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【京都幕間旅情】東福寺(慧日山東福寺),紅葉に極彩色の偃月橋と青々さ残し通天橋包む三葉楓

2019-11-27 20:14:49 | 写真
■初秋の紅葉が彩る洗玉澗
 紅葉の季節は彩の具合のどのあたりが最も美しいかは毎年考えさせられる命題です、特に東福寺の洗玉澗に関しては。

 東福寺。慧日山東福寺は釈迦如来を奉じ京都市東山区本町に在る臨済宗東福寺派の大本山であり京都五山四位に列せられる大伽藍です。その建立は嘉禎年間の西暦1236年まで遡り、巨大な三門や宝物の宋版太平御覧と絹本著色無準師範像は国宝に指定されています。

 円爾が開基となり鎌倉時代の武将九条道家が開山となった寺院は元々藤原忠平が平安朝中期の延長年間924年に不意藁家氏寺として造営した法性寺の大伽藍跡地に建立した寺院なのですが、五色極彩色に染まる紅葉季節には通天橋から望む偃月橋に声も出ない美しさが。

 洗玉澗という渓谷が紅葉に溢れる情景には毎年これが初見かという程に突き刺さる新鮮さと掴まれる情感の溢れを吐露するところですが、全くの真紅に染まる燃えるような紅葉も良ければこの写真に描いた色づく最中の初秋の情景も趣きがあり昨今は青椛も人気という。

 歌川広重が京都名所之内-通天橋紅楓としてこの情景をそのままに浮世絵に説く描いた事で優美光景は世界に示された情景の一つですが、この通天橋からの情景は実は一般道であり日々その季節が移ろう活ける絵葉書の情景を眺め暦の過ぎ去る景色を愉しむ事が出来ます。

 偃月橋は紅葉に浮く橋梁で東福寺本坊より塔頭の龍吟院と即宗両院とに至る三ノ橋渓谷に架けられた橋梁です。単層切妻造桟瓦葺きの木造橋廊で安土桃山時代に崩落しますが慶長年間1603年に再建、1967年に重要文化財に指定、こちらは拝観料以て歩み進めるところ。

 通天橋は撮影しました場所で、元々は仏殿と常楽庵を修行僧が日々を洗玉澗渓谷を谷渡りしていましたが天授年間1380年に春屋妙葩が架橋しました。ただ、1959年の伊勢湾台風の暴風で崩壊してしまい1961年に現在の頑丈な鉄筋コンクリートにより再建、今日に至る。

 三葉楓という葉先が三つ葉に分れる木々は通天モミジとして親しまれるもので、大陸は宋から伝来した木々です。実は鎌倉時代にこの地には壮大な桜林が広がる絶景が在ったというのですが、遊興の場が如くの修行の妨げとして伐採されこの三葉楓が植えられたという。

 三門は建立当時のものは火災により失われていますが応永時代の1425年に足利義持が再建しまして幸運にも応仁の乱戦火を免れ今日に現存します。即ち応仁の乱を免れた事で他の全ての禅寺山門は何かしら失われ、現存の禅寺三門としては日本最古のものとなりました。

 五間三戸二重門様式の三門は釈迦如来と十六羅漢を安置していまして、本堂は明治の1881年に焼失し昭和の1934年に昭和天皇大阪行幸に併せて再建、方丈も明治時代から昭和初期にかけて再建されたことから、この三門が東福寺で最も歴史を湛えた建築物となっている。

 東福寺は、京都五山の他の伽藍と同じく方丈庭園等を除けば自由にに拝観といますか、日々に神仏へ参る事が出来る立地なのですが、何よりも偃月橋を望む通天橋の木々の情景は圧巻です。しかし、その美しい三葉楓は先に桜だったというから想像も膨らむ次第でして。

 桜の木々は、春に爛漫の花見を愛でる情景が趣き深いものの、紅葉の季節には木々の中で最初に色づき早々に葉を落として冬支度を済ませてしまう、桜花同様に葉も散るのが早い事から、やはり三葉楓のように時間をかけて色づく情景の方が良いのか、と考えたりする。

 桜の木々を伐採し外来の木々を植えた一種無粋ではありますけれども、この三葉楓も一つ遊興とはなりませんが観光の情景となっているのは、花見に留まらない風情の普及か、はたまた見境なしか、開基円爾はどのように思われるだろうか、とふと考えたりもしますね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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