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【日曜特集】観艦式2009-守る!この海と未来-【01】横須賀基地の艦隊出航(2009.10.23)

2019-08-04 20:09:10 | 海上自衛隊 催事
■歓迎-自衛隊観艦式2009
 本年秋の令和元年観艦式を祈念し今回より自衛隊観艦式、この十年間の自衛隊発展を垣間見る自衛隊記念日行事の様子を紹介しましょう。

 歓迎-自衛隊観艦式2009、横須賀基地船越地区の朝がやってきた。本年は観艦式2019が挙行されます。そこで平成懐古として、海上自衛隊十年の発展を回顧するという視点からも、今回から2009年に挙行されました自衛隊記念日行事、自衛隊観艦式を特集しましょう。

 自衛隊観艦式、守る!この海と未来、この標語一下挙行されました十年前の観艦式ですが、船越地区には今日では歴史となった護衛艦が並んでいます、なにしろこの年の三月まで、初のヘリコプター搭載護衛艦はるな、現役であり、最新鋭護衛艦ひゅうが竣工より半年だ。

 ゆうばり型護衛艦DE-227 ゆうばり、DE-228ゆうべつ。一番艦が1983年に竣工し、二番艦ゆうべつ竣工は翌1984年、この観艦式の翌年に揃って除籍となりました。基準排水量1470tで満載排水量1750t、対潜性能と北方警備用に水上打撃力に特化した小型護衛艦です。

 M/50-375mm対潜ロケット砲、スウェーデン製の対潜装備で海上自衛隊は71式ボフォースロケットランチャーとして導入し、射程2.2kmで80kgのHE爆薬を搭載し、潜水艦に対し使用します。砲身下には48発の弾庫があり、ソナーが捕捉した潜水艦を追い詰める。

 ハープーン艦対艦ミサイル、海上自衛隊がアメリカ海軍RGM-84を制式化したもので、ゆうばり型の原型である護衛艦いしかり、から導入しました。これ以前には対艦戦闘の主力は艦砲であり、ソ連海軍の太平洋進出活性化を受け、水上打撃力強化へ導入されました。

 ゆうばり、ゆうべつ。DEと云いますと聞きなれない方が居るかもしれませんが、DDという護衛艦隊の大型護衛艦とは別に、DEという沿岸警備用の小型の護衛艦を自衛隊は長らく分けて建造していました。現在は平成以降、護衛艦数削減受けDDに一本化されています。

 対水上打撃に重点を置いた護衛艦、という設計は艦尾のハープーン対艦ミサイルが象徴的です。ただ、ミサイル艇と比較したらばレーダーは強力ですし対潜戦闘能力も上記の通りあり、沿岸部、特に友軍航空優勢の支援下であれば相応な対潜掃討艦としても機能する。

 ちはや、潜水艦救難艦です。潜水艦隊第1潜水隊群に所属していまして就役は2000年、まだまだ現役です。大きなフネですが、観艦式のこの一日、当方一行はこの潜水艦救難艦ちはや、にお世話になります。太平洋に向かうこの日に揺れが少なそうで、幸先良いですね。

 輸送艇2号、横須賀地方隊が装備する輸送艇1号型の一隻だ。1988に就役しました。観艦式ではりますが、ここ船越地区は自衛案隊司令部が置かれる海上防衛の中枢、つまり横須賀基地の一般公開日である横須賀サマーフェスタでも全部公開されず、結構風景貴重だ。

 あいしま出航、すがしま型掃海艇の一隻です。この数年後に乗せてもらう事になる。観艦式、この日撮影する事が出来る自衛隊記念日行事ですが、元々は国家元首の観閲を受ける事で海軍力の水準を示す国威発揚の行事であり、我が国では現在三年に一度行われている。

 自衛艦旗掲揚、潜水艦救難艦ちはや、0800時と共に自衛艦旗掲揚が開始されました。喇叭の号令が響き渡る中、全員が敬礼すると共に朝日の中を自衛艦旗が掲げられてゆきまして、観艦式、永浦湾を東京湾へ、東京湾を相模湾へといま出航する機運がみなぎってきますね。

 ゆうばり出航、自衛艦旗掲揚と共にみなぎる機運、曳船の出港作業が始まる頃なのですが、大忙しの曳船は向こうの方へ行く、先に出港するのはこちらの、ちはや、ではなく護衛艦ゆうばり、出航にも順番が在るのですが自衛艦旗を構図に入れて撮影出来たのは嬉しい。

 沿岸警備用のDEとして建造されました護衛艦ゆうばり型は非常に小型に見えます、が、この前任は駆潜艇というさらに小型の水上戦闘艦でした。対水上対空用に40mm単層装機関砲を搭載し、対潜用に爆雷投下装置とヘッジホッグ対潜迫撃砲を装備していましたが。

 ひよどり、迎賓艇として1999年まで現役でしたが、この原型が駆潜艇です。みずどり型という。しかし360mしか飛ばないヘッジホッグ対潜迫撃砲と探知能力5kmという小型のSQS-11Aでソ連の原子力潜水艦を追尾する事は難しく、小型護衛艦へ置き換えられる事に。

 ちくご型というDE、1968年から11隻が量産された基準排水量1470t満載排水量1800tの護衛艦が、アスロック対潜ロケットと9kmの探知距離を有する66式探信儀OQS-3A に加えSQS-35/J可変深度式ソナーを搭載、駆潜艇の時代は1980年代には代替わりへ向かう。

 ゆうばり、この沿岸護衛艦の任務は北方警備用です。冷戦時代、ソ連海軍は太平洋に近い日本海沿岸ウラジヴォストーク海軍基地を有していました。有事の際、大規模な原子力潜水艦による通商破壊を阻止するには、津軽海峡と宗谷海峡を防衛する必要があったのです。

 沿岸防備任務、日本海と太平洋は北方の宗谷海峡と津軽海峡、そして九州の対馬海峡だけです、流石に関門海峡は除く。すると広範囲の対潜哨戒能力よりは、限定された場合でも水上打撃力と併せた多機能能力が求められ、ここに対艦ミサイル搭載艦の必要性が生じた。

 自衛艦旗、自衛隊観艦式がいよいよ開始されます。観艦式とは国家元首の観閲と国民への海軍力現状を展示する事が目的です。我が国物流の八割以上が海運により維持されており、海を守る事は日本そのものを維持し、平和国家の理想、その源流を護る事に他なりません。

 ゆうべつ出航、本艦が建造された1982年は対艦対空対水上各種ミサイルとヘリコプターを搭載したシステム艦はつゆき型護衛艦の量産が開始され、前年1981年はヘリコプター搭載護衛艦くらま就役による4隻体制が遂に完成、海上防衛が一時代を完成させる転換期です。

 ハープーン艦対艦ミサイルは射程220kmという、従来の艦砲や草創期の長魚雷と根本から異なる水上打撃力を有しています。対艦ミサイルそのものの原型は第二次大戦中に在りますが、その実用化は北欧とソ連が注力した以外、特に同盟国アメリカは重視していません。

 アメリカ海軍は空母航空団という最強の洋上打撃力を有しており、スタンダード対空ミサイルの対艦照準攻撃等、この分野ではあまり重要視して来ませんでしたし、1970年代以前は太平洋正面でのソ連海軍水上戦闘艦の動きは限定的、日本もそれ程重視していません。

 ミサイルは、1967年の第三次中東戦争においてイスラエル海軍の元イギリス製駆逐艦がエジプト軍ミサイル艇により撃沈、エクゾセ空対艦ミサイルが1982年のフォークランド紛争にて僅かイギリス海軍の行動を大きく制約し、防空駆逐艦シェフィールド等が撃沈された。

 まつゆき、はつゆき型護衛艦です。はつゆき型は満載排水量4000tの大型水上戦闘艦で、対潜ヘリコプターからアスロック対潜ロケットにハープーン艦対艦ミサイルとシースパロー艦対空ミサイルまで一通りを搭載した1980年代の傑作艦、ただしこの日は御留守番だ。

 まきなみ出航、甲板上に溢れんばかりの乗艦者を乗せています。たかなみ型護衛艦3番艦、むらさめ型護衛艦の余裕ある設計を応用した改良型、2004年の竣工時は第2護衛隊群第2護衛隊所属、この観艦式の前年に第3護衛隊群第3護衛隊転属、今は第7護衛隊に居ます。

 いなづま出航、横須賀市の市街地を背景に堂々の出港です。むらさめ型5番艦、ここまで、ゆうべつ、ゆうばり、を強調して参りましたが、冷戦後の平成時代は海洋安全保障と地域不安定の広域化を背景に自衛隊任務範囲が拡大し、このように護衛艦も大型化しました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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