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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空防衛作戦部隊論(第二四回):航空防衛力、海上自衛隊との統合防空任務

2015-11-30 21:37:32 | 航空自衛隊 装備名鑑
■海空統合任務
航空防衛任務、基地の分散運用について、航空自衛隊と海上自衛隊の協同も真剣に検討すべきと考えます。

八八艦隊と航空防衛任務、という視点も緒戦における航空優勢確保と大規模な航空攻撃下での局地的航空優勢維持へ重要な位置づけがあると考えます、ただ、その施策的な実現へは安易に航空機の海上自衛隊艦艇からの運用は、少なくともその実現へ要する基盤構築への大きな資源配分の観点から短期的な実現は難しく、その方式には段階を踏む必要があります。

ヘリコプター搭載護衛艦の全通飛行甲板型護衛艦への新型化に伴い、八八艦隊として護衛艦隊の改編案をこれまで何度か提示してきました、即ち護衛艦隊を構成する四個護衛隊群にあって、各護衛隊群は二個護衛隊を基幹としており機能別編成を採っている、そしてイージス艦を主体として艦隊防空及び弾道ミサイル防衛任務に当たる護衛隊と、ヘリコプター搭載護衛艦を運用する対潜中枢護衛隊に分かれている。

新しい八八艦隊構想、二個護衛隊の編成を統合化し、現在のヘリコプター搭載護衛艦護衛隊の、ヘリコプター搭載護衛艦・ミサイル護衛艦・汎用護衛艦・汎用護衛艦、という編成、イージス艦主体護衛隊の、ミサイル護衛艦・汎用護衛艦・汎用護衛艦・汎用護衛艦、という編成での二個護衛隊基幹護衛隊群編成を、二つのヘリコプター搭載護衛艦護衛隊、ヘリコプター搭載護衛艦・ミサイル護衛艦・汎用護衛艦・汎用護衛艦、へ統合する案です。

この背景には、ヘリコプター搭載護衛艦護衛隊へも、現在4個の護衛隊の内、2個護衛隊がイージス艦あたご型の、あたご、あしがら、が配備されており、残る二個護衛隊のミサイル護衛艦は、ターターシステム艦の、はたかぜ型護衛艦、はたかぜ、しまかぜ、が運用されていますが、新たに8200t型護衛艦2隻が建造されることとなり、二隻ともイージス艦となるべく予算に盛り込まれました。

更に従来、弾道ミサイル防衛は、こんごう型の、こんごう、きりしま、みょうこう、ちょうかい、四隻に弾道ミサイル防衛対応改修が為されSM-3迎撃ミサイルが搭載され、この四隻がイージス艦主体の護衛隊へ配備され、三隻の汎用護衛艦が護衛にあたる、との運用がなされていたのですが、近年、あたご型二隻へも弾道ミサイル防衛対応改修が為され、ヘリコプター搭載護衛艦護衛隊イージス艦にも弾道ミサイル防衛任務が付与されました。

そこで、現在のイージス艦主体の護衛隊へも新たに全通飛行甲板型護衛艦を一隻配備し、護衛艦隊全体の護衛隊群護衛隊の任務遂行能力を画一化するとともに、ヘリコプター搭載護衛艦の戦力投射能力を海上自衛隊の作戦基本能力に格上げする案を提示してきました、この編成案は、毎年八月八日を八八艦隊の日、としてその編成案を定期的に掲載しています。

もちろん、現在のヘリコプター搭載護衛艦は4隻、うち全通飛行甲板型護衛艦は3隻となっています。そしてこれら護衛艦には、有事の際に対潜中枢艦という重要な任務があるのですが、その展開位置によっては、航空部隊の輸送支援に、機材を常時搭載しないまでも、例えばコンテナ輸送に当たるCH-47輸送ヘリコプターの給油拠点として能力、また後述しますが護衛艦の僚艦防空能力の基地防空補完任務などへ護衛艦の能力を発揮できるでしょう。

統合防空任務、短期的に八八艦隊と航空防衛任務を両立させる手法として、基地基盤の構築と輸送面での海上自衛隊護衛艦隊との連携を想定します、いわば、統合防空任務への海上自衛隊の参加、というかたちを提案する事としました、もちろん、艦隊運用を管区を区切り機動運用に制約を課すことは必ずしも運用原理に合致しませんが、一つの選択肢として挙げておきます。

北大路機関:はるな くらま
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2 コメント

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Unknown (PAN)
2015-12-01 01:16:45
はるな様

提唱されるように8隻の全通飛行甲板型護衛艦が整備されるのは当分は難しい状況ですので、現状のひゅうが型2隻、いずも型2隻で少しコメントさせてください。

個人的には同じ全通飛行甲板型護衛艦とはいえ、ひゅうが型といずも型は少し性格が異なると考えております。
対潜中枢艦としてより機能するのは、ひゅうが型でしょう。一方でいずも型は、平時は遠距離PKO派遣部隊の母艦件高速輸送艦。日本近海での有事のさいは、呉の第1輸送体のおおすみ型と連携して、水陸機動団の支援に回るのが主任務だと考えます。

いずも型はひゅうが型に比べ単に艦体が大きくなっただけでなく、艦自体が持つ対潜装備が簡略化された一方で、車両搭載能力や余剰燃料搭載能力が付加された多用途艦でもあります。
一方、おおすみ型は、ご存じのようにヘリの運用能力は持ちません。しかし大型輸送ヘリの飛行甲板への発着は可能です。現状では、いずも型のヘリ運用能力とタッグを組むことで、米強襲揚陸艦に準じた戦力となりえます(ただしF-35Bなどの固定翌機による直接支援航空戦力は運用不可能ですが、AH-64Dの運用は可能です)

また、ひゅうが型は強力な個艦防空能力も備えています。いわば、イージス艦の傘がなくとも、ある程度自らを守る能力があります。一方でいずも型は、完全に護衛を必要とする艦です。

実際、有事の際に投入できる艦隊は、保有艦の半分から、よくて3/4でしょう。(ドッグ入りなどもありますし、他の遠征任務に出ている可能性もあります)
仮に6隻のイージス艦が使えたとしても、弾道ミサイル防衛に3~4隻は回さねばなりません。そして水陸機動団を運ぶ、輸送隊+いずも型の護衛に1~2隻。
一方ひゅうが型は、強力な対潜哨戒部隊を形成し敵潜水艦の駆逐に回る必要があるでしょう。

近い将来に揃う、ひゅうが型2隻、いずも型2隻、イージス艦8隻というのは、単に八八艦隊×4個群ではなく、対潜哨戒部隊×2、水陸機動団支援部隊×2、弾道ミサイル防衛部隊×6で、最低でもその半数が、短時間に日本近海でオンステージに入れる体制と考えるべきではないでしょうか?
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全通飛行甲板型護衛艦 (はるな)
2015-12-08 19:53:04
PAN 様 こんばんは

全通飛行甲板型護衛艦8隻の話題は少々脱線しました、反省しています

おおすみ型輸送艦、いずも型護衛艦、輸送能力が大きくなる艦艇が増えていますが、実際のところ、南西諸島有事の際には、第一に水陸機動団の展開、第二に弾道ミサイル防衛部隊の展開、第三に北方からの地対艦ミサイル連隊及び機甲部隊の展開、統合機動防衛力の画定で装備体系が偏る為に、輸送需要だけが増えるばかりです

そこで、全通飛行甲板型護衛艦の活用を提示しましたのは、航空機材輸送船として搭載するのではなく、新田原基地か鹿屋基地に集積する航空機運用機材を、春日ヘリコプター隊のCH-47Jにて南西諸島へ空輸する際、給油拠点として用い得る、という視点が本文では大きくなっています。南西諸島は民間空港が多いのですが、弾道ミサイル防衛体制が充分でなければミサイル攻撃に曝されます、しかし、護衛艦上であればその心配は少なく、対潜戦闘に従事する護衛艦へ一時的に給油として利用する、というものです

また、全通飛行甲板型護衛案にF-35Bを搭載する事は、簡単にはで来ません、少なくとも来年度予算に教育訓練費を盛り込んだとしても早くても五年間を要します、が、南西諸島に広く航空自衛隊戦闘機が展開する事で、エアカバーの覆域を広め、その中で護衛艦隊が行動する事が出来ます、その意味での連携、というものでして、一方、その体制が完成するまでの間、護衛艦の僚艦防空能力を以て立ち上がる最中の臨時分屯基地防空を担う、相互互換関係の構築を、という視点は有り得るのではないでしょうか
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