彼女の家族とトロヤの物語を熟考させる。 トロヤはカサンドラの幼年時代の理想郷なのだ。 つまり、カサンドラは最初、権力に与しようとしたが次第に族長的英雄的なものの眩惑から解放されていく。 とはいえ、そのような英雄を必要とする時代に背いては何も遂行できない。だが、不名誉な逃亡よりかは英雄的情熱的死を選ぶのである。
C. Wolf :1929年生まれ。
Kassandra :die Tochter des Troer-Konigs Priamos und dessen Frau Hekabe.;
Aus:K. Rothmann : Dt.sprachige Schriftsteller seit 1945
ロートマン著「現代ドイツ作家の群像」 より