仔羊の回帰線

詩と散文のプロムナード :Promenade

* アーリエルの歌:「ファウスト」第二部 より

2024年01月29日 08時59分35秒 | *ゲーテ「ファウスト」より

  野に、疲れ切って 横たわっている ファウスト。:

アーリエルの歌: 小さな妖精が 悩む者の心を 浄めようと、

周りを 飛び巡っている。:   --*   

 空 澄み渡り 月 耀けど 時の早や 過ぎゆけば 

悩み憂いも消え  幸せも間近  !..  

さあ  日の光を信じましょう 明ければ  

緑の谷  膨(ふく)れる丘に 木々は 陰(かげ)となり  

  銀色に 穀物は浪打ち・・      

さあ 願いを胸に 昇る光に 感謝をいたしましょう!.. 

囚われていては なりませぬ 眠りは 一時の 殻なのです 

 さあ 進みましょう 躊躇(ためら)いは禁物です 

惑わず 気高く 事に当たりましょう  

成就すれば ことは叶うものです !...

 ゲーテ「ファウスト」第二部 第一幕より

    *- * * - ( ((  * *

Faust:  Der  Tragodie    Zwiter Theil    Erster Akt :

  In Nacht schliesst sich heilig Stern an Stern,: 

 Grosse Lichter ,kleine Funken ,   

   Glitzern nah und glanzen fern ,;   

   Glanzen droben  klare Nacht ,   

 Tiefsten Ruhens Gluck besiegend     

 Herrscht des Mondes  volle Pracht. )) ) * 

 Schon verloschen sind die Stunden ,   

 Hingeschwunden Schmerz und Gluck ; 

   Fuhl'  es vor !  du wirst gesunden ;  

      Traue neuem Tages-Blick ...  

       「脚韻】:                          Stern- fern, Nacht- Pracht,   

  Stunden- gesunden, Gluck- Blick,

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*円かな月よ :ゲーテ「ファウスト」より:

2024年01月27日 10時52分36秒 | *ゲーテ「ファウスト」より

 まどかな月が この苦しみを照らしだす                                 嗚呼 苦しみよ これが最後であればいい                               優しい光の中で もっと健やかに 歩きたいのだ   ~397.

鐘の響きが 冴え渡り 不思議なことに                               毒盃が 口元から離れてゆく :復活祭は もう間近か なのだ

 おお 生命が 蘇る !!..   ~ 745     

 

 

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* ベルゲングリューンとロシア文学 

2024年01月24日 09時53分30秒 | 文学・学問・詩:余滴 Ⅱ

   ドイツの作家ベルゲングリューン。                                                               彼はロシア文学の作品を多く翻訳している。例えば、ドストエフスキーの「罪と罰」や「白痴」。   またツルゲーネフの「父と子」など。

彼はよく知られたドイツの現代作家。1964年に物故している。これはちなみに、東京オリンピックが開催された年である。また、松本清張の「球形の荒野」の背景になっている年でもある。外交的平和を求めて難儀し努めた外交官に纏わる悲惨な物語である。 閑話休題---

 ベリュームトな大作には「大暴君と審判」や「天上でも地上でも」がある。        短篇では「鳥の小皿」Das Vogel-Schalchenほか。多くの作品もある。        ベルゲングリューンが何故、ロシア語に堪能であったか。他でもない、彼が生まれたのはリガ。そして リガは、旧バルト三国の中の一共和国でなのある。*- *- *  ) ))

 Kennst du  den katholischen Schriftsteller  Werner Bergengruen ?             Ja, gewiss. Warum denn ?  きみはベルゲングリューンを知っているかい。  --勿論。 で、何故?^---

  Er hatte  viele grosse russische Romane ubersetzt.;  Verstehst du ?    彼はロシアの長編小説をたくさん翻訳しているのだよ。・・

zB. 'Schuld und Suhne' ,'Der Idiot'   von Dostjewski , und  auch 'Vater und sein Sohn' von Turgenjew  usw...  Er ist ja naturlich ein sehr beruhmter Schriftsteller in der modrnen deutschen  Lireratur, der in 1892 geboren und in 1964 gestorben war.  Und  er hatte   viele grosse Romane geschrieben. wie du kennst. ;  zB. Der GrossTyrann und das Gericht , 大暴君と審判、-- Auf Himmel wie auf Erden , 「天上でも地上でも」 und  Vogelschalchen , usw...                        --Und  dann und wann  dachte ich daran ,  wieso er im Russischen so geschickt und bewandert war .und  so bemerkte ich gleich danach, dass er in Riga geboren war.  --                               Riga ist freilich ja  die Hauptstadt in einem von Drei Staaten  am baltischen Meer in alte Sowjet Union.-- Das hat mir  tief eingepragt...

Ach so, ja versthe ich gut , verstehe ich gut,   Danke , Veilen Dank!... 因みに、バルト三国とはエストニア、ラトビア、そして、リトアニアである。

 

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*ホーソン「緋文字」:罪の告白 より

2024年01月22日 09時34分46秒 | ギャラリー:世界の文学 Ⅰ

 ニュイングランドの人よ と若い牧師は震え声で叫んだ。                    正午がすぎ、牧師は裁きの法廷で罪の申しだてをしようと 大地から立ち上がった。:                                        皆さん、この世の罪人である私を ご覧ください。 7年前に 私はここに立つべきであったのです。 夫人、ヘスターと並び、這うように上がることのできたのは、夫人が支えてくれたからです。・・                      ご覧ください。ヘスターが付けている 緋文字を。 あれを見て 皆さんは身震いなさった。 緋文字は忌むべき嫌悪の光を投げかけました。                                          然し、ここにいる男の罪と恥辱の印には身震いなさらなかった。

ここまで云うと、衰弱している牧師は秘密を告白しないで終わらせてしまうのではないかと思われた。が 一歩踏み出すや 云った。:                  緋文字は 彼の上にこそ あったのです。・・ 神は見過ごしては おられません。 男は巧みに隠し 皆さんの間を歩いていました。清廉潔白の顔をして。 しかし今、皆さまの前に立ち訴えているのです。ヘスターの緋文字は影にすぎないと・・ Hawthorne: The scarlet  Letter    *- *- )))   *

  ヘスター・プリン:  イギリス生まれの女性。 老学者と結婚し、夫より先に新大陸に移住。やがて、夫は来ないまま、私生児を生む。                 そして裁判にかけられるも、子の父の名は明かさず、姦通罪として、上着の胸にAの緋文字をつけられる。

  ・ディムズデール: 若く知的な牧師。  町の人から信頼と尊敬を受けていたが、 罪の告白をしなく、7年後に 群衆の前で罪の告白を果たし、息を引き取る。

 

 

 

 

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* 月曜の朝:.ヒルティより

2024年01月19日 09時24分49秒 | *詩と散文のプロムナード:Promenade:

スイス連邦州都のギムナジウムで月曜の朝、意外な光景が見られた。           教師が花束を持ち、長い廊下を歩いていた。                 若い教師の名はベルナック、古風な言葉で授業を行なう教師だった。
 つい先週までは、ある先生のクラスの授業を受け持っていたが、その先生は50前の働き盛りだというのに、亡くなっていた。                
初冬の空は その日も 広場も向こうのドームの背後も、どんよりしていた。     そんな日に、薄暗い廊下での紅いカーネーションの花束は、どう見てもそぐわない。それで 皆 首を傾げたり クスクス、ニヤニヤしたり。      . Hilty : Antigone  「アンティゴーネ」                         ヒルティは1925年 スイス生まれ。   ** ))) *

 因みに、ギリシャ悲劇にアンティゴネという作品がある。これは主人公のアンティゴネが、戦争で敵対した兄弟が国家によって埋葬を禁じられたことに反発し、自らの手で兄の遺体を埋めるという行為に出たため、そのことで国家の権威に触れ、アンティゴネは死刑を宣告される。



    
  

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*カーター・ムル:「吾輩は猫である」より

2024年01月16日 08時42分00秒 | *詩と散文のプロムナード:Promenade:

 「吾輩は猫である」にはこんな一節がある。:                                                        先だって、カーター・ムルという見ず知らずの同族が、突然、大気炎を上げたので、ちょっとびっくりした。    よく聞いてみたら、すでに百年前に亡くなっている。 好奇心から幽霊になって吾輩を驚かせるために、はるばるドイツからやってきたのだそうだ。この猫は才気があり、あるとき詩を作り、主人を吃驚させたそうな。                                            こんな変わりが、実に一世紀も前に ドイツにいたというのである。                               *- *- ((((                                                                         *        カーター・ムルはドイツ後期ロマン派の怪奇幻想作家ホフマン作「雄猫ムルの人生観」に出てくる主人公。                                                                Lebens Ansichten des Kater  Murr

  

 

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*「最後の授業」:ドーデ より

2024年01月14日 09時13分37秒 | ギャラリー:世界の文学 Ⅰ

  「今に あの鳩たちまで ドイツ語で鳴けと 云われかねないのです」      学校の屋根の上では 鳩がくーくー 鳴いていた。                 「 皆さんに授業をするのは これが最後です。 アルザスとロレーヌの学校では 以後 ドイツ語しか 教えてはならないと 命令が来ました。       新しい先生が 明日 きます。今日は 最後の フランス語の授業です。    熱心に 聞いてください」  

       その言葉は 重々しかった。アメル先生は 最後の授業のために晴れ着を きていた。    「月曜物語」より。

 *1870年の普仏戦争により、この二州はプロシャ軍に占領され フランスは敗北した。

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*惑星の品定め!....:ゲーテ「ファウスト」より

2024年01月12日 08時40分45秒 | 文学・学問・詩・余滴: Ⅰ

   天文学博士; 皇帝を前に:

およそ 太陽が 純金としますれば  -                                                  水星・メルクーアは その使い役 :寵愛をあてに努め-

金星夫人・ヴェーヌスときたら 廻りの者を惑わし 朝な夕な 色目を送っているのでございます-   そして 月のルーナは まだ 情けを知らぬ 我がまま娘でして -   また 軍神の火星・マルスは 殺さぬまでも その威力で 脅すのです-    ですが 何と申しても 木星のジュピターほど  美しいものは ございますまい -

そして土星ときますれば 図体は大きくとも 遠く見えますゆえ 眉唾もの でして 尊重はできかねますまい とはつまり 目方は重いが 値打ちは軽いのでございます-  

ですが 太陽に 月姫ルナが 寄り添いますと  金と銀とが並^ぶとなれば 世界は ますます明るくなり  こうなれば 手に入らぬものなど ございますまい - )))  **

皇帝:  あれの云うことは 二度づつ聞こえてくるが どうじゃな

 お付きの者の呟き;  たわいもなく 戯言にすぎません 錬金術師の 口真似そっくりです  そして これまで なんど 騙されてきたことか 嗚呼  あのような者の言葉は まやかし 決して信じてはなりませぬ -

 Die Sonne selbst, sie ist ein lautres Gold, --                                     Merkur ,der Bote,dient um Gunst und Sold, -

Frau Venus, hat's euch  allen angethan. -                                               So fruh als spat blickt sie euch lieblich an; -      >>>  **

Und Jupiter bleibt  doch der schonste  Schein. ...

 

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*酒飲み判事 :ホフマンについて

2024年01月09日 13時05分37秒 | *Carpe diem:Geniesse den Tag!

「悪魔の霊液」や「砂男」「雄猫ムルの人生観」など、幻想怪奇文学で知られるホフマン。     -   彼はナポレオン軍侵攻によりプロイセン判事の職を失ったばかりでなく身辺の苦境にも耐えつつ、交響団の楽長となるも指揮者としては成功せず。   が、逆境のなかから文学者としてのホフマンが生まれてくる。が、また、声楽の愛弟子の少女ユーリア・マルクとの恋愛体験も作家ホフマンの誕生には見逃せない。 --**)) *

 「もしもし、お嬢さん、お疲れのよう。・・さては 乙な一夜の朝帰りですかな」  ふと見れば 娘の目には泪が浮かぶ。

「私、お馬鹿さんね」と云うや顔をこちらに向けた。頭痛を訴えてもいる。「神経性の頭痛には 泪も道連れですからな。となれば こいつに限る。この泡なる良薬は如何ですかな」というとシャンペンを注いでやる。始めは遠慮したが一口飲む。 堪えきれない泪が判ってもらえたのが よほど嬉しかったのだろう。だが、心が晴れていくとみえたその時、グラスをぶっつけるへまをやらかした。 鋭く響く音。と顔が蒼ざめた。グラスの触れ合う音が あの廃屋の狂った女の声と重なったからだ。   ホフマン短篇「廃屋」より

     *** )))  19世紀ドイツの小説家ホフマンは幻想文学の旗手。 が、痩せて蒼白く落ち着きのない小柄の男。 彼は昼間は王立大審院で判決文を書き、夜になればベルリンのカフェや居酒屋に出没する大酒飲み。そして梯子酒が好き。 -- とはつまり、精励な判事と大酒のみの両面を持ち合わせる変わった男。とはいえ、作曲もし 劇場監督もこなす並外れた才能の持ち主でもあった。

 

 

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*今、その時だ‥:⑥ 「走れメロス」

2024年01月06日 08時35分14秒 | *Carpe diem:Geniesse den Tag!

 沈みゆく陽は 紅く光を木の葉に照り、燃えるばかりだ。   すっかり日が没するまでには、まだ 時間がある。  待っている朋がいるのだ。 信じてくれているのだ。

この機に及んで自分の命は問題ではない。 必ず 信頼に報いなければならないのだ。   Lauf, Melos!     * <・! ・>  *  

 Die Blatter der Baume  schienen und verbrannten rot  bei Sonnen-Untergang.  Es gibt noch Zeit ,bis die Sonne untergeht .

Da wartet mein Freund auf mich. Er wartet ahnungslos auf mich, mit der leisesten Hoffnung.  Aber doch glaubt er mich  herzlich !!... Jetzt ist mein Leben gleichgultig. 

Fur seinem Vertrauen muss ich ihn bezahlen.  Dann muss ich mich beeilen !!.   Jetzt ist gerade  die Zeit !!.....     Lauf, Melos !!  

 

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