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仔羊の回帰線

詩と散文のプロムナード :Promenade

*:鴎外「青年」より

2023年05月30日 09時05分01秒 | *文学・学問・詩:余滴 Ⅱ-Goo

 ルソーは嘗て、自然に帰れ(Zuruck zur Natur!)といった。                 日本では 契冲、真淵、本居宣長以下の(「万葉集」、「源氏物語」や「古事記」の)国学は唯の復古で、ルネッサンスとはちがう。                だからといって、過去の夢の国に魂を馳せノヴァーリス(Novalis)やドイツロマン派 Romantiker のよえに 青い花(Blaue Blume)に憧れても、それだけでは駄目だ。                                       「戦争と平和」を書いたトルストイも、自身は遁世的といっていい。                                          やはり、日常生活に面と向かっていかねば。                   この面と向かっていく心持が大事で、これをディオニソス的といっていいし、日常生活に没頭していきながら、精神の自由は護り、一歩も仮借(excuse)しないところがアポロン的なのだ。

* )))

 「どうだね、こんな話」                                大村は延々と自前の説を披瀝すると笑った。それを熱心に聞いていた純一は「なるほど、」と頷くと、                               「この間の某博士の説に、こんなことが書いてありました。つまり、個人主義は西洋の思想で、個人主義では自己犠牲はあり得ない・・」

 

 

 

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*カサンドラ: ノサック「カサンドラ」より

2023年05月22日 09時17分15秒 | *現代ドイツ作家の群像;人と作品:1945年以降:-Goo

  あらゆる男から、もっとも美しい女と認められていたヘレナ。               そのヘレナがトロイの王の娘カサンドラのことを何と云ったと思う。            カサンドラは腰が細すぎると云ったのだ。

   「ヘレナって口の悪い人ね」と オデュッセウスの妻は 夫の問いに答えた。彼女は不機嫌そうだった。 

 「だが、そうはいっても ヘレナが口の悪い女だったとは言えまい。それに、いかに女たちがヘレナに嫉妬していたといっても、粗探しはできなかった。それができたら、喜んで言いふらしたろう。・・前にも言ったと思うが・・」とオデュッセウスは続けた。                                 「ヘレナは誰一人として悪しざまに云ったことなどなかった。いや、それどころか、周りの女たちを護ってやった。 惜しまず相談に乗ってもやった。」

トロイの王子パリスに誘惑され、トロイ戦争の原因となり、かの戦争はヘレナのためになされ、多くの人の命が犠牲になり、馬鹿げたことだというのが大方の意見だが、やがて時が経ち、人の心も落ち着くと、ヘレナは戦争の口実にすぎなかった。だからヘレナは今では、女神に列せられている。 

「だから、おかしい」とオデュッセウスは妻に云った。 「ヘレナがこともあろうに、何故、カサンドラだけを辛辣に云ったか」                         「アポロのことでヘレナは妬ましく思ったのね」とオデュッセウスの妻は云った。「いや、まいった。そうも考えられぬこともない」とオデュッセウスは叫ぶように言った。

      ++ ))) *

カサンドラ: 予言の能力を持っていたが、アポロの求愛を退け、予言しても信じてもらえぬという罰を受けた。トロイ王の娘。

オデュッセウス:イタカの王で、トロイ戦争におけるギリシア軍の智将。      トロイ滅亡後、苦難の末に巡り巡って10年の後に故国に辿りつく。                「オデュッセイア」はホメロスが書いた その放浪と冒険の長編叙事詩として有名。

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