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仔羊の回帰線

詩と散文のプロムナード :Promenade

*コーラ・ディ・リエンツォー:- ⑸-

2025年07月16日 09時11分42秒 | *現代ドイツ短篇選:夏目政廣訳:--Goo

             ガブリーニは一族と食事を一緒にしなく、別の食卓で取りはじめた。召使用の食卓であったが、食事が劣っていたわけではなく、アナーニの村では代官でさえ、このような上等な器で食べたことはないほどのものだった。
   ガブリーニは、やがて召使から告示板を通して、いろいろ知らされた。:---コーラが教皇や皇帝らと司っている政情は、どんなか、また、
国の無秩序に終止符を打ち、平和を取り戻すため選帝侯を近々ローマに召喚させるのも間違いないなどと。こうして、かなりのことが明らかになってきたが、  こんなことも知らされた。:--

コーラがローマ教皇の礼拝堂の立派な洗礼盤で洗礼を受けたことや、(そこはコンスタンティヌス大帝もローマ教皇の聖シルヴェスターから洗礼を授かっていたのだ・・) コーラが騎士の称号を授かった際に大祝典で、七つの葉模様の飾りある月桂冠と銀の王冠を頂き、帝位についたことなど・・・。   
          W.Bergengruen :Das Vogel-Schalchen
            ベルゲングリューン 「鳥の小皿」より

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*コーラ・ディ・リエンツォー: ⑷

2025年07月15日 09時52分21秒 | *現代ドイツ短篇選:夏目政廣訳:--Goo

 コーラの一族は今や称号や官職を与えられ、世界貿易のことや都市交易など喋り合っていたが、ガブリーニのことも気にかけていた。 あるとき食事の際、食堂に鳥籠を携えてきてはならぬ、まして、食卓に置くことなど罷りならぬといわれた。衣服についてもことあるごとに、なんだかんだと云ってはガブリーニのことを当て擦り、口やかましかった。
 また、或る祝いの際に、宮殿前のローマ教皇の銅像の馬の鼻腔から赤と白のワインが流され、自由に飲めるよう趣向が凝らされたことがあった。ガブリーニももちろん、皆に混じってお相伴した。が、一族の者は彼を叱責していうのだった。:そんなに酔い痴れて、少しはわきまえなくてはいけないと。--

 馬の鼻腔から流されたワインは最高級なものとは言えなかったが、お喋りしともに飲むことは楽しかったし、羽目を外し鱈腹飲んだことも事実だが、彼はこんなことも言われた。:     おまえさんときたら、挨拶もなっていないし、品もないんだね。これを聞くとガブリーニは流石に腹が立ち、一族の者とは相交えず避けるようになった。宮殿内は広く、それも叶ったのだ。   
    ベルゲングリューン作「鳥の小皿」より・
    W.Bergengruen : Das Vogel-Schalchen

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*コーラ・ディ・リエンツォー: ③

2025年07月15日 09時25分44秒 | *現代ドイツ短篇選:夏目政廣訳:--Goo

    宮殿内では築城されたり増築がつづき槌の音の絶えることがなかった。ガブリーニは飽きずに眺め人夫らとお喋りした。宮殿内にいる多くの縁者らはそれを好ましく思っていなかった。
 一度、何かの折りガブリーニは一人の横っ面を叩いたことがあった。すぐに泣き上げた少年は縁者の者で、彼のそんな振る舞いを声高に非難したが、コーラは意に介さず、みずからの若き頃の愚行を思い浮かべているに過ぎなかった。 

  宮殿内では大きな歓迎行事のあと、ガブリーニも同席しなければならなく、それが苦痛のタネだった。  テーブルに座っていること自体、好きになれず、レセプションの席では豪華な料理で多くの騎士や連隊長や大使といった列席者の下で荘重になされた。こうしてみると、コーラの交際範囲は驚くばかりであるとガブリーニは思い知った

Werner Bergengruen: Das Vogel-Schalchen   「鳥の小皿」より

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*コーラ・ディ・リエンツォー:ローマの護民官 <2.>

2025年07月14日 10時50分57秒 | *現代ドイツ短篇選:夏目政廣訳:--Goo

   騎兵はガブリーに、ローマに来られるときは礼儀をわきまえ、ふさわしい身繕いで来るよう金を手渡し、あれこれ報告し命令を伝えると立ち去っていった。
   ガブリーニは手にした大金の一部は手元に残し、他のすべては裏庭の大きな桜の木の下に隠すと、ローマへ旅立った。
  騎兵はガブリーニに所持品は一切、携えてきてはならぬと伝えていた。だが、薔薇椋鳥からは離れがたく、鳥籠を携えていくことにした。---    こうして、馬方とともにローマに辿りつき宮殿に着くと、衛兵らが引き止め鳥籠を見て笑いこけた。だが、書状を見せつけると衛兵はペコペコお辞儀をし、中にいれ身分の高い男に通した。この男もまた、丁寧に回廊へと引き連れていき、ガブリーニはコーラと出会ったのである。----
     

コーラの眼は相変わらず火のように輝き、体からは活力をみなぎらせまとっていた衣装は豪華なものであった。
    ガブリーニはコーラと抱き合うと、甥の耳朶をつまんで云った。

 大した人物になったものだのう、・・わしのところにおったことを覚えておるかの。亡くなった家内はいつも云っておったものぢゃよ。少しもじっとしておれぬ男じゃと。と、このとき、ベッピーノは間髪をいれず叫んだ。 おっ早うございます、もう一杯、如何❢...

 コーラは、やあ、なかなかよい鳥じゃ。よい鳥を引き連れてきた。こう言い残すと、急ぎ議会へ行ってしまった。執事が近寄ってくると、ガブリーニを部屋へと案内した。
                         ベルゲングリューン短篇より --->

 

     

 

           

 

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*ローマの護民官、コーラ :ベルゲングリューンより

2025年07月13日 09時45分44秒 | *現代ドイツ短篇選:夏目政廣訳:--Goo

   14世紀初めごろ、ローマにコーラ・ディ・リエンツォーという男がいた。---   父親はチベル河の水車小屋から そう遠くないところに居酒屋を構えていたが、この男、今ではローマを統治し 市民は誰一人知らぬものはなかった。が、アナーニの僻地までは叔父のガブリーニが棲んでいたが、彼の統治者である知らせは届いてはいなかった。---     ガブリーニはやもめ暮らしでも格別、不都合はなかった。自由気ままな一人生活が気に入り、子供もなく田畑はひとりで間に合うほどだった。 代わりに小さなベッピーノがいて、この薔薇椋鳥をこよなく愛していた。 腹と胸部がバラ色で椋鳥の羽毛は濃い紺色の光沢は見事なものであった。ベッピーノは柳の枝で創られた籠に入れられ、毎年、羽の抜け替わる時期には新たにガブリーニは鳥籠を編んでやったのだ。---   

或る日のこと、蹄の音がすると、一人の騎 兵が立っていた。騎兵は豪華な甲冑を身につけ、武器は携えていなく、代わりにオリーブの木の枝が巻かれた銀のステッキを持っていた。---                「これは、ガブリーニ殿ですかな?..}
「そうぢゃが・・」 
と、その時、間髪を入れずベッピーノがしゃべった。 --〈おっはようございます。もう一杯、いかが?...》             すると 使いの騎兵は白い歯を見せ、任務中であることに気づくと、馬から降り仰々しく一通の書状を手渡した。
「わしは字が苦手でのう」ガブリーニが云うと、騎兵は声高く読みあげた。:そこには格調高くかかれ、最後にはこうあった。: ---

   ローマのカピトル宮殿に来られたし。・・
   

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◎* 前線の森で: ボルヒェルトより

2025年02月14日 10時15分27秒 | *現代ドイツ短篇選:夏目政廣訳:--Goo

           雪が 樹々を覆っていた。: 機関銃を手にした兵士が 歌を口ずさむ。ロシアの森の最前線である。--兵士の口ずさむ歌はクリスマスの歌。えっ?... 二月というのに...?...   --雪が何メートルも積っている。 雪は黒い樹幹を覆い、小枝を覆い、木立に綿をかぶせたように吹き付け、辺りは一面の雪。・・   その中で一人の兵士が歌を口ずさむ。もう 二月というのにクリスマスの歌である。--ときおり,兵士は二三発 発砲する。そうしなければ,すべてが凍えてしまうからだ。目標はない。ただ 兵士は闇雲に発砲する。そして人の気配のないのを知ろうとする。すると心は不思議と和らぐ。だが、しばらくすると兵士は また発砲を繰り返す。するとまた、気が安らぐのだ。そうしなければ すべてが凍えてしまうからだ。そして発砲が繰り返されるたびに、森の静けさが打ち破られていく-・>  */-38*--63*-/*

 刹那、何かの物音がした。左から、前方から、右からも、そして 背後からも。兵士は息を思わず飲む。・・とまた何かの物音が鼓膜に響いてくる。兵士は軍帽のエリを立てる。指先が小刻みに震え、冷汗が鉄兜の下から滲んでくる。が、汗は額のところで凍りついている。 外は41度の寒さ・・。そのため冷汗はにじみ出ると、すぐに凍てつく始末。・・と、その時だった。兵士が歌いだしたのは。大きな声で、不安を打ち消すように、周りの物音を打ち消し、冷汗を凍てつかせぬように。・・だが兵士の歌う歌はクリスマスの歌!である。.. 大声で ロシアの森の前線にいるにもかかわらずである。・・           Aus: W.Borchert .1921- 47. Viele,viele Schnee    

         

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◎*盗人ヴォイノク美談: .ゼーガース より

2024年10月11日 09時28分27秒 | *現代ドイツ短篇選:夏目政廣訳:--Goo

 盗人グルシェクは一味と共にボルモス谷・タールで一冬をすごした折り、若いヴォイノクの足跡と遭遇した。
   ヴォイノクはいつも、一人で盗賊をし、グルシェクの 一味は誰一人見たこともない。だが、彼を肴に一冬をすごして厭きることはなかった。 グルシェクは すると、半日もかけ彼を捜し回った。  と遂に、プルトカ滝の岩場で陽の光を浴びているところを目に入れた。                     ヴォイノクがそれに気づくと、一瞬、猟銃を握りしめた。が、すぐにわかると、岩場から するすると降りてきて 年配のグルシェクに挨拶した。ふたりは腰をおろし 顔を突き合わせ、パンにむしゃぶりついた。
  噂に聞くより ずっと若いと グルシェクは思った。瞳は透明に澄み、澄みきった眼には毛むくじゃらな年老いた顔と肩越しに見える山並みや雲が映っていた。
   グルシェクは云った。「わしには40人の仲間がいる。なのに、おまえは何故、たった一人でいる?...」                                  するとヴォイノクは云った。
「好きだからさ。前に一度、逃亡兵と手を組んだことがあった。が、懲りたのだ。奴には女がいた。女は怖い。 奴どころか、おれにまで寄り添ってきて すぐ裏切ったのだ。女は仲間にはお荷物だ。だから おれには一人で充分なのだ。」
 グルシェクは吃驚した。一理あったからだ。さもなければ、こんなにも長いこと40人もの仲間に裏切りや争いもなく どうして統率してこれたであろう。
      Anna Seghers :  Die schonsten Sagen vom Rauber Woynok
 ゼーガース:1900- 83.. 

Erste Ubersetzung 1987.8. von:Masa. Natsume-HERRN*SOMMER

       **  )))  **

・アンナ・ゼーガースの「盗人ヴォイノク美談」について:--- 

ゼーガースは20世紀を代表するドイツの小説家であり、彼女の作品は今なお愛され続けてい.る。---       「盗人ヴォイノク美談」は個人と集団の対立と融和、そしてヴォイノクの死に至るまでの物語を描き、ヴォイノクという一匹狼の盗賊が、40人もの盗賊団を率いるグルーシュカと出会い、互いの生き方について語り合うという内容。 

       ゼーガースの作品は彼女自身の生涯や時代背景が色濃く反映され、特に亡命生活を送った経験は彼女の文学に深い影響を与えた。        ナチス政権下のドイツから逃れ、メキシコで亡命生活を送ったゼーガースは、その後 東ドイツで活動を続け、多くの重要な作品を残し、代表作には「第七の十字架」や「死者はいつまでも若い」などがあり、それらの作品もまた、当時の政治的、社会的な状況を反映したものとなっている。---    「盗人ヴォイノク美談」はゼーガースの作品群の中でも特に興味深いもので、個人主義と集団主義、自由と束縛、そして人間の本質についての深い洞察を提供。ヴォイノクとグルーシュカの対話は、自己のアイデンティティと社会との関わり方について考えさせる。    /*-731*--580*-/* + * +* + * + * + * + * +

Der Rauber Gruschek , der mit seiner Bande in Bormosche-Tal uberwintert hatte, stiess auf die Spur des jungen Raubers Woynok , der immer allein raubte.           --->   Gruschek sagte; Ich habe 40. Rǟuber .Das ist gerade die rechte Zahl.  Warum raubst du immer allein ?...               Woynok erwiderte; Ich will immer allein rauben, Einmal habe ich mit einem entlaufnen Soldaten gemeinsame Sache gemacht.Dieser Soldat hatte ein Madchen......

     彼女の代表作としてよく知られているのは「第七の十字架」で、ナチスの強制収容所から脱走した7人の囚人の物語を描き、その中の一人が自由を勝ち取るまでのサスペンスに満ちた逃亡劇だが、人間の尊厳と抵抗の精神を強調、多くの言語に翻訳されている。---   また、「死者はいつまでも若い」は第二次世界大戦後のドイツを舞台に、戦争の影響を受けた人々の生活と心理を描いた長編小説で、戦争によって引き裂かれた家族や社会の再建をテーマにしている。 

他にも、「トランジット」は第二次世界大戦中のフランス、マルセイユを舞台に、亡命を試みる人々の姿を描き、亡命者たちの不安定で複雑な心情をリアルに描写。この作品は、ゼーガース自身の亡命経験に基づいている。-->

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◎ *ライオン: 大人のファンタズィー 

2024年05月24日 09時50分27秒 | *現代ドイツ短篇選:夏目政廣訳:--Goo

     ハンス・ウンヴィルシュの家にライオンが棲みついている、という噂が俄かに起った。  夫人が2年前に失踪して、三か月ほど過ぎたころかららしい、というのである。:---   それは 或る寝苦しい 暑い日の夜中のことだった。ライオンが開きっぱなしのドアから 手探りするように入ってきて、ベッドの傍らで横たわっていたのだ。 --ウンビルシュは鈍重な足音は耳にして、動く陰は真っ暗闇の広い部屋ではわからなかったが傍らに来るや、苦し気な息遣いをし、また、何か黴臭い木の葉の匂いが鼻を突いた。 ---   少し後になってライオンだとわかったのだが、湿った土と獣の匂いには違いなかった。 ---                              ライオンの体からは露がしたたり、その為か少し涼しく感じられると、ウンビルシュは吹き寄せてくる爽やかな風と相俟って、以後ぐっすりと寝入っていたのだ。                                    朝方、寝入っていると思っていたライオンはいなく,玄関ドアに目を向けると玄関前で,ぽつねんと河のほうを眺めていた。
  ウンビルシュは怖れずに、来るように合図すると肉の切れ端を与えてやった。  ---                         
  これを機に言葉の一つでも理解しあえればと思ったのだ。だが、肉を食べ終えても口を開けないまま、黒いまなざしでどこかを見つめているだけだった。 --ライオンは何も伝えたがっている風はなく、待たなければと思ったが、ウンビルシュは粘り強く言葉をかけようと決めた。---こうして、ライオンが棲みつくや何日も過ごしていると、昼間は近くの丘の上に立ち、逆光を受け黒い影となり立っていたかと思えば首をうなだれて河を見つめていたり、玄関の壁際で陽の光を浴び横たわっているときもあった。そんな折り、近くに寄っては言葉をかけていたのだ。   
   C.Meckel : Der Lowe  Reclam. ebd. S 35ff...            
   メッケル: 「ライオン」より   Ubersetzung von : M.NATSUME

***  ))) *戦後ドイツの作家メッケルは短篇に長けたファンタジー物語を書いたユニークな作家でありグラフィカーでもある。>

戦後ドイツの短篇はヘミングウェイなどの謂わば、失われた世代The lost generation: の作家が書いたアメリカのショートストーリーの影響を受けつつ、独自の文学的伝統を築き上げ、ナチス時代に、より簡潔で直接的な表現で戦後の混乱と再建の時代に活躍したことは記憶に新しい。---   それらの作家たちは戦後のドイツ荒廃した社会に新たな視点を提供し、今日でも、文学の力がいかに人々の心に響くかを示している。そんな例として、例えば、パトリック・ジュースキントは、「香水」の著者としてよく知られ、独特の感性と深い洞察力で、ファンタジーの枠を超えた文学的価値を持っているのである。

     戦後のドイツ文学は、その多様性と深い歴史的背景により読者を魅了し、そんな中、ごく短い掌編ではあるがメッケルの「ライオン」という作品もある。「ライオン」という短編はそのタイトルからも想像されるように力強さと威厳を持つ生き物を題材にしながら、親しみやすいように書かれ、意外や意外、ほんのりとあたたかな人間的なメッセージを伝えている。>---   因みに、訳者はドイツ文学史の専門家で、彼の訳にはランゲッサーや現代作家の短編他、ドイツのバロックから現代にいたるまでの抒情詩の翻訳に長け、その翻訳は原文のニュアンスを尊重し、親しみやすい形でなされている。

The art of translation is a bridge between cultures, a means of sharing the wealth of literature and knowledge across language barriers.                          One such architect of this cultural exchange is Masahiro Natsume, a Japanese translator  .。He  was born in Ngano Prefecture . His transition in the literary world is a testament to the diverse paths that lead to the realm of translation. 

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*ローマの護民官: コーラ・ディ・リエンツォー: ➁

2024年05月12日 09時52分29秒 | *現代ドイツ短篇選:夏目政廣訳:--Goo

   *ベルゲングリューン 「鳥の小皿」 ② より:
    ローマのカピトル宮殿に来られたし--  これに続いて、署名も認められていた。-- : 神の御加護の下に、ローマ共和国を救済せし、イタリアと全世界の同胞に味方となり、御聖霊の恩寵ににより、自由と平和と正義をもたらせし護民官、並びに、貧者と寡婦と孤児の保護者たるニコラウスとその妻。 
         ガブリーニは、ことの内容がよく呑み込めなかった。すると使いの騎兵は再度、読み上げ説明を加えた。
 このお方は つまり、そなたの甥のコーラ閣下なのですぞ。実に甥のコーラ閣下様なのですぞ。・・
 だが書状によれば、この護民官の縁者は、すべからく 貧困と隠遁の生活は罷りならず、ガブリーニも 即刻、田畑を手放し ローマに赴かねばならぬ、と云うのである。                                    
 次第に事情が飲み込めてくると、ガブリーニは本当に あのどえらい饒舌家だったコーラに違いないと思い当たった。
思ってた通りぢゃ。あの男が平凡な暮らしに満足する筈はないからのう 
 W.Bergengruen :Vogel-Schalchen
Ubersetzt von HERRN*SOMMER-夏目                 
             ***  )))  --->>  *                                           中世ローマの護民官、コーラ・ディ・リエンツォの生涯は、政治的野心と理想主義、そして悲劇的な結末を含むドラマチックなものであった。

   コーラ・ディ・リエンツォは、1313年から1354年まで41年の生涯を過ごし、ローマ市民の支持を集め、貴族に対する改革を推進した。しかし、独裁的な振る舞いは最終的に市民の反感を買い、暴動によって命を落とした。

ドイツの作家ヴェルナー・ベルゲングリューンは「鳥の小皿」という短編を通じて、コーラ・ディ・リエンツォのエピソードを再解釈し、コーラの野心とローマ市民との関係を象徴的に描き深い印象を残した。このように、歴史上の人物が文学作品に登場することで、新たな視点が加わり、彼らの生きた時代を伝えることができるのである。

コーラ・ディ・リエンツォのような歴史的人物は、権力、正義、そして人間性についての普遍的な問いを投げかけてき、ベルゲングリューンのような作家がそれを物語として描くことで、過去と現在が対話し、新たな意味を生み出し、歴史は単なる記録ではなく、生きた物語として息づくことになる。。。

 コーラ・ディ・リエンツォは多くの作家や作曲家に影響を与えてきたが、例えば、リヒャルト・ワーグナーのオペラ『リエンツィ』、ジョヴァンニ・ズガンバーティの交響曲「コーラ・ディ・リエンツォ」などであるが、これらの作品は、コーラ・ディ・リエンツォという人物が持つドラマチックな人生と、彼が追求した理想と現実の間の葛藤を表現し、彼の生きた時代を超えて、今日に至るまで感動を呼んでいるということになる。   ---  >>>  *

* コーラ・ディ・リエンツォーと「鳥の小皿」Vogei-schalchen :

        中世ローマの護民官であったコーラ・ディ・リエンツォーは、その生涯と行動が今なお 語り継がれ、1313年から1354年までの41歳という短い生涯の中で、ローマ市民の支持を集め、貴族に対する改革を推進したが、政治的野心と悲劇的な結末は、後世の芸術家や作家に影響を与えてきた。。。

ドイツの作家ヴェルナー・ベルゲングリューンは、この歴史的人物にインスピレーションを受け、「鳥の小皿」という短編を執筆し、彼のエピソードを独自の視点で捉え、人間性と時代の精神を描き出している。 ベルゲングリューンは、歴史的事実を基にしながら、文学的想像力を駆使して物語を紡ぎ出し、深い印象を残している。。。

コーラ・ディ・リエンツォーは、政治的な野望と市民の期待が交錯する時代背景の中で、ローマ市民の自由と権利を守るために立ち上がり、一時は成功を収めたが、最終的には市民の手によって命を落とすという悲劇に見舞われた。

  *コーラ・ディ・リエンツォー: 中世ローマの改革者とその遺産:

 コーラは1313年にローマのトラステヴェレ地区で生まれ、若くして公証人となる。彼は弁論に長け、古代ローマの栄光を称賛し、貴族に対する批判的な演説で名を馳せる。当時の教皇庁がアヴィニョンにあった時代、ローマは荒廃しており、コーラはこの状況を変えるために行動を起こした。

1347年、コーラは議会を招集、数千人の群衆の前で貴族を標的にした改革綱領を発表。彼は独裁官の権限を与えられ、自らに神聖ローマ共和国 解放者という称号を授け、税制改革を行い、貴族を容赦なく裁判にかける。しかし、次第に誇大妄想的な言動が目立ち始め、皇帝のように振る舞い、自らを「聖母の息子」と称するようになる。

コーラの改革は一時的な成功を収めたが、貴族階級との対立は深まり、教皇の支持を失い政治的運命は暗転。1354年、ローマに復帰したコーラは気に食わない者を次々と処刑、市民の不満は高まる。同年10月、反乱が起こり、「裏切り者に死を」と叫ぶ群衆に取り囲まれたコーラは、かつての部下に刺殺されてしまう。。。>>> --

附・ *中世ローマの護民官、コーラ・ディ・リエンツォの生涯は、政治的なドラマと個人的な悲劇の両方を含み、彼の物語は、ドイツの作家ベルゲングリューンによって「鳥の小皿」Das Vogei-Schalchen という短編小説で描かれており、夏目政廣氏によって日本語に翻訳されている。この作品は、コーラ・ディ・リエンツォの野心と理想、そして最終的な没落を描いており、歴史的な人物を文学的な視点から捉えている作品で、 夏目政廣氏による翻訳は、グー・ブログで公開されておりオンラインで読むことが可能である。  <-49-- PV.-58->               < --59 --  62--  >>                                                       *HERR*SOMMER-夏里氏の生成AI-活用術より +1.

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◎「ライオン」:メッケル より 

2024年02月04日 08時50分05秒 | *現代ドイツ短篇選:夏目政廣訳:--Goo

 或る時、ウンビルシュは都合で 家を長いこと開けなければならない時があった。だが、家は閉じていってはいけない。留守の間も、ずっと安心していられる気がしたからだ。
 九月も下旬の ある雨の日。戻ってみると、棲みついていたライオンは目を見開き ドアの後ろで横たわっていた。が、気づくと玄関先に姿を見せた。家の中は 出ていったときと変わったところはなかった。留守番の礼として、大きな肉を与えてやった。

 それからというもの、河で釣りをしていると、ライオンもついてきた。そして 魚を釣り上げると 途端、鼻を ぴくつかせ、すり寄ってきた。   >>                   ライオンとはまた、よく森に入った。そして夜には一緒に寝た。             が、しばらくすると、ライオンは ふいと離れていった。 初雪の舞う明け方のことだった。言葉をかけ 親しんできたつもりなのにと 淋しくなった。けれども、別れの時はくるのだ。仕方ない。                         雨の中 川に向かっていく姿を追っていると、ライオンは河を泳ぎ切り、向こう岸にたどり着き 姿は小さく消えていった。>>

 こうして、冬が去り、寒さも去ると 河の向こうは 煙りつつ青々としてきた。空は澄みわたり 気持ちも晴れ晴れとなった。 冬の間は とじこもったまま、近辺の隣人を訪ねたこともなかったが、訪ねていき ライオンを話のタネに、酒でも酌み交わしてこよう。。。 
 C.Meckel : Lowe  大人のファンタズィー より

 

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