◆海上自衛隊と比べてイギリス海軍の減勢は著しい
フォークランド諸島周辺において2010年に油田の可能性が指摘され、これを巡りイギリスとアルゼンチンの関係が急激に悪化しています。
イギリスとアルゼンチンの関係悪化、イギリスが増強部隊を派遣し、これは1982年のフォークランド紛争以来の険悪化とも報じられているほどです。しかし、即座に戦争になる可能性は低いと考えています何故ならば、冷戦終結後、イギリス海軍を含めイギリス軍全体は、規模が縮小されている海上自衛隊と比較しても驚くほど規模が縮小されているからです。
イギリス海軍は、かつてフォークランド紛争に際してはアルゼンチン軍侵攻に際して即座に空母二隻を含む大艦隊を編成し派遣しましたが、実はもう軽空母は固定翼機を搭載していません、ハリアーは全機除籍されてヘリ空母となっています。3隻が建造されたインヴィンシブル級はイラストリアス一隻が残るのみ。
イラストリアスは満載排水量20600t、満載排水量19000tの、ひゅうが型2隻を持つ海上自衛隊の方が既に強力な規模を誇っています。クイーンエリザベス級空母2隻が建造中ですが、大型空母で維持できるかが争点となり二番艦売却や艦載機を搭載しないコマンドー空母化も検討されているとのこと。22DDHを建造する海上自衛隊と比較すると、ううむ。
水上戦闘艦は、42型ミサイル駆逐艦が最後の2隻エディンバラとヨークが現役、45型ミサイル駆逐艦が3隻でデアリングにドーントレスそしてダイアモンドが就役、ミサイル駆逐艦が合計5隻、フリゲイトは22型フリゲイトが全艦退役して23型フリゲイトが16隻建造されたうち13隻が現役、即ち水上戦闘艦は僅か18隻となっています。確か昨日、佐世保の護衛艦が16隻とか記載した記憶があるのですが。
揚陸艦、海上自衛隊は満載排水量14000tの輸送艦おおすみ型3隻と小型輸送艦2隻が基幹ですが、イギリス海軍は、といいますと、満載排水量21758tオーシャン級ヘリコプター揚陸艦1隻、このほかにドック型揚陸艦に18500tのアルビオン級2隻と16160tベイ級4隻があったのですけれども、アルビオンが予備役となり最新のベイ級は中古売却が開始、5隻となっています。海上自衛隊よりは充実しているのですが、なんといますか。
潜水艦、原潜に一本化しているので海上自衛隊と比較はできないのですが、戦略ミサイル原潜ヴァンガード級4隻は搭載するトライデントD5SLBMの将来における更新費用に悩まされ極論では廃止論まで一時期飛び出しました。最新鋭のアスチュート級攻撃型原潜は就役がまだ1隻、トラファルガー級攻撃型原潜が7隻のうち現役が5隻、トマホークの運用能力が付与されたようですが、どうやら不具合もあったようでリビアでは苦労したと報じられました。
イギリス空軍は、フォークランドへタイフーン戦闘機の分遣隊を派遣しているのですが、制空戦闘機でトーネードF3全機退役、タイフーンはトランシェ1が50機、トランシェ2が90機と140機配備となっているのですが、トランシェ1の50機について大半をアップデートする予算が捻出できず、近代化改修には実機の八割近い費用が掛かるようなのですが、この関係でなんと早期退役が検討中、F-15Jの近代化改修を行っている航空自衛隊とは大違い。トーネード攻撃機はこちらも削減され現在120機が現役、ジュギュアは全機除籍です。
空軍が運用するニムロット対潜哨戒機は改良型の開発が中断され製造中の機体は廃棄され、既存の19機は延命か除籍かで論争があり後者が優位、E-3早期警戒管制機6機が運用され、こちらが虎の子です。C-130輸送機は45機とC-17輸送機が4機、航空自衛隊よりも数は多いのですが、・・・、悲しいかな航空自衛隊は専守防衛、対してイギリスが掲げるのは外征軍で、揚陸艦と合わせ、数は大丈夫なのでしょうか。
陸軍は、チャレンジャー2戦車が配備されているのですがなんと戦車全廃論が優勢で、これに代えてアスコッド装甲戦闘車と派生型を3000両調達する案が出ているのですが、中々現実化せずに、しかし戦車は維持が厳しいという話が出ているほど。155mm級榴弾砲の数はAS-90自走榴弾砲となっているものの数は200を切っていて、唯一数が揃っているのはWAH-64戦闘ヘリコプター67機、CH-47輸送ヘリコプター33機、まあ、しかし、これが無くなるともう、というところ。
何故これで戦争が起きないのか、・・・、それはアルゼンチン軍も疲弊しているといいますか、かなり磨り減っているからです。ミラージュⅢとミラージュイスラエルコピーのダガーにミラージュⅢの廉価版であるミラージュⅤ全部合わせて約30機、それに懐かしいA-4攻撃機が約30機、それに対ゲリラ用のプカラ軽攻撃機が約30機、フォークランド配備のタイフーン2機といい勝負かもしれません。
海軍は、いや海軍もかつての巡洋艦や空母の姿はなくドイツ製MEKO級の駆逐艦が4隻に1000t級フリゲイトが9隻、あとは潜水艦が3隻ほど、もう空母はありませんし、そして何よりもう、揚陸艦が皆無で駆逐艦改造の揚陸指揮艦だけが残っているところ。これでは、戦争にはなりませんよね。
こうした理由から、アルゼンチン軍にはフォークランド紛争のような規模の上陸作戦は起き得ませんし、起こせません。イギリス軍も、現在ホルムズ海峡に45型駆逐艦を派遣するだけでも簡単に決断できるものではないでしょう。冷戦後の緊張緩和とイギリスの深刻な財政難、日本の周辺にロシアと朝鮮半島に台湾海峡と南西諸島という緊張を抱えている地域とは比較できないのですが、ここまで削減できるほどに周辺情勢が安泰となっているのはある意味羨ましいです。中国が民主化しアメリカと同盟関係が結ばれ、台湾問題と朝鮮半島問題が解決、そして友好国が緩衝地帯となる環境が日本に生まれれば、それくらいできるのでしょうが、あまり現実味はありません。
北大路機関:はるな
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
廃棄が出来る羨ましい限りのEUの連中ですが、
日本は、憲法の条文に書かれているような周辺国ではないハリアーの最新の機種を22DDHに採用して軽空母を配備して尖閣防衛やればいいのではないか。
ファントムF4の更新は、ユーロファイターのライセンス生産で松島基地で失ったF2の補充も含めて
格安で調達するくらいして欲しい。
尖閣に攻め込まれてから奪還するより、最初から
防衛できる部隊配備をする方が犠牲も少なく、予算も安い済む。
民主党政権では出来ないが、しっかり、やってほしい。
下地島空港を、自衛隊に移管してくれ、沖縄県が
管理していても、定期便が就航していない空港を
結局、税金で管理していることで、税金の無駄。
横で済みません。
ラーグスベイは、豪州海軍が購入し、HMASチャールスと名を改めて、現役ばりばりで活躍しています。中古の魔改造ニューポート級LST2隻は、ひどい代物だったようで、早々にご引退となりました。
HMSアルビオンはブルワークと交代交代で予備役に入り、次は2016に現役復帰予定とか。イギリスはインビンシブル級軽空母で同じことをやってきています。当面、売る気はないかも知れません。
はるなさま
イギリス軍の現状は、、とほほですね。金融バブルに浮かれて、巨大プロジェクトを沢山立ち上げ(タイフーンがあるのに、F35に深く関わるとか、明らかにバブリーな空母計画をさらに膨張させるとか)、発注までした所で、バブル崩壊。キャンセル料が高いので、キャンセルできず、残ったプロジェクト=「普通の、分相応の、実質的な主力であった装備」は軒並み大削減。
日本も気をつけないと行けません。身の丈にあった将来計画を持たないと、(国債高騰などで)縮小を余儀なくされた場合、著しい戦力の低下を招きます。
下地島ですが、航空隊一個の配置として地上要員300名、基地警備が空自の警備小隊20名では不安なので陸自に警備隊を置いてもらって、最前線だから基地防空隊も必要、基地機能維持に地区施設隊も必要でしょう、ざっと1000名ですか、人員捻出は別として下地島に1000名規模の部隊を維持させるだけの社会基盤がありますかね・・・。
近傍の宮古島と、佐世保地方隊に交通船を何隻か配備してもらい宮古警備隊として、そのうえで離島同士を結べば宮古諸島全体で一個警備隊と航空救難隊くらいは駐屯できる、そのくらいではないですかね。
そして何よりも沖縄本島と違い宮古諸島は中国軍の短射程弾道弾の射程圏内、戦闘機部隊を置こうとすると、どうしても基地機能を格納庫を含め地下に置くほかなくなってしまうようで。
既にご指摘いただいていますが、ラグスベイは豪州海軍で揚陸艦チャールスとして再就役しています、単艦では非効率ですし他の艦も一隻ほど引き渡される可能性がありますね。
中古艦で可能性があるのは、米予算均衡法にて早期退役の可能性が出ているホイットビーアイランド級ですが、あの艦は乗員が海自おおすみ型の倍以上必要なんですよね、大きさほぼ同じなのに。中古艦は一時しのぎにしかならないので、結局は自国で建造したほうが、とも。
カニンブラ級、退役していましたか・・・、となると、本当にベイ級をもう一隻導入する気かな?
タイフーンとF-35,ううむ、日本列島は長大ですので第四世代機にして数を揃えたほうがよかったのかもしれませんね、F/A-18Fを導入してその後継機開発を日米共同で、という選択肢はかなり検討されるべきだったかもしれませんが、そこまで見通した事業評価の制度が無かった、ということですが。