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仔羊の回帰線

詩と散文のプロムナード :Promenade

*一個のペルソナ ;ヴェルフェル より

2024年03月29日 09時04分40秒 | *ドイツ抒情詩・バロック詩選:夏目政廣訳 --Goo

 早くも時の迫りきて躰 震え 生まれくる天使よ! 

 この世の受胎の 甘美な慄き! 変化は重苦しくとも 幸あるとき!

  沈黙せよ! 時は差し迫り 開かれんとする扉 ・・・

  すでに早 悟性はほどけ感覚となる・・

 塔の上なる雲雀の囀り 禿鷹も舞い 峰の上に旋回する

 ヒマラヤの峰のうえにも憩いあり そは天使にも似た安らぎ

 世界は今 浄められんとして 昼も夜も

 愛しあえば心は澄みわたり..  .))  )*

 感ずるは おお Dasein! : その実在!

そして 更なる Wesen ! :存在する ことの その歓び!..  

      Werfel: Ode    ヴェルフェル「世界の友」 より

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*リルケ「ドゥイノの悲歌」より

2024年03月24日 08時28分14秒 | *ドイツ抒情詩・バロック詩選:夏目政廣訳 --Goo

あらゆる存在は一度だけ:  地上の存在は一度だけ  とはいえ

この存在を成就することには 意義がある

 それゆえ 満ち溢れる眼差しで  心のうちに しっかりと 捉えよう  >>

だが 存在の後に 携えていけるは何か と問えば

習得したことは 携えてゆけず

ゆけるのは 苦痛 悲しみ 重い体験: 言葉に言えぬものばかり

けれども 恋する者が  この大地で 情感に漲り 

歓喜に躍動し 思いを言葉に発すれば 

それが 秘かな 大地の企(たくら)みなのだ *- *-  (((    *

 R.M. Rilke: Die Duineser Elegien , Die 9. Elegie 

   ドゥイノの悲歌 より

  * この10編からなる長編詩は、完成するのに10年。  意とするところは、人間の存在は有限無常、悲歌的であろうとも、これを貫き肯定すること。                             詩人はこれに努めたのである。

 

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◎*青春の歌: ギュンター より

2024年03月18日 08時56分25秒 | *ドイツ抒情詩・バロック詩選:夏目政廣訳 --Goo

 さあ 陽気にやろう 芽吹きの時だ                                 陽が日増しに暖かくなってくる
  薔薇を手折れ 王冠を手にせよ  人生の逃走は速いぞ                                   手綱を引き締めるなんて 無用なこと                               運命は嫉妬深いぞ だが                                  弛まず 翼を差し伸べてくれることには感謝だ

   聞こえるかい?... 若きときに楽しんでいた者も                       今は黄泉で眠りについている・・
         皆 誰しも これは避けられぬ                                    新たに時がきて 朝鐘が鳴り渡れば                          黄泉に棲みつくのが運命なのだ                           だから 陽気に楽しもう
      運は天に委ね 陽気に飲もうではないか
         去っていった者にも幸いあれ  !...                                                     われらが青春にも歓びあれ!...                             

Gunther : Studenten-Lied  Aus : Trinklied
 ギュンターは1695年生まれ。28歳で夭折。時代は17世紀バロックだが、若きゲーテに バトンタッチをすべく内面告白・心情吐露する詩を書きその意味で先駆的ドイツ詩人となった。 

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*ハムレットは金髪:「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」より

2024年03月16日 12時30分50秒 | *文学・学問・詩・余滴: Ⅰ-Goo

「処で、シェイクスピアはハムレットをどんなふうに描いているのでしょう」---「何よりもまず、金髪なんですね」  とヴィルヘルムは云った。---「穿鑿しすぎよ」  とアウレーリア。   「どこから そんな考え浮かぶのかしら」---「北国デンマーク人であれば、生まれつき金髪で青い目に決まっていますからね」       「シェイクスピアはそんなことまで」---「はっきりとは書いてはいませんが・・」

フェンシングは彼には骨が折れ汗も流れる。ですから王妃も、〈太っていらっしゃるのですから、ひと息 おつきなさいな> ・・などと声をかける。---      ですから、ハムレットは金髪の太っちょと、それに憂鬱症で涙もろく、実行は乏しく、あれかこれかで悩んでばかり  優柔不断な性格、 つまりHamlet, der Zaudererというわけなのです。

  でね、すらりとした栗色の髪の青年とは考えにくい。・・  すらりとした栗色の青年でしたら、果敢で敏捷ですからね・・---  「太っちょの金髪のハムレットなんて、まっぴらね。太った王子なんて」 と アウレーリアは云った。   「それよりか、原作者よりも魅了させてくれる人物像をみせてほしいわ。 魅力あるほうが素敵ですもの 」

   Goethe: Wilhelm Meister's  Lehrjahre  ゲーテより

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*クロップシュトック: エリシウムの苑

2024年03月10日 09時14分14秒 | *ドイツ抒情詩・バロック詩選:夏目政廣訳 --Goo

   春の木陰に 微睡まどろむ乙女;

 見つけた若者は 薔薇の花綵(はなづな)で飾ってやる 

だが 気づかぬ乙女  それでも なお みつめ  囁き  

薔薇の花綵で 愛撫している と  

 目を覚まし 乙女は見つめ返す :

こうして 命と命が結ばれるや 忽ち 

辺りは エリシウム(楽園)の苑となり・・ )))

 Friedrich Gottlieb Klopstock: 1724-1803.          

  Das Rosen-Band : Reclam  Dt. Liebes-Gedichte

  この詩はクロップシュトックが1751年に知り合い、結婚したメタに送った詩で、18世紀ロココ文学の傑作。

 当時よく用いられたモティーフが、気の利いた言葉の遊びを脱し、魂の結びつきへと昇華した。 この詩は74年にヴァイスWeiss により作曲され、シューベルトSchubertによる曲もある。

ゲーテの若きときの小説でナポレオンも愛読したという「若きウエルテルの悩み」 Die Leiden des jungen Werthers の中にも、ロッテがクロップシュトックとひとり呟く場面があり よく知られている。

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*「ヴェニスに死す」:トーマス・マン より

2024年03月03日 09時53分56秒 | *文学・学問・詩・余滴: Ⅰ-Goo
 「ヴェニスに死す」という映画でも知られているトーマス・マンの短編に、同名Der Tod in Venedig がある。
これは中年の避暑にきた作家が、若くて美しい青年にプラトニック愛を抱くテーマを扱ったものだ。:
  リドに滞在して4週間目、グスタフ・フォン・アッシェンバッハは、周囲の世界に、幾つかの不気味な経験をした。
シーズンが頂点に近づいているのに 海水浴場に臨むホテルの客は減ってくるばかり。   周りで話されているドイツ語が少なくなり、竟には、一言も聞かなくなっていた。
食事の際も浜辺でも、耳に入ってくるのは外国語ばかり。
或る日のこと、理髪師のところで話していると、妙な一言を聞いた。:---     理髪師は旅立っていったドイツ人家族を話題に、云った。
「旦那はまだ、お残りで?.. 例の疫病のこと、気になさらない?..」
 すると、アッシェンバッハは見返し、
 「えっ?...何のことかね?...」
理髪師は途端、口を噤(つぐ)み、聞こえぬふりをした。 だが、・・
    *- *-  (((   *
Sie haben ,mein Herr, Sie haben keine Furcht vor dem Ubel  ?
Dem Ubel?.. Aschenbach sah ihn an und sogleich wiederholte er .
Der Schwatzer verstummte doch,und tat beschaftigt.
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