山の頂から

やさしい風

元始、女は・・・・

2012-08-27 23:13:44 | Weblog
  「お久しぶりで~す」の声に振りかえると、
はたしてそこにはタツ子さんが立っていた。
或る日を境にパッタリと<彼女>を見かけなくなって、
一ヶ月ほどが経っていた。
「あら!タツ子さん、どこかお加減でも悪かったの?」と聞くと、
笑いながら否定して、「ガソリン代に事欠いたの」と、
あっけらかんとして答えた。
10万円何某かの金が入ったので3日間海へ行ってきたとも・・・
赤銅色に日焼けした身体全体をクルリと廻って見せた。
真っ黄色な水着の胸当てとジーンズのミニスカに目のやり場がない。
しかしペタンコの胸は対照的に真っ白で、
いったい<彼女>は何を考えて、
こんな恰好をしているのだろうと思わざるを得ない。

 「冷たい甘酒をいただけます?」と注文された。
ガラスのコップに氷を入れ甘酒を注いで差し出した。
それを<彼女>は30分ほどかけて美味しそうに飲んだ。
江戸時代、甘酒は夏の滋養の為に庶民が挙って飲んだという。
現代は美容に良いと聞くが、
多分タツ子さんは美容を慮ってのことに違いない。
10円や5円硬貨を混じえて300円の勘定を済ませ、
シナを作りながら真夏の光の中を帰って行った。

 【元始、女は太陽であった】と<らいてふさん>が言ったが、
現代の女性は男性に負けないほどの≪男っぽさ≫があり、
力量、知力、根性において或いは上回っていると言えなくもない。
あぁ~今夜もまた寝苦しそうだ・・・・