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仔羊の回帰線

詩と散文のプロムナード :Promenade

◎*トリスタンとイゾルデ:--プラーテンより *附:独文原文

2025年05月16日 10時57分51秒 | *Deutsche Lyrik :--Goo

うつくしき きわみの魅力にとりつかれし者は

 遁のがれる術すべもなく おののく者となる

  されど 悲しむこともなき・・

うつくしき極みの魅力に 憑りつかれし者は

愛のくるしみ厭いとうことなく

美の矢で的ま と射とめんと 突き進む・・

 されど 望みし願いの叶えられることなく 生を紡ぎてゆくばかり

嗚呼 願ひ叶わぬ侘しさよ されば 泉のごとく涸れたくと 

辺りに漂ふ花の香に 侘しき思ひを知るばかり  ・・

うつくしき きわみの魅力にりつかれし者は

      泉のごとく涸れたくと・・ ))) * ---

 

   これはペルシャのガゼール詩の形式美を駆使して、新たな地平を切り開いたプラーテンの詩で、プラーテンは晩年のゲーテと親交のあった形式美に優れた詩人。---

August  Graf  von Platen : Tristan und Isolde : Dt. Lyrik vom Barock bis zur Gegenwart     dtv.   ebd.  S.162.

    * * *  )))    * 

 Wer die Schonheit angeschaut  mit Augen, 

      Ist dem Tode schon anheim gegeben, 

 Wird fur keinen Dienst auf Erden taugen, 

Und doch wird er vor dem Tode beben, 

Wer die Schonheit angeschaut mit Augen.     >>    

 

Was er will, das wird er nie gewinnen,

Was er wunscht, das ist ihm nie geworden. 

 Ach ,er mochte wie ein Quell versiechen,

  Jedem Hauch der Luft ein Gift entsaugen, 

Und den Tod aus jeder Blume riechen:

   Wer die Schonheit angeschaut mit Augen,

Ach , er mochte wie ein Quell versiechen !

【脚韻】 :

Augen- Taugen, gegeben- beben,

versiechen- riechen, entsaugen- Augen,

  **  )))  ++

*ドイツの詩人プラーテンは ペルシャのガゼール詩形を用いて「トリスタンとイゾルデ」をかいたが、この物語の悲恋は中世の伝説に基づく。              

   *ガゼールとは、ペルシア語で「歌」を意味する「ガズル」から派生した言葉で、ペルシアやアラビアのイスラム文化圏で発達した抒情詩形式 。   一般的には5連から15連までの長さで構成され、各連は二行からなり また、各連はそれぞれ独立した意味を持ち、主題やイメージが連想的に展開される --- ガゼールでは恋愛や酒、自然などが主な題材として扱われ、恋人への憧れや失恋の苦しみ、神への懐かしさや神秘主義的な体験などが表現された 。-- 

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◎*女神像の微笑み:ゲオルゲより

2025年04月28日 09時24分30秒 | *Deutsche Lyrik :--Goo

   風なき森の朝まだき 雨は密やか 森を濡らし

    濡れた木の葉は 雫を滴らせ土を潤していく

 弱き陽の光は樫の木の蔽いを抜け 小路を照らし

そのなかを 父と子は寺院へ 向かひゆく

入り口に 接骨にわとこ茂り 触れると花粉が舞った;

おお かくなる渦は何の前触れか 

されど 青年よ 汝れは男ぞ

いざ 筋骨隆々の魅力を見するがいい! 

さすれば 女は柔らかな唇で応えてくれよう

今 戒めの桎梏から抜け出てはならず

施しを拒んでもならず 取り乱してもならず

女神像の微笑みに快く応え 慄くまま

ひたすら伏すがいい さすれば 

魅惑の息づかいが 汝が頬を火照らすであろう 

胸の高鳴りは 快く受け止めよ 

その時  女神像の微笑みに納得するであろう )) )

        *ゲオルゲ「春の目覚め」 より

       */-*109--*85-/**+*

     S.George  Fruhlings-Wende 

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*道ならぬ恋: トリスタンと王妃イゾルデ

2024年02月22日 11時59分00秒 | *Deutsche Lyrik :--Goo

     道ならぬ恋の物語といえば、トリスタンと王妃イゾルデやフランチェスカとパオロの物語がよく知られている。

前者は中世ケルト説話に出てくる主人公トリスタンであり、彼は伯父マルクの妃となるべくアイルランドの王妃イゾルデを迎えに行った帰途、知らずに媚薬を飲んでしまい離れられない間柄になって密会をかさねる。そして それがマルクの知るに及んでトリスタンは追放され、二人は悲劇の死へと巻き込まれていく。

この物語からヒントを得て、ドイツの詩人プラーテンはガゼル詩の形式美を駆使して新たな地平を切り開いた。:

 美しき極みと魅力に とりつかれし者は

もはや 遁れるすべもなく やがて 放蕩の身となり 

死と向きあい慄くとも 悲しむこともなし・・)))  *

愛の苦しみ厭わずに  汝れは 突きすすむ・

されど 嗚呼 望みし願いの 叶えらるることなく

やがては 虚しき生に 苦しみ果てん

叶わぬ願いの侘しさよ   泉のごとく涸れたくと 

息するごとに毒仰ぎ 花の香に 死の匂いぞ嗅ぐばかり

美しき きわみと魅力に 憑りつかれし者は

 泉のごとく 涸れたくと・・

August Graf von Platen ; Tristan und Isolde

Aus; Dt. Lyrik vom Barock bis zur Gegenwart    dtv. S.162.

   ***   )))   *

トリスタンとイゾルデの恋の物語は、中世ヨーロッパの伝説。                               トリスタンは、コーンウォール王マルクの甥であり、イゾルデはアイルランド王女。 トリスタンは、王のためにイゾルデを妻として連れてくる任務を受けたが、途中で 二人は魔法の飲み物を飲むに及んで恋に落ちる。 こうして 二人は王に隠れ密会を重ね、やがて発覚 追われる身となるや、トリスタンはイゾルデと別れブルターニュに逃げ、そこで結婚したものの、本当の愛は忘れられない。 やがて トリスタンは戦闘にでると重傷を負い、死ぬ間際にイゾルデを呼び寄せる。イゾルデはトリスタンのもとに駆けつけたが、彼はすでに息絶えるや、イゾルデもまた 悲しみのあまり死んでしまう。               こうして 二人の遺体は一緒に埋葬されるや、墓から 二本の木が生えて絡み合ったと伝えられているのである。

    ***   )))   *

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* 天を突きさす大樹: リルケ より

2023年12月06日 09時06分45秒 | *Deutsche Lyrik :--Goo

天を突きさす大樹は 純粋への昇華!

オルフォイス(竪琴の名手)が歌えば 辺りは静まり返り

 そこに芽生える新たな開始と変化がある!..

 森から姿を現した獣は 怖れも咆哮もなく聴き入る:

      こんな獣にも 魂の在りや無しや・・)))

          *リルケ「オルフォイスへのソネット」 第一部 1.より                                       Rilke: Sonette an Orpheus 

 55編からなる この詩集は 夭折した少女への思いから生まれた。              そして根源に近づきえたのは、死者と未来とが分かち合う領域であった。人は現在に安住しているばかりではなく過去とも繋がっており、未来とも繋がり存在しているのだ。

 

 

 

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*ドイツリート:「隠遁」メーリケ詩から

2023年09月04日 08時48分34秒 | *Deutsche Lyrik :--Goo

 嗚呼 独りにさせてくれ !                                   愛という贈り物で 惑わせないでくれ ! 歓びも 哀しみも                   胸に収めておきたいのだ ---

なにが そんなに悲しいのかと聞くのかい?                            だけど わけも分からぬ傷みもあるじゃないか                      だから いつも温かく見護ってくれる陽の光を                    泪して見つめているのさ すると われを忘れ                       灼熱の喜びが重い心を掠めていくと                            苦しみから解放されているのだ---

嗚呼 独りにさせておいてくれ!                                 愛という贈りもので惑わせないでくれ!                           喜びも悲しみも 胸に収めておきたいのだから---

  E. Morike : Verborgenheit                                                         Morike Gedichte  Reclam ebd. S.45.

ヴォルフWolf 作曲によるドイツリートDeutsche Lied から。

 

 

 

 

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*ユニコーン: ドーミンの詩から

2023年08月22日 07時17分34秒 | *Deutsche Lyrik :--Goo

・ユニコーン: 一角獣は獰猛だが、処女の懐にだかれると 

 おとなしくなるという。

        *

 ユニコーン それは喜び:

 最も 謙虚な動物 穏やかな おまえ

 静かで 姿を見せるときも 去りゆくときも

 もの音はたてず 愛すべき動物

 のどが渇くと 泪を舐める  夢の動物!...

   Einhorn:  Hilde Domin  ; Gedichte

          Reclam  ebd. S.33

 ドーミンが詩的才能に気づき書き始めたのは40歳になってからで、第三詩集あたりから簡潔な手法を追求し始めるのである。

 

 

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